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大きな声で泣いてます!
場所はセールーン村のとある民家。
村の中のひと際大きな建物の中で
1人の男の子が産声をあげた。
父親であろう人に抱きかかえられながら
おぎゃあと泣きじゃくる赤ん坊。
その男の子の名は「ラインハット」
近くではラインハットの母親であろう人が、
ベッドに横たわりながらも、その表情は
幸せに満ちていた。
「ダ、ダ、ダイアン!僕はどうしたらいいんだい!?
ライが全然泣き止んでくれないんだ!」
「あなた。落ち着いて。あなたが落ち着かないと
産まれたばかりのライはもっと落ち着けないわ。」
「そ、そ、そうだね!よーし。スゥ〜ハ〜スゥ〜ハ〜
少し落ち着いたよ。ほらほら〜ライ〜お父さんだよ〜♪」
「あぅ〜あぅ〜」
「ライはいい子でちゅね〜♪よ〜しよし〜♪
高い高いだぞぉ〜♪」
「ウキャ♪ウキャ♪」
「ふふっ。どっちが子供なのかしら。」
そんな微笑ましい団欒の中心にいたのは
無邪気に笑うラインハットだった。
時は黄王暦2129年。
雪の降り注ぐ満月の夜だった。