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1-4

 信秀は小型馬に乗って本陣にいた。


 小さい馬は安全だが、大きい鎧を着て長時間乗ると疲れて動いてくれない。戦闘中何度か替えの馬に乗り換える必要があった。この乗り換える時が非常に無防備になる。軽装で小型馬に乗るのがトータルで一番安全だった。


 物見の伝令騎兵が入れ代わり立ち代わりやってきて、前線の状況を信秀に伝えた。

 信秀には優秀な弟が二人いた。

 一人は三兄の織田信光。織田家最強の猛将として知られ、三河戦で活躍した。

 もう一人は次兄の織田信康。兄の代理として各勢力との交渉を担当した。

 二人は大型馬に乗って信秀の両脇を固めていた。


 信光は報告を聞いて機嫌を良くした。


「勝ったな!」


 信康は慎重だった。


「こんな所で負けたら困る。小僧に勝って喜ぶな」


「勝ちは勝ちだよ、兄上。素直に喜ぼうぜ?」


 また伝令兵がやってきた。


「柴田隊、敵を城まで退却させました。お味方大勝利です!」


 信光は兄に助言した。


「やるぅ~。長兄、勝家大先生に何かくれてやってもいいんでない?」


 信秀は助言を受け入れた。


「俺が乗ってきたアラブ馬をやろう。前に欲しがっていた」


 信光も羨ましがった。


「あの子は俺も狙っていたんだ!いいなあ!」


「俺もだ。勝家にはもったいない」


 信秀はフフっと笑った後、弟二人に指示した。


「敵は夜の内に逃げるだろう。追わなくていい。

 こちらは三手に別れる。信康、信光。お前達は領内の村々を襲って焼き払え。取れた物はくれてやる。家臣と均等に分けろ。全部焼いたら稲葉山城下に集結だ」


 信康と信光は頷いた。

 信秀は稲葉山城がある北の方角を眺めた。


「城から出てきてくれたらさっさと終わるんだがなあ……」



 初戦に勝利した織田軍は複数の部隊に別れて各地に進軍した。斎藤軍の守備隊は撃破されて本拠地の稲葉山城まで後退した。

 住民を守る者はいなくなった。織田軍は村や町に侵入した。


 織田軍は家に押し入って食料や衣服、牛馬を奪った。子供や女性は街の奴隷市で売り飛ばすために拉致した。

 残った住民は寺の境内に集めた。織田軍は彼らの前で家に放火し、先祖の墓石を蹴り倒した。

 織田軍が来る前に山に逃げた村もいた。織田軍は井戸や畑に毒を投げ込み、空の家々を焼き払った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 詳しいですね! 初めて知った事が多くてじっくり読んでます。 武士は、名乗りとか、正々堂々戦うイメージがあるのですが…まあ、銃火器を使っている時点で正々堂々も糞もないと解ってはいるのですが…
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