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13-7

 二十二日朝、松平隊は成岩の対岸の大浜に上陸した。

 ここから北東の岡崎城まで十数キロあった。普通に歩けば午後には着くが、途中には一揆勢や落ち武者狩りが大勢いた。

 松平隊は戦闘を避けつつ最短ルートを通る事にした。

 情報が欠かせなかった。松平隊は行く先々の集落で協力を求めた。今川家への怒りが渦巻いている現状では、松平家に手を差し伸べてくれる住民も多いはずだった。


 中国の古典兵書を読んでいたのが役に立った。村を遠くから眺めるだけで大体の事は分かった。

 畑で大人が働き、村の入り口前で子供が遊んでいる村は安全だった。

 屋根の上に男が座り、周辺を監視している村の近くには一揆勢がいた。

 畑にもどこにも人がいない村は中に一揆勢がいた。


 松平隊は安全な村を選んで訪れた。部隊は各地で暖かく迎えられた。現在の情報を教えてもらったり、兵糧や火縄といった軍事物資の提供を受けたりもした。

 弱体化した今川家では国の秩序は保てない、こうなったら松平家に秩序を回復してもらいたい、と住民達は思っていた。

 元康は協力の褒美に金や刀を渡した。住民は喜んだ。


 住民の情報提供で国内事情は大体把握出来た。

 ともかく混乱状態だった。一揆勢は岡崎城周辺まで迫っていた。

 岡崎城の西側を矢作川が流れていた。橋を架けられないほど大きな川だった。梅雨で増水中で流れは急だった。城に入るには船を使う必要があった。

 渡り船の乗り場は岡崎城の北と南に二つあった。どちらにも一揆勢の手が回っていた。


 松平隊はある村で先行していた石川清兼と再会した。

 一行は再開を喜んだ。清兼は元康に報告した。


「大樹寺の登誉上人の協力を取り付けました。上人は門徒兵五百を集めて殿をお待ちです。また配津村の船頭、半次郎という者に話を付けております。ひとまず村にお向かいください」


 松平隊は半三郎の住む村を訪ねた。


 兵士は村内の寺で小休止した。元康は重臣数名を連れて、川沿いにある半三郎の家を訪れた。

 半三郎は元康達を板敷の床の間に上げた。自分は土間に土下座して出迎えた。

 元康は謝礼に大金を渡そうとしたが半三郎は断った。元康はそれでも「気持ちだから受け取ってくれ」と少なくない金と刀を渡した。半三郎は恐縮して受け取った。

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