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序章

彼は今困惑している、目の前には強そうにない20歳後半の男が居る。



時は遡り、女神から力を貰い異世界にやって来た彼は直ぐに近くの国に向かい冒険者登録を行ったのだ。この世界の言語が日本語であることや国の近くに目覚めるのはテンプレだなと思った彼は、直ぐに順応していった。彼は女神から貰った力で敵をなぎ倒しハーレムを作っていった。少し違うと感じたのは自分と同じように異世界から来る人間が居る事だ。

そういった人や様々な力を持った人間が集まった【雪花の隊】があると知った彼はそれに入り、魔獣やら魔族などといった人類の敵と戦っていった。彼は充実した異世界生活を送っていき数カ月がたった。今日も彼は仲間と一緒に任務の為に森へ向かっていた。最近森の中で人が行方不明になる事件が相次ぎそれの解決のため向かった彼らは森の中で一人の男に出会ったのだ。



時は戻り目の前には異様な雰囲気を持った男が一人こちらを向いて立っていた。

「君達が有名な雪花の隊ですね」


「そうだったら何だってんだ」


仲間の一人が剣に手を掛けながらそう言った。


「いやいや、君達が雪花の隊なら私を殺して欲しいと思ってね」


「何を言ってるんだお前。殺して欲しいだと?」


「そう、殺して欲しいのさ。さあ!さあ!!君達の力で私を殺して見せろ!強い君達なら、女神の力を貰った君達なら可能なはずだ」


「なぜ、それを......いいだろう。望み通り殺してやるよ。お前らはここで見て居ろ、先輩である俺がサクッと殺してくるからよ」


「頼みましたよ、先輩」


「なら任せる」


「お願いします」


彼らの中で一番上の立場に居るであろう男が武器を構えた。


「決まったのか?私を殺すのはお前か?さあ来い!私を八つ裂きにしてみるがいい!」


「言われなくても八つ裂きにしてやるよ......秘剣三段切り!」


目にも止まらぬ速さで敵をバラバラにする技を放ち、皆終わったと思った…だが終わったのは斬りつけた彼の命だった。彼はバラバラになり辺り一帯血で染まった。


「やれやれ、私を殺してくれるのではなかったのか?君には失望したよ。君の方がバラバラになってしまったね」


八つ裂きにされた彼の死体を見て彼らは恐怖で震えた。それも仕方ない事だ、彼らの中では一番の実力者である人がこうも呆気なく殺されたのだ震える事は不思議な事ではない。そして恐怖に満ちた人間は周りが見えなくなり、ただ逃げる者と隙だらけで敵に向かっていく人間に分かれる。ここでは皆後者だった。魔法を放ち斬りかかった。


「本当に君達には失望したよ、そして女神にもね」


男は次々に瞬殺していき、残りは彼ただ一人となった。


「ひ、お、お前は何者なんだ!俺達は女神から力を貰ったんだぞ!それをこうも簡単に」


「それは、君達が私を殺せるほど強くなかった、ただそれだけさ」


修司は最後の抵抗で魔法を放つが男はびくともしていなかった。


「く、クソ!」


彼は思った女神から貰った力はチート能力じゃないのかと、異世界に来ればバラ色の人生になると思った、これじゃあ、元の世界と変わらない、この世界も理不尽な事が起こるのだと。


「最後まで抗った君を評して、私の名前を教えてやろう」


「私の名は......サタナエルだ」


その名前を最後に彼の新たな人生は終わった。


―彼の者の名は―

「さて、最後に抵抗した彼は誰だったのかな」


私は、彼の死体に手を向け、彼の情報を感じた。

彼の名は池修司。17歳。友達は人並みに居るが彼女は出来たことが無く童貞。自分の事が好きと言っている女性が居ると友達から聞いて、人生で初の彼女が出来ると浮かれ交通事故に合い死亡。

異世界に来て、女神から貰った力を使いハーレムを作りつつ雪花の隊に入り充実した異世界ライフを送る。任務中にサタナエルと名乗る男により殺され死亡。


......つまらない人生だ。


私は手を向けるのをやめた。


「雪花の隊なら私を殺せると踏んで誘拐なんて事までしたのに、また前のように私を殺せなかったな。」


私は、その場を後にした。


「そ、そんな......修司が死んだ......。」


「やだよぉぉぉ!!!」


「泣くな、泣いたって…修司は戻って…」


修司のハーレムメンバーは修司の死をしり、涙を流し悲しんだ。

修司達が森に向かって3日。彼らから連絡が取れず、仲間の3人が様子を見に向かった所修司達の死体を発見したようだ。一人はバラバラにされ外見を保っておらず残りは、外見は保っているものの心臓が抉り取られている者、手足が無い者、頭が無い者と無残な死体となっていた。仲間の3人は顔を青ざめ膝を付いて暫く動けなかった。それもそのはず、こんな光景は見たことないのだ、彼らは女神から力を授かって今まで敵を薙ぎ倒してきた強者なのだから。それがこの様な無残な死を遂げたことで、自分達よりも強い奴が味方側ではない側に存在することに恐怖を感じざるを得なかった。


「修司達を殺した奴は分かったの?」


「いや、全く見当もつかない。目撃情報も何もないからな」


「そう」


「必ず見つけて、この手で殺して見せる」


雪花の隊はこれで残り8人となった。雪花の隊のメンバーが死亡したと国の中に知れ渡った、それと同時に国民は恐怖し混乱し大変な事態となった。それほどまでに彼らの力が国民の中で信頼していたものだったのだろう。



城内部では国王と侯爵達が会談を行っていた。

「ええい!雪花の隊の人間を殺した者はまだ見つからんのか!!雪花の隊は我がファルス王国の最高戦力なのだぞ!?これが隣国に知られれば我が国は攻められ我はお終いだ!!」


「国王様、ですが未だに犯人は見つかっておりません。痕跡なども一切ありません、例え見つかったとしても雪花の隊を5人も殺した者に勝てるとは思いません」


「国王様、国民が混乱し町は大変な事になっております!」


「分かっておるわ!だが国民の混乱を失くすことはできん!犯人が何処に居るか分からぬのだぞ?どうしろと言うのだ」


「では国王様、一旦牢獄で一人連れてきてそやつに犯人として公開処刑しては如何でしょうか?これで一旦は騒ぎを鎮めることはできるはずです」


「......そうだな、今はそれしか方法はなかろう。ならばすぐ行うことにしよう、国民に犯人を捕らえたと知らせるのだ。準備ができ次第処刑を執り行う、そして雪花の隊を我がもとに連れてくるのだ。話をしておかなければならないだろう」


「畏まりました国王様」


国王様の命令で国民に犯人が捕まったと知らされ、着々と処刑の準備が進められた。雪花の隊も国王の偉功に従い話を合わせた。

暫くして処刑は執り行われた、処刑で一人の男が死にそれを見た国民は安堵した。これで脅威は去ったのだと。だがそれは偽りであり何も解決していない。これは一部の者しか知らない事実である




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