第三話:日常
「うっほぅ、あっチィ! こりゃたまんねーぜ!」
私は今外に出てそんなことを言っていた。
変わらず今日も家のなかで過ごそうかと思ったら。
『外でたら?』
と白紙に言われたので仕方なく出ている。
ちょうどカップ麺無くなってきたからね。
『毎日食べてるの? 体に悪そう』
そんなことはないぞ。見ての通り毎日毎食カップ麺ですが、この通り元気です。
と、まあそんなことは置いといて、カップ麺を買いにショッピングモールまで行くわけだ、ついでになんか買おうかな~。
『作れば良い』
よし! じゃあ帰るか!
『食べ物は作るより、買う方がいいでしょ』
いやまあ確かに、無からできた食べ物って食べられるのかわからないし。
仕方ない……白葉、行きます!
『……』
反応ください!
◇
「アイス美味しい、冷房最高」
現在私はショッピングモールにてアイスを食べながら椅子に座っていた。
『怠けてる』
うるさい! 疲れたんだから良いでしょ!
『体力ないね』
まあ私白い葉っぱだし?
『人間じゃないんだ、じゃあ捨てるね』
「冗談ですやん」
私はそんな感じで白紙と話していた。するとその時。
「お嬢ちゃんかわいいね、どう?俺とお茶しない?」
突如として若く見える男の人がそう声を掛けてきた。
ナンパですか?
「嫌です、帰ってください」
「そんなこと言わずにさ~」
あ、こいつダルいやつか、逃げるが勝ち。
「あ、ちょっと待ってよぉ」
◇
「はぁ、はぁ……」
「そろそろ、鬼ごっこも終わりかな?」
「しつこすぎ!」
あの後ショッピングモールを抜けてずっと逃げてたけど、まだ付いてくる。ショッピングモール出たのまずかったかも。
というか私の体力が無さすぎてやばい。
『何か作って撃退しよう』
作る? 何を作れば……
「さぁさぁ、俺と一緒に良いことしない?」
さっきと言ってること違いますよ!?
というか近づいてくんな。
えーと武器!
なんか打撃系の武器とか出来て!
「え、なにそれ」
「ふ、フライパン?」
これ武器? まあいいや。
「うお゛お゛おおお!」
私はフライパンを強く握りしめ、ナンパ男の顔面にフルスイングした。
「ちょ、まっ――」
ゴン
と鈍い音が辺りに響き渡る。
私の振ったフライパンはナンパ男の顔面に直撃し、彼は膝から崩れ落ちた。私の勝ちだね。
「っと、やばい、人が来る前に家に帰ろ」
幸いなことに今は周りに人が居ないので騒ぎにはなっていない、だけどこの状況を見られたら私が一方的に悪いって思われちゃう、それはまずい。
そう思い、私は素早く家に帰った。
というか暴力での解決はまずかったかな?
いや強引に迫ってくる方も悪い。お互い様だね、うん。
あれ? カップ麺買ってなくね?
◇
「ねぇ、白紙、今更なんだけどさ」
『なに?』
「魂に人間の全てを保存する機能を作るって言ったけど、だったら体って要らないんじゃない?」
あの後結局またカップ麺を買いに行った。あのままだとアイス食べに行っただけになっちゃうからね。
そして無事自宅に戻り、私は白紙に気になっていたこと、助っ人の肉体なんて要らないんじゃね説を唱えていた。
なぜそう思うのか、それはだって人間の全てを保存するって言ったらもうそれは魂だけで完結してるじゃんって話。
肉体には脳とかがあるけど、考える力も魂にあるなら脳は不要になると思ったのだ。
『いる』
要るらしい。
「なんで?」
『人間の全てを保存する機能と言ってもそれだけ。例えば筋トレした筋力とかも魂に、能力値として保存されはするけど、結局その筋力を使うには筋肉が無いといけない、つまり肉体が必要。そして、そもそもとして魂は物理的な干渉を基本受けないから、物理的なものに触れることができない。今回は災厄に備える、で何が起きるかは分からないけど、どのみち体があったほうが対応の幅が広がるから要る』
白紙さん長いです。
え、で結局脳とかは無くても良いってこと?
『無くても問題は無いけど、あったほうが思考力の補助はしてくれる』
へぇ、不思議だね。
『複雑なの』
あ、そういえばさっき筋肉の話が出たけど、魂に筋力が保存されるなら肉体に筋力は保存されないってこと?
『少しは保存される、けどほんの少しだけ』
肉体に筋力が少ししか保存されないってことは、つまり沢山鍛えてもムキムキにならないってことでおーけ?
それとも魂の筋力の能力値に応じて肉体が変化するとか?
『……前者であってる』
なるほど。つまり見た目は可憐なのに中身がゴリラの化物が誕生するって訳ね。
『……そういうこと』
よく分かりました!
ありがとう、白紙先生!
【あとがき】
ぬい葉です。
ここから新しい作品の筋書きを考えたり実際に作るため、しばらく更新できません。ご了承ください。
もしかしたら白葉の日常とかを投稿するかもしれませんが!
でも恐らく次の更新には数か月は掛かると思います。もしかしたら一年近くかも。
まだ第三話なのにすみません!