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白紙伝記  作者: ぬい葉
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第二話:魂

 あれから数日私は能力を使って助っ人を作る練習をしていた。


 あれはまだ私が幼かったころの話……


『……ここ数日の話、なんだけど』


 ありゃ、そうでした。てへぺろ。


『……』


 あの、なにか反応くださいよ……



 時は数日遡り、というか白紙と初めてあったあの日へ遡る。



    ◇



『じゃあ、助っ人の作り方……説明する』

「お願いします」


 教えて~! 白紙先生!


『……まず先に、手順、を説明する』


 葉っぱでも分かるように説明お願いします。


『まず、白葉が魂を作る、魂ができたら、その魂に名前を付ける……そのあと、魂に…経験を積ませに行って、魂が成熟したころに回収する……回収するとき、肉体ごと回収するつもり、だけど無理、なら白葉が変わりの肉体を、作る……それか、肉体が死んでる、なら……私が復元する、そうして、助っ人完成』


 あー、うん。葉っぱには分かりませんね、なんかツッコミどころばかりな気がする。


 まあ、ひとまず纏めてみる。


 手順1:私が魂を作る。

 手順2:魂に名前を付ける

 手順3:名前を付けた魂に経験を積ませる

 手順4:魂が成熟したら回収

 そして助っ人完成! やったね!


 ってこと?


『うん、そう』


 それぞれ詳しく説明お願いします。


『混乱するから、まずは魂の作り方だけ、教える、他はそれができてから』


 あ、はい。


『まず、魂の構造、から説明する』

「頑張って理解する」

『魂は中心に核、がある、そしてそれを覆うように球状に、薄い膜が何重にも重なってできてる』


 はぇー、なんというか単純だね、魂っていうから複雑なのかと思ったけど、これならすぐにできそう!


『構造は単純、だけど、ただ形を作るだけじゃだめ、魂としての機能も、作らないといけない、多分そこが、一番難しい』


 魂としての機能?


『ん、魂を作るとき、核に人格、記憶、感情、思考、その他人間の全てを保存する機能を作る、そして、膜は核を守る為にたくさん作る』


 な、なるほど、ちょっとめんどそう。


『ん、魂のイメージは難しい、と思う。だから少し時間が掛かるかも、でも一度作れるようになれば、後は簡単になる、と思う、だから頑張って』

「が、頑張ります」





「う~全然無理だよぉ」


 そして現在、私は未だに魂の作成すらできていなかった。


『……ファイト』


 白紙と出会ってもう数日、いやぁ早いね~、出会った翌日はまだ信じられなくて疑ってたのも懐かしいなぁ。


『……現実逃避しないで、早く練習して』

「はぁ……わかってるよ」


 イメージがむずいんじゃ、魂の機能を付けないといけないって言うし。

 それに白紙から流れてくる謎の力?を扱うのも難しいし。


『今の白葉が、一から魂を作るのは難しい、それに、私の力は魂の原料として使えるし、使えば質の良い魂が作れる』


 そう言って、私が魂を作ろうとすると頭の奥深くから得体のしれない何かを流してくるんだよね、それを操るのがまた難しくて心が折れそうです。

 というか白紙さんそんな事ができるならもう貴女が作ってよ、って感じだけど今の白紙には無理らしい……いや今の白紙じゃなければできたってこと?ほんと何者だよ。

 あと白紙少しだけ喋りが流暢になってきたね。



    ◇◇



「え、これでできた?」

『うん、できた』

「や、やった~!」


 あれからまた数日、ついに私は一つの魂を作ることに成功した。


「わぁ~、なんか……こう見ると綺麗」


 私は自身の手の上にぷかぷかと浮かぶ半透明な球体を見つめてそう呟く。


 これガラス玉じゃなくて魂なんだよね、触るとなんか不思議な感触がする。てか魂って触れるんだね。


『触れられるのは、創造主の白葉と私だけ、普通は、見えもしない』


 へぇそうなんだ。

 で、えーと。


「次が名前を付けるんだっけ?」

『ん、それと……できれば色関係がいい』

「色関係の名前? なんで?」

『ん、全部説明する』


 白紙はそう言って説明してくれた。


 私の作った魂はこれから経験を積ませに行くらしく、白紙がランダムな別世界に送るんだとか、そこで魂は生活し、成長する。

 別世界なんてあるんだね。

 経験を積ませるなら私が創造の能力を極めたほうが早くて良いのでは?って思って聞いたけど。


『災厄への対抗手段は多いほうが良い、それに、災厄がこの地に到達する少し前に魂が成熟するように、時間を調整する』


 と返された、白紙さん時間の調整までできるんですか……

 あまりに規格外過ぎて白紙って何者?って聞いたけど、本人は記憶があやふやだったりしてよく分からないところもあるのだと言っていた。ややこしそうだからそれ以上は聞かなかったけど。

 それと何も別の世界に魂を送る必要は無いのでは?と私は思ったのだが、それぞれ個性が分かれていないと対抗手段が増えないに等しく、違う世界なら個性が分かれやすいと考えて違う世界に送ることにしたらしい、ただ白紙も送る世界を指定できるわけじゃないらしい、だからほぼランダムなんだって。


 そして本題の色関係の名前を付ける理由。

 白紙が言うには、普通の魂はずっと半透明の色のままだけど、今私が作った魂は白紙の力で出来てるから他の色で染めることができるんだとか。


 "白紙"は簡単に色で染めることができる。どうやら白紙は本当に白い紙だったみたいだね。

 白紙が流す力で作った魂は白紙のその性質を継いでいるので色を染められるらしい、そしてその性質を利用して、更に個性を強めるために魂の色をそれぞれ変えようとのこと。魂の色が違うと感情、人格、能力などがそれに影響を受け、変化するらしい。

 ただここで問題があって、魂の色に直接変化を加えると魂の機能を壊してしまう可能性があるらしい、そこで魂に色関係の名前を付け、さりげなく自然に色を変えようという話、名前を刻むのは問題ないからとのこと。

 名前で変わるの?って思うかもしれないけど、白紙の力で出来た魂は色に染まりやすいからそんなのでも染まるんだって。


 ということで名前を付けるのだが。


「名前? どうやって付けるの?」

『念じたらいいと思う』

「なるほど」


 適当だな!

