友達って、なに?
その日、朝起きたときにはすでに決断をしていた。
明日から大型連休。
このモヤモヤした気持ちがなんなのか、しばらく考えていたけど、私にはわかった。
むつみちゃんはせっちゃんとだけ登校すればいい。
私は一人でかまわない。
3人でいるとアンバランスになるぐらいなら。
その日もいつも通りせっちゃんと待ち合わせして、自転車を漕ぎ出そうとしたそのとき。
いま言うよと、少しだけ俯いてから話始めた。
「せっちゃん、話があるんだけど…
わたし、せっちゃんと一緒に登校するのやめるね」
せっちゃんは面食らった表情をしていた。
「ええっ、なんで?
なんか私みさっきーに変なこと言った?」
「そう言うわけじゃないんだけど…
一人で登校したいなと思ってたから」
さすがに言えないか。
むつみちゃんとは合わないって。
むつみちゃんと3人で登校するようになってから、せっちゃんがだんだん遠くなっていくように感じていた。
陸上部の話を振るのはいつもむつみちゃんで、私は蚊帳の外にいるような。
それで、私のことはもういいよって、なる。
疎外感。
モヤモヤを言葉にしたらこの単語が当てはまるね。
なんとなく気まづい雰囲気になりながら、あ あ遅刻しそうだねと、私とせっちゃんは自転車を漕ぐ。
もちろん、何も話す言葉もなくて。
橋の近くで待つむつみちゃんが見えてきたとき、私は自転車を漕ぐスピードを一層早めて、むつみちゃんを通り過ぎた。
早める直前にせっちゃんの声が聞こえたような気がしたけど、もう何も聞こえてこなかった。