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白紙伝記  作者: ぬい葉
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第一話:目覚め

 くしゃみはハクション! この物語はフィクションです、実在の人物や団体などとは関係ありません、多分。


『ミッション発生! クッションを手に入れろ!』


 これは革命だ! まさにレボリューション!

 テンション上がるぅ~!


「やかましい、早く始めろ」


『わ、わかりましたよ……』


 それでは3・2・1 アクション!


「もうなにこれ……」

「暇だなぁ、誰か話し相手が欲しい~」


 夏休み、どこも出掛けず、家でぐーたらと過ごしていた私こと彩森さいもり 白葉はくははそんなことを呟いていた。


「瑠斗は海外旅行に行ってるし……紗矢は神社の例祭の件で忙しいって言うし、お父さんもお母さんもお仕事で海外に行ってるし……」


 瑠斗と紗矢は私の友達だ。


 あかつき 瑠斗るいと

 瑠斗は武術の達人で……うん、やばい男友達だ。

 今は一人で世界中を回ってるらしい。といっても夏休みの間だけらしいけど。


 神月しんづき 紗矢さや

 紗矢は神月神社という大きい神社の巫女をしている女友達だ。

 紗矢は歴代の神月家の中でも稀に見るほどの神職の素質があるらしい。なんでも、神をその身どころか他者にも降ろすことができるのだとか。


 こうして見ると私の友達って凄い人しかいないね。といっても友達はさっき言った二人だけ、悲しいね、居るだけマシだけど。


 で、二人に比べて私はというと。


「寝ようかな……でも布団の中は暑いしなぁ~」


 こうして暇をしているだけだった。


 いや私は二人と違って凄いところが全く無いんですよ、学校では陰キャだし、ただの平凡な女子校生なんだよね。


 身長も158cmと平凡……かな?ちょっと小さい気もするけど。そしてそして貧乳。

 私の唯一の魅力と言えばこの白髪だけど、それだけ。え? 十分持ってるじゃんって? 確かに、世の中本当に何も持ってない人も居るもんね、そう考えると私は恵まれてるほうなのかな?


「なんか賢者にでもなったのかって思うほど私らしくない考え方だね。よっしゃ、気を取り直して! 暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇!!!!」


『……うる、さい』


 誰かからそんなことを言われた気がした。


「うぅ、暇だよ~」

『暇……』


 うん?


『この世界に、危機が、迫ってる……ここで、何もしなかったら、私たち、消えてなくなる』


 あれ?


『それでも、良いの?』

「ちょっ、ちょっと待って!? 誰ぇ!?」


 頭の中から声が聞こえるような感じがするぅ!?


『あれ……気づいて、なかった? 私を目覚めさせたのは、貴女、だと思う』

「???」


 私はついに頭おかしくなったのかね?


『別に……頭は、変化無い、元々、じゃない?』


 んだとてめぇ!? ちょっと良い声だからって調子乗りやがって!


『私の声を、褒めてるの?……良いから、本題に入るよ』


 突然聞こえた声はなんともまあ、綺麗な声だった。思わず見とれたね。あ、この場合は思わず聞きとれたとでも言うのかね? 私は耳は遠くないんだけど。


「っと、本題? もう一体何がなんなのー!」


 突然の出来事に混乱した私はそう声を上げるのだった。



    ◇



「えーっと……つまり、私に世界を救って欲しいってわけ?」

『うん、と……要約、しすぎ、あと別に、私は世界を救って欲しい、なんて言って、ない』


 綺麗な声の人……彼女は白紙というらしい。声的に女の人だと思うんだけど合ってるかな?間違ってたらすまねぇ。

 白紙さんすごい無感情って感じ、こういうの好きな人多いよね、私も好き。

 というか白紙って白い紙? と思って聞いたらそうだって返された、なんで白い紙が喋ってるの?って感じだよ。

 あと白紙さんもっとハッキリ喋ってくれないですかね? あともっと流暢に。


『私、初めて喋ってる、からむり、努力はする』


 あぁ、そうなんですね、それはすみません……というかそうか白い紙が喋ってるって普通に考えたら凄いことか。


 おっと話が超脱線してるね、白紙が言うにはこの世界にとんでもない『災厄』ってのが迫ってるんだって、んで私にはそれをどうにかする手立てがあるのだとか……いきなり何言ってんですか?

