會津八一
掲載日:2026/05/13
ある日、私が道を歩いていると文字が刻まれた岩がみえてきた。
いつもならなにも躊躇なく通り過ぎるが今日の私は少し違っていた。
少しかすれたような文字を目を凝らして読んでみるとそれは會津八一作の短歌だとわかった。
會津八一は、明治から昭和期に活躍した新潟市出身の歌人、書家、美術史家だ。
早稲田大学教授として教鞭を執る傍ら、独自の書風(秋艸道人)や奈良の古寺を詠んだ短歌『南京新唱』などで知られ、実物尊重の研究を重視した。
そんな八一の作った短歌にはこんな歌が刻まれていた〈わがともよ よきふみつづれ ふるさとの みづたのあぜに よむひとのため〉。
「みづたのあぜに」のみづたとはどうやら水田のことらしい、
農作業にいそしむ人々の新緑の季節 丁度今と同じ初夏の景色なのだと連想させられる。
歩くここも農道で田んぼで農業に勤しむ人々に向けて良い短歌を書こうと、80年前 八一はここで頭を巡らせていたのかも知れない。




