会談
7月15日 横須賀 米海軍司令部前
不安の趣で、司令部に到着した。
「なんで呼ばれたのだろう・・・」
車のドアを開け、ゆっくりと降りた瞬間、見た光景は異様だった。
M1ガーランド小銃を持った儀仗兵が赤いカーペットの両端を埋め尽くしていた。中佐の階級章を付けた士官が近づいて来た。
「ようこそ。我が司令部へ 私は、ヘンリー中佐です。中で司令官がお持ちです。中へどうぞ」
「お出迎えありがとう。済まないが、なぜ呼ばれたのか教えてくれないか?」と言った。
しかし、ヘンリー中佐の回答は曖昧だった。
「そのことは、我々もよく知りません。しかし、司令官は知っているはずです。どうぞ中へ」
重い足乗りで秋山海将補は動き始めた。
司令部内に入ると、歴代第7艦隊司令の顔写真が飾られていた。
長い廊下を過ぎる途中、部屋の前を通るとなにか聞き覚えがある声がした。
しかし、私は気にも留めなかった。いや、不安でいっぱいだった。
司令部の応接室に到着した。
ヘンリー中佐が英語で言った。
「秋山海将補をお連れしました。入室しても宜しいですか?」
中からくぐもった声で、「OK」とゆう声が聞こえた。
古く趣のある、大きな木の扉を開け入室した。
「ようこそ、秋山海将補。私は、ジョーンズ中将。以後、よろしく」
ヘンリー中佐は、私を残して退室していった。
私は、自然に直立不動10度の敬礼をしていた。
ジョーンズ中将は冗談そうに言った。
「そんなに、かしこまらなくてもいいよ。」
私は、大きく息を吐いた。間を開けて質問した。
「ジョーンズ中将。私は、なぜここに呼ばれたのか教えていただきたい」
少し間が開き、ジョーンズ中将の口が開いた。
「単刀直入に話そう。君を、我がアメリカ海軍に迎えようと考えている。しかも、原子力空母2隻を中核とした艦隊の司令官として働いてほしい。」
私は、あっけに取られていた。
「もう少し詳しく説明してくれませんか?」
「日米安全保障条約は知っているよな。今現在、中国の軍事力がますます強化されている。そこで、極東の安全保障として、新たに空母2隻を新造することにした。日本が今後、通常動力型空母から原子力空母の運用できるようにするために我が国の艦隊をリムパック時に全滅させた貴官に指揮してほしい。それと、バトルグールプを形成する空母、駆逐艦、巡洋艦、潜水艦、艦載機は我が国が提供する。乗員は日本が負担することになった。」
私は、頭の中が真っ白になった。
ジョーンズ中将は、私に質問をしてきた。
「貴官は、この任務を引き受けてくれるか?」
私は、1分間ぐらい黙りこんでしまった。1分間が、1時間に思えるほど考えた。
「分かりました。お引き受けしましょう。しかし、一つ条件があります。」
ジョーンズ中将が聞き返した。
「その条件とは?」
私は、はっきりと言った。
「乗員の人選は私に一任させて頂きます。」
「貴官にすべての人選を一任しよう。また後日、ここに呼び出す。その時は、必ず出頭するように。このことは、自衛隊あろうと他言無用で・・・」
ジョーンズ中将、あっさりと了承した。
最後に、両者ともに握手をし、この会談は終了した。
外で、待っていたヘンリー中佐は言った。
「会談は、大成功でしたね。今後、貴官は我が海軍の特別少将となります。以後注意を」
また長い司令部の廊下を歩く。
この会談により、歴史の歯車が回り始めた。
また行進しました。今後、どうなるのかもまだ考え中です。防衛大臣の名前を募集します。