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悪役令嬢たち

悪役令嬢、盗賊から覇道をスタートさせる

作者: つゆこ
掲載日:2026/02/19

 やられましたわ。

 無念ですわ。

 誘拐されたのですわ。



 犯人は王家のクソ野郎どもに決まってますわ。

 王家開催のお茶会に強制招致されたその道中に襲われたのですから最早隠す気もないのかしら。

 おかしいとは思っておりましたのよ。いつもお茶会が開催される王宮ではなく、離宮での開催だとか、王族とのお茶会だからと武装解除の上護衛と完全隔離されるだとか。

 しかもそれが当日に突然決まっただとか。

 そもそも始まりが‘’今はまだ断れない‘’勅令でのお茶会招待状だったりとか。

 いよいよなりふり構っていられなくなった……?

 という事は何処かからこちらの動きが漏れた可能性が高いですわね。

 獅子身中の虫の炙り出しはこの際置いておいて、まずは目の前の案件の対処ですわ。


 そう。まずはわたくしを誘拐した盗賊どもから掌握をはじめるのですわ。




 さて、わたくしが今居るこの場所。

 じめじめして冷たくて暗い、洞窟っぽい所ですわね。


 とりあえず、無詠唱で明かりを灯してみますわ。

 結果ぼんやりと浮かぶ景色はやはり洞窟内である様子。


 急に辺りが明るくなったからか、どやどやとその辺に居たらしき何人かの賊が光源に集まる虫の様にこちらへやって来ましたわ。

 ただ、わたくしと賊との間に透明で頑丈な壁を張っておきましたのである程度以上は近付けないようですわね。

 慌てた様子でまくし立ててくるのが煩いですわ。

 うーん。

 それにしてもこの方達、汚いですわね。

 まぁこんな洞窟を根城にしていたらお風呂もまともに入れないでしょうししょうがないですわね。

 拉致されて運ばれる間にわたくしの服も薄汚れてしまっていますし、まとめて浄化でもしておきましょうか。


「お静かに」


 声に魔力を乗せて発音すれば、ぴたり、と賊共の動きが止まりますわ。

 そうしている内に、みるみると辺りは綺麗になっていき、薄汚れていた賊達の本来の髪の色や衣服の色などがハッキリ見えるようになりましたわ。


「無詠唱……」

「綺麗になってる……これは……浄化の魔法?!」

「せ……聖女様……?」

「まさか……聖女様なのでは……」


 盗賊どもはひそひそとそんな事を言い合っておりますけれど、わたくしは聖女様ではありませんわ。悪役令嬢ですわ。うふふ……、そう、わたくしは本来なら‘’悪役令嬢‘’ですのよ?


 それにしても、彼らの言葉遣いに何だか訛りがありますわ。髪の色と瞳の色に一部特徴のある衣服……。

 どうやら亡国の難民のようですわね。


「あなた方は今は亡き東の国の者達ですわね? どうしてわたくしをこんなところに誘拐したのかしら?」


「な……なぜ我たちの素性が……!」

「何を知らないふりを、お前の家が我たちの国を潰したんだろう?!」

「故郷の仇を取れるっていうから、我たちは……!」


 ははぁーん?

 成る程、王宮の暗部から証拠を残さない為の手足に使われたのですわね。

 あらあら、この状況だと賊どもは多分早晩にも暗部に消される運命ですわね。勿論わたくし共々のつもりでしょう。

 うまく誘導されたみたいですけれど、まずはこの盗賊どもを掌握するところからですわ。


「あらあらまあまあおかしいことをおっしゃるのね?