 ……うーん、名前ねぇ~、色関係……あ。


「白葉の反対で黒葉くろはとかありかな?」


 昔自分の名前で遊んでた時に作った名前。

 白葉はくはの反対だったら読み方は黒葉こくはになるけど、なんか違うから『くろは』にしたんだよね。うん、これでいいね。

 黒葉って私の闇落ちバージョンみたい。


 あ、でも黒って色の文字が入ってるだけで実際に黒葉っていう色があるわけじゃないよね、これって良いのかな?


『……良いと思う』


 あ、良いのね……

 よし! 念じる……今日から君は『黒葉くろは』だ!


「っ……」


 私がそう念じた瞬間、魂が眩い光を出し始めた。その光に思わず私は目を瞑る。




『念じてるって言うのかわからないけど、良かったね、名前が刻まれた』

「色が変わってる……」


 しばらくして光が収まり、白紙の余計な一言を聞きながら目を開ける、すると先ほどまで半透明だった魂は少し薄めの黒色に変色していた。

 ちょっと不気味。


「これ大丈夫だよね?」

『多分』

「多分!?」


 いや多分とは?……ま、まあ大丈夫でしょう!


「えーと、次は魂に経験を積ませに行くんだっけ?」

『うん、あとは私に任せて……おつかれさま』

「あ、そうなのね、よろしく」


 これでとりあえず私の仕事は終わりか~


『まだ他にも魂作るから、終わりじゃない』


 知ってる! でもとりあえず一旦は終わったってこと!


『ん』


 私の言葉にそれだけ返して黙った白紙。

 なんか他に無いんですか?


 ……思えばここ数日で私たちの仲って結構深まった気がする、なんというか気が合うというか波長が合うのかな? まるで一緒に育ったかのように感じるほど。

 あれから魂作る練習だったり、他にも能力を使って小物を作ったり、白紙と会話したりでだいぶ充実してます、白紙ありがとね。


『……今から魂送る』

「あ、ハイ……あ」


 白紙の言葉にそう返事をした瞬間、私の手元にあった魂が無数の光の粒子となって私の前からその姿を消した。


『ん、終わった、あとは時が来たら私が回収する』

「おお、案外あっけないものですね~」


 いざ作り終わるとそんな感想が出てくる。

 ……でも新しい命を作ったのと同じなんだよね、実感湧かないや。


「まだ作れそうだし、もう一つ作ろうかな?」

『……体調に問題ないなら』

「うん、今のところ問題ないからもう一つ作る!」



    ◇



「うーん、名前どうしようかな~?」


 少しして、私はもう一つの魂を作り、名前を考えていた。


「調べてみるかな~」


 悩んだ私はスマホを使って色について調べることにした。


「次は赤っぽい色がいいかな~」


 ちなみに赤は私が白の次に好きな色である。白が一番で赤が二番ね。紅白最強だ。


「うーん、今回は色の名前をそのまま使うのもありだな~」


 黒葉のように赤葉とかも考えたけど、なんでもかんでも葉っぱはさすがに嫌だと思ってやめた。


「あ、朱殷しゅあんとか良いかも」


 ふと目に入った色、朱殷。私は直感的にこれが良いと感じた。


「えーと、意味は……時間が経った血のような暗い朱色」


 めちゃめちゃ不吉!


「でも、名前として使うのに違和感ないし、何より勘が、これがいい! って言ってる」


 まあ直前に作った黒葉が私の闇落ちみたいだし、ちょっとぐらい不吉でも問題ないでしょう!


「よし! 『朱殷(しゅあん)』に決めた!」


 私は念じ、作った魂に名前を付ける。


「わ、っと……」


 名前を付けて魂が光った瞬間、私は一瞬ふらつき倒れそうになったが、なんとか持ちこたえた。


『……能力の使い過ぎ、今の魂はギリギリ名前を刻めた、キリが良いから今日はここまで』

「……はぁい」


 どうやら能力の使い過ぎだったらしい、魂二個作って名前二つに付けただけでこれかよ!

 私は粒子となって消えていく魂を眺めながらそんなことを思う。


『魂を作るのは相当体力を消費する、それに名前を刻むのもそこそこ体力の消耗がある、だから一日に二個作れるだけでも良いほう』

「そうなんだ」


 確かによくよく考えてみれば魂を作るなんて普通はありえないことだよね、そう考えると妥当なのかもね。名前に関してはそう思わないけど。


「ねむ、疲れた」


 どうやら今の私は自分で思っているよりも疲労しているらしい。


 う~ん、睡魔が……


『おやすみ』


 その言葉が聞こえたところで私の意識は途絶えた。

【あとがき】


 ここで「その先は朱か黒か……」という作品へと繋がります。


 気になったら是非読んでみてください。

 ただ雰囲気はこの作品と真逆です。


「その先は朱か黒か……」→https://ncode.syosetu.com/n8336kl/


 この作品を読まなくても白紙物語を楽しめるように作っていくのでご安心下さい。

 けど読んでた方がより面白さが増すかも。


 ……もし、読まないと分からないような作品になってしまったらごめんなさい。

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