キラータイトル
「…先程入ったニュースです。また地球で凶悪犯罪です。アジア地区の日本という国で殺人事件が起こりました。犯人はもう捕まったようですが…現地にはレポーターのハルバル大使が向かっています。ハルバルさん?」
「はいこちらハルバルです。昨日宇宙時間35時頃ここ地球で悲惨な殺人事件が起こってしまいました。犯人は20歳くらいの無職男性で、今彼の家には地球や宇宙からたくさんの記者が集まっています」
「犯人の特徴は分かりましたか?」
「ええ…調べによりますと、やはり今回の犯人も例外ではなかったそうです」
「なるほど。ありがとうハルバル、また進展があったら教えて下さい。さてそれでは、スタジオのコメンテーターの方々にもお話を伺っていきましょう。まずは地球代表の田中さん…」
「ええ。今回の事件には大変胸を痛めています。だが地球人から言わせてもらうと、決して全ての地球人が例外無く悪人というわけでは…」
「でも今回の犯人も義務教育を受けていたんでしょう!いやらしい…即刻規制すべきだわ」
「まぁまぁマーズィさん落ち着いて…確かに地球人、とりわけ今回の事件が起きた日本では犯罪者の9割近くが義務教育を受けているという研究結果が出されています」
「だが、義務教育と凶悪犯罪の関係性は立証されていない!」
「もちろん、田中さんの仰る通りです」
「あらでも、こちらの写真をご覧になって。今回の犯罪者の家の写真なんですけど…棚に『教科書』が並べられてますわ!『資格試験』ですって…まぁいやらしい」
「ゴホン。確かに、犯罪者の多くは義務教育を受けている。だがそれのおかげで功を成した人たちだって多く居る訳です。それを宇宙人の物差しで一概に規制してしまおうなどと…」
「一概だなんて言ってませんわ。部分的に、段階を踏んで…。とにかく、この現状は非常に危険だと私は思います。もっと娯星人のように、多くの犯罪者を育んだ教科書とかいう本を捨て、棚には漫画やアニメのDVD、ぬいぐるみを飾ってみたり、たまには外でドローンを飛ばしてみたりするのが『健全』な社会のあり方なのではないでしょうか」
「なにが健全だ」
「まぁまぁお二人とも。中々熱い議論でしたね。それでは次のニュースです。その娯楽星でまた凶悪犯罪です…」