 可哀想に……あなた達、騙されておりますわよ?」


「「「な、なんだってぇー!!!」」」


 まずは歴史のお勉強ですわ。

 どうやら滅亡の原因を我が家だとミスリードされてわたくしの誘拐に関わったようですけれど手始めにその間違いを正さなければなりませんわね。

 懇切丁寧に、わたくしの知る限りの亡国が亡国になったいきさつを教えて差し上げますわ。


 更に事情を聞けば、どうやら我が家が王国からの独立を企てていた事を嗅ぎ付けられていた様子。

 故に焦ってのわたくしの誘拐騒動のようですわね。

 あらあらまあまあ。それではわたくしという弱味を握られたお父様が言質を取られる前に我が公爵家の独立を成立させなければなりませんわね。


 つまりこんな盗賊の根城でぐずぐずしている暇などないのですわ。




「お嬢様ーっっ!!」


 あら。漸く助けが来てくれたようですわね。

 どかーん!! と、洞窟の岩肌を破壊して現れた少女、彼女が、本来なら‘’ホンモノの聖女様‘’だった筈の‘’被召喚者‘’なのですわ。


 落ちていたのを拾ってあげたのですわ。

 そしたらわたくしに懐きましたの。

 以来可愛がってあげてますわ。


 それで、彼女にいろいろと教わって、わたくしの魔法スキルは飛躍的に向上しましたの。

 ええ。

 本来、魔法は詠唱をしなければ使えないものであるという常識。

 その概念を打ち砕き、魔法というのは‘’いめーじ‘’次第なのだという事をわたくしは彼女に教わりましたのよ。

 わたくしと彼女だけの秘密。

 そうそれはわたくしと彼女だけの秘密の花園だったのですけれど、事ここに至っては致し方ありませんわね。


 大盤振る舞いしてあげますわ、感謝することね!


「ねえ、おねがいがあるのだけど。この盗賊共の根城を、しっかりとした防衛拠点に作り変える事はできて?」


 甘える様に上目遣いで‘’おねだり‘’すれば、彼女は簡単にわたくしの願いを叶えてくれましたわ。


 無詠唱でみるみるうちに森が開かれ砦が建つ。

 その神のような御業を目の当たりにして、元盗賊どもがわたくし達に平伏しますわ。


 ええ、元、ですわ。

 掌握は終わりましてよ。

 今この時より、彼らはわたくしの手駒ですのよ。





 ‘’無詠唱で魔法を行使する‘’、それは聖女様の専売特許。


 多分、いえ明らかに、この娘は王家が召喚をして取り込みに失敗した、‘’ホンモノの聖女様‘’。

 ええ、この国での‘’聖女様‘’とは、異世界からやってきた異邦人ですのよ。



 これまで、聖女様を召喚した王家は聞き出した聖女の名を縛り思い通りの駒にしてきたのですわ。


 この娘はどうやら、異世界の‘’らのべ知識‘’とやらで、本名を知られるのは不味い、と咄嗟に偽名を名乗ったようで、危うく駒になり下がるのを免れた様子。

 その後隙を見て逃げ出し、されど異世界で右も左もわからない中追われる道中力尽きかけていたところをわたくしに拾われたのですわね。


 以来、わたくしの第一の護衛として傍に居てくれるのですわ。


 お茶会の時も護衛として傍にいたものの他の護衛共々隔離されてしまっていたけれど、すぐに見つけてくれると信じておりましたわ。


 だって、彼女はやろうと思えば何だってできるのですもの。


 魔法というものは須らく‘’いめーじ‘’次第。


 その‘’理‘’はわたくしとこの娘だけの秘密なのですわ。


 わたくしと彼女だけの、唯一無二の‘’あどばんてーじ‘’ですのよ。



「お嬢様、では早く家にもど……」


「戻りませんわ」


「えっ」


 被せ気味にキッパリと答えて、にんまりと笑顔を向けますわ。


「せっかく丁度いい手駒を手に入れたのですもの。お父様に無事を連絡して、わたくしはここから王家の屋台骨を崩しに掛かろうと思いますの」


 どうやらネズミを内に飼ってしまっているようですし、今はまだ死んだと思われている方が都合がいいのですわ。

 またいいように呼び出されて捕まるだなんて御免ですもの。

 わたくしが存在しなければ、そもそも呼び出しようが無いでしょう?




 さあここから、楽しい楽しい傾国の始まりですわ?

 手伝ってくれますわね?

 ホンモノの、‘’聖女様‘’?




あらあらまあまあ。

わたくしの覇道の続きを知りたいですって?

そういう時は、この下にある★マークを押すのですわ。


★が多い程、わたくしと再会できる可能性が上がりましてよ?

たぶん、おそらく、めいびー?



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