日向
暖かな日差しに誘われて、独り縁側に座りお茶を飲んでいるだけだったのに、貴方が来ただけでなんとも居心地が悪くなる。
顔に血が上がってゆくのを感じながらも左に座った貴方を見上げる。
「ここが落ち着くんだ。」と微笑んだ貴方に、私はうまく笑えたのだろうか。
「そんなに怯えなくとも、今は獲って食わないよ。」
そんな意地悪な事を言われるとどうしていいのか、本当に困ってしまう。
「もう少し待ってていただけますか?」
と思わず呟けば、少し驚いて目を開きこちらを見ているのが目の端に映る。
「私にだって心の準備があるんです。」
口を尖らせて俯いてしまった私は、茹蛸よりも酷い顔をしているに違いない。
フッとかすかに笑った気配がした
その瞬間、綺麗だけれど節くれだった貴方の手が私の頭を優しくなでる
じゃあ今はこれでいいよと俯いた顔を覗き込み、かすかに触れるだけの接吻をして私の膝に頭を乗せる。
素早い一連の行動に反応できない私を見、満足げに微笑んだ貴方は目を閉じ眠りに落ちようとした。
しかし、あぁと何かを思い出し目を開け、いたずらっ子のような表情でこちらを見て口を開く。
起きるまでに心の準備しておいてねという言葉に、再度困り果てる私を顔を満足気に見つめると、今度こそ眠りに落ちたのだ。