眼鏡の転校生
「初めまして、私は門脇奈々。よろしくね!」
奈々はエゴールに声をかける。これから仲良くしたいところだ。 「俺は相川駆。門脇と同じく日本から来た。よろしくな!」 奈々の隣に座っている男子も挨拶をする。彼は相川駆で、中学生時代からの知り合いだ。今は奈々と付き合っている。クラスの人もそれを承知していて、リア充、と笑ってくる人もいたが、奈々は全く気にしていない。
「え、ええよろしくお願いします!」
エゴールは緊張しながらも丁寧な返事をして来た。大きな丸いメガネ、黒い髪、薄い青色の目で美形ではあるが、身長は高くなく、奈々よりも 少し低い。(因みに奈々は165㎝)
「では10分後に授業を始めますので準備して下さ〜い」
先生はそういうと職員室に行った。
教室の人がまだざわざわと喋り始める。
「エゴールさんは何をするのが好き?」
他に質問が思いつかなかったから奈々は勇気を出して聞いた。
「好きなことは、ど、読書です…あ、後トランプも好きです!」
やれやれ、緊張しやすい子だ。と奈々は思う。普通転校生でもあんなおどおどした喋り方はしない。でも、人を寄せ付けないような、そういう雰囲気はまとっていなかったし、もう少しだけ話せば仲良くなれそうだ。
「次は数学の授業だから準備しな。わからない問題があったら俺らに聞いていいよ」
相川は笑顔でエゴールに言う。
「あ、ありがとうございます!僕、数学と英語と体育以外は全然ダメなんですよ〜」
「お前体育得意なのか⁉︎」
相川が驚いた。だってエゴールは背が低いし、痩せてるし、パッと見ただけではいかにも体育は苦手そうだった。
「はい、周りの人もよく驚きます。僕も最初は体育が苦手でして…」
「奈々も体育が得意なんだ。しかも空手三段の有段者なんだぜ!」
相川は奈々を指して言った。エゴールも奈々を見た。
「それはすごいですね!三段って相当強いじゃないですか!」
「ありがとう、でもそんなに上手くないよ。」
目を輝かせるエゴールに奈々は少し呆れたが、早く話せるようになったので嬉しくも思った。
授業のチャイムが鳴り、数学の先生が号令をかける。転校生を加えた楽しい学校生活が始まると奈々は思い、真剣に授業に取り組んだ。