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婚約破棄以前のピンクブロンドの男爵令嬢の話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/04/18

「君、そこの君・・・ピンクブロンドの君だ。何、キョロキョロしている」

「殿下、リディア嬢です。マン男爵家です」

「そうか・・・」


 私は王子フリート、最近、男爵令嬢につきまとわれて困っている。目の前にピンクブロンドの者は1人しかいないのにしらばくれている。怪しい。



「君、生徒会命令だ。生徒会室に来なさい」


 生徒会室に呼び出して尋問をすることにした。



「何故、私の周りをうろつく。教えてくれないか?」


 そうだ。いきなりダイブをしたり。串焼きを持って突っ込んで来たり。

 うっとうしくてたまらない。


 こんなことはたまにある。野心家の令嬢が婚約者に成り代わりたいのだろうがが、彼女は少し違う。



「で、で、殿下、違うじゃーないですか?わ、私は野心家の男爵令嬢でして、殿下とお近づきになりたいだけじゃーないですか?」


「そうか・・・」


「そーじゃーないですか?私は可愛いだけで頭空っぽの男爵令嬢じゃーないですか?側近達とも仲良くなって、いい目をみたいだけじゃーないですか?」



「それだけではない・・・我が婚約者のエリザベートの周辺もうろついていると聞いているが・・?」


 すると、リディア嬢の顔は一気に血の気が引いた。



「あわわ、それは・・・ほら、あるじゃーないですか?ほら、一昨日だったら、王都西通りのカフェでお茶をしていますた。放課後すぐに帰ったじゃーないですか?」


 何だ。逆ではないか?アリバイを先に言っている。怪しい。



「そうか、ウェバーにつけてもらった。報告をせよ」

「はい、殿下、2日前、リディア嬢は学園の騎士科の水泳訓練用の池の前で・・・」



 ☆☆☆


 エリザベート様は池の前で掃除をしておりました。



「皆様、学び舎を綺麗にしましょう」

「「「はい」」」



 そこをリディア嬢は・・・・


 全身を草で覆い。偽装して這ってエリザベート様に近づいているのを確認しました。


 私が声をかけると。


「そこの君、何をしているのか?」


 ギクッと全身が表現しているように震えました。


「ヒィ、草の気持になりたかっただけじゃーないですか?決して、不遜な動機でエリザベート様に近づきたかったのではないじゃーないですか?」



 令嬢は立ち上げリ。『~~~じゃないですか?』と叫びながら逃げて行きました。



 ・・・・・・・・・・・・・・・





「それがリディア様の2日前の放課後の行動です」



「ち・・・違う。違うじゃーないですか?ほら、カフェの領収書あるじゃーないですか?日付が入っているじゃーないですか?確認するじゃーないですか?」



 明らかに動揺している。



「そもそも地面をはっていた令嬢が私である証明が先じゃないですか?証拠を出すじゃーないですか?証拠!証拠!」



 証拠と叫びだした。怪しい。



「まだ、あるぞ。昨日のことだ。君は淑女科の二階の階段の前でいたそうだな。まるで誰かを待っていたかのようだとオルトの調査である」



「はい、母の名誉にかけて証言します」




 ☆☆☆


 私の妹、イリヤは淑女科でした。淑女科に男子生徒がいると目立ちますのでリディア嬢の監視をお願いしました。


 彼女は二階の階段付近で・・・



 2時間待機をしていました。



 ホウキを持って掃除をしていたり。窓から外を眺めたり。

 人が通ると。



「フフフフフフ~ン、ランランランじゃーないですか?」


 鼻唄を歌って誤魔化していました。



 階段付近での待機は・・・・



「ねえ。聞いた。音楽の先生、急病で休講ですって、教室で自習よ」

「まあ、エリザベート様にお知らせしなければ」



 女子生徒の会話を聞いたリディア嬢は。


「チィ」と舌打ちをして去ったのです。




 ・・・・・・・・・・・




「音楽教室は二階。二階に来られるエリザベート様に何かをしかけたようとしたものと予想します」


「うむ。オルト有難う」




 読めて来た。池、階段でエリザベートに近づく・・・その意図は・・・



「リディア嬢、事故を装ってエリザベートに池に落とされた。階段から落とされたと讒言するつもりだな?」



 すると、リディア嬢の膝はガタガタ震えだした。



「ヒィ、そ、そんなこと・・・あるわけないじゃーないですか?虐められていると証言すれば馬鹿真面目な殿下は本気で信じてくれて、私の可愛さでいけな・・・ない恋に・・・落ちる・なんて、、、あるわけないじゃーないですか?そんあ・・な。

 そ、そんなこと考えるのは頭お花畑じゃーないですか?それよりも、全て証言じゃーないですか?証言!証言!」


 証言と言い出したか・・・それにしても馬鹿真面目だと?



「学園の自治を超えている。公爵令嬢に対する虚偽の告発未遂だな。王宮で取り調べてもらおう」



「はあ、私、昨日は女の子の日で休んで・・・それで、調子が良くなって学園に出てきて、階段の掃除をしていただけじゃーないですか?」



「女騎士達、入ってくれ。マン男爵令嬢を拘束してくれ」

「「「はい、殿下」」」


 あらかじめ外に待機させていた騎士科の女子生徒たちが部屋に入ってきた。

 男が拘束するとレディファースト的に如何な問題が生じるからな。



 リディアは観念したか?

 すると一瞬、口角が三日月のように曲がった。


「三角飛び!」


 飛び上がり部屋の壁を蹴って、その反動で女騎士達の頭上を飛び越えた。



「何?この技は・・」

「ドアは開けたままだわ」


 逃げやがった。


「皆で追いかけるぞ!」


 ピンク頭がもう廊下の先に見えた。速い。しかし、階段だ。速度は落ちるだろう。



「殿下!ピンク頭・・・いや、リディア嬢は階段を転げ落ちています!」

「何?!」


 大怪我をしたものと思ったが普通に走っている。


「学園を閉鎖だ!」

「はい、殿下!」



【ピンポンパンポーン!校門封鎖!命令番号生徒会長令赤の1】


【魔道放送です。野良犬が迷い込みました。色はピンク、噛まれるかも知れません。皆様は教室に籠もり窓から監視をお願いします。要員は集合、緊急の案件はプラン通り】



 これで逃げられまい。


「殿下。何が起きましたの?」

「エリザベート、教室にいなければいけないじゃないか?心配ない」



「わ、私、副生徒会長ですのよ。要員ですわ。もっと、心配させて頂きたいです」


「エリザベート・・・」


 そうだ。事態が納まったら全て話そう・・・

 エリザベートを狙う不穏な勢力があることを。

 あのピンク頭は他の派閥に雇われたのに違いない。


 私が守る。



「殿下、ピンク頭は池で目撃されました」

「何だと、逃げられないのに・・・」


「殿下、池は排水しておりますわ・・・」

「何!」



 池に向かった。騎士科の学生が躊躇している。


「殿下、あの女潜って五分浮かび上がって来ません」

「何だと。調査をする」


 後に池の水を抜いたが死体は出てこない。

 ただ。排水溝の鉄の金網が外されていた・・・


 そこから外に逃げたのか?



「まさか、階段も池も逃げられるか下見をしていたのか?」



 学園名簿を調べてマン男爵家のタウンハウスに行くが・・・


「ヒック、何だ。おめ。金ピカの服着て、金ちょーだい」


 昼間から酒を飲んでいる下品な親父がいた。

 建物はボロ屋だ。


「ああ、ここね。マン男爵家の王都連絡所、だよ。ヒック」

「リディア嬢は知らないか?」

「ああ、お嬢様は事故で亡くなったと聞いたぞ」

「何?」


 領地までは一月かかる。調査は出来ない。




 このことを父上、母上に相談しなければならない。


 王宮に行ったら、回廊でピンク頭を見つけた。メイドだ。


「おい、そこのピンク頭、お前だ。こちらに来い?」



「・・・はい、王太子殿下」


「お前がリディアだな?」

「リディア様?・・・、私は平民のリリーと申します」


「嘘を言うな。そのドピンクは・・・」


 ここで気がついた。リディア嬢の顔は可愛いとしか認識していない。

 あまりにも派手なピンクなので目がそちらにいっていた。


 他に特徴は・・・


「君、『・・・じゃーないですか?』と語尾につけてみてくれないか?」



 メイドは思いっきり怪訝な顔をした。



「・・・こうでございましょうかじゃーないですか?」

「いや、すまん、もう、良い・・・」


 すっかり特徴が強すぎて上手くリディアを認識していなかった・・・・

 まるで通りを裸で歩く男の顔よりも裸に目がいってしまう現象・・・



「フリート、リリーは私の専属メイドよ。まさか、貴方・・・浮気?」

「あ、姉上、違いますよ」


「そう、なら、リリーを返してもらうわ。お茶入れてくれるかしら」

「はい、王女殿下」




 ・・・フフフフ、弟は妖精に包まれているような顔をしているわね。



「お嬢様、やったじゃーないですか?」

「リリー、良くやったわね。賞与を出しておくわ」

「嬉しいじゃーないですか!」



 弟は真面目が過ぎる。自分で全てを解決しようとするから、カゲを使って少し陽動をしたら婚約者を守ろうとした。


 前からエリザベートから相談を受けていた。



 ☆☆☆


『殿下は、私に心配をかけないように全て自分で解決しようとします。婚約者なのに・・』


 大事にするあまり宝物庫に閉じ込めているのね。


『分かったわ。何とかします』


 因みにマン男爵家はお母様の出身家門の家だ。協力してもらったわ。




 ・・・・・・・・・



 これは不覚だった。本当なら王族は相談を受けない状態を保つことが上策だった。

 カゲを使うまでになるのは下策だったわね。



「騎士が活躍するのは国の不幸。カゲが活躍するのは為政者の不覚ね」



「あの、お嬢様の婚約者様の身辺調査するじゃーないですか?命じたじゃーないですか?」


「・・・それはそれ、これはこれよ」



 まだ、自分の事となると分からないわね。私もフリートのことを笑えない。

でも、これからも2人の行く末を見守ろう決意した。



最後までお読み頂き有難うございました。

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