 で、私が何もしないと生命全てがその災厄に滅ぼされちゃうんだって。


 え?


「いやちょっと私には何を言ってるのかわからないんですが……」

『理解、できないんだ……』


 突然そんなこと言われたらそりゃそうでしょう!


『貴女には、創造の力が、ある』 


 また突然そんなことを言う白紙。


「想像の力? 私のことを馬鹿にしてるんですか? そんなの誰でも持ってるでしょ」


 私には想像力が無かったとでも言うのか?


『想像、じゃない、創造……創るほう』


 創る!?


「あの創造!?」


 ラノベかなんかですか?


『うん、と……それは、置いといて、その力を使えば災厄に対抗、できる』

「いやそうは言ってもその力の使い方なんて知らないしまず何をすれば良いんだよ〜」


 傍から見たら私は一人で何かに喋り掛けてる頭のおかしい人だろう。まあそんなことは知らん、今は誰もいないし。


『力の使い方、教える、どうする』

「汝、力が欲しいか? ってこと!?」

『……』


 なんか黙っちゃった。

 ごめんて、少し真面目に考えます。


「是非ともその力の使い方を教えてください!」


 即答ぅ~


『ん……わかった』


 あ、了承してくれるんだ、ありがと。

 何を作ろうかな? あ、そうそう私豪邸欲しかったんだよね、ここに建てるとしましょう、くっくっく。


『白葉は、能力に目覚めたばかり、だから多分……あまり、大きいものは、作れない』


 なん、だと。いやまあ本当に豪邸をここに建てるわけないけど。

 と、それより能力の使い方を!


『ん、能力の使い方は……イメージ』

「は?」


 え?……それだけ? あの、もうちょっと詳しく説明して貰えませんか?


『詳しく、言うと……作りたい物をイメージ、して……願えばできる、と思う』


 ほうほうなるほど~……とはなりませんよ?


「ちょっとぉ説明足りないですって~」

『とりあえず……や、れ』


 急に辛辣!


「わかったよ、ん~……じゃあ鉛筆を作る」


 なぜ鉛筆かというと、そう……なんとなくだ。


『鉛筆……じゃあ、それをイメージ、して』


 イメージ、鉛筆をイメージ……


『そうしたら、魂の奥から、手のひらに向けて、力を流す、感じ……そして……手のひらに、鉛筆を創造する様子、を思い浮かべる』


 なんだちゃんと説明できますやん、って思ったけど魂から力を流すって何?

 ええいままよ!


「う~ん?」


 ん? なんか頭の奥から感じる? 頭じゃない?もっと奥……


『それ……そこから手のひらまで、引き出す』


 これ? んぅ~なかなか……お、なんか掴んだ? 出てこ~い!


「お、なんかできそう!」


 なんか頭のずっと奥から何かが全身に流れ込んでくるような感覚がする。これでいいのかな?


『そう、そのまま、鉛筆作るイメージ』


 私は言われた通りにイメージする。


「鉛筆できて~!」


 私はそう言い、なんとなくの感覚で手のひらにその力を集める。


 すると突然手に軽いが重みを感じた。


「え、鉛筆!?」


 見ると私の手の上には一本の鉛筆があった。


『おめでと、できたね』

「え、これガチ?」

『うん』


 わ~お。


『で、この能力で、助っ人を作る』

「助っ人?」


 え、私がこの力を極めてその災厄とやらをボコボコにすればいいのでは?


『白葉が能力を極めるの、今からじゃ遅い、災厄は割と早めに、来る。それに、一人よりも複数人、居たほうが様々な事態、に対応しやすくなる』

「え、もしや俺TUEEEじゃない?」


 そんなに災厄ってのやばいの? というか一体災厄とは何なんでしょうか? というか今更だけど白紙って何者なの?


『災厄は……生半可な準備、では打ち勝てない、けど災厄が何か、は今の私には、わからない。私のことは今は、置いといて』


 災厄の正体はわからないんかい、あとわかったよ、白紙のことについては置いておくことにするよ。


『ん、じゃあ、さっそく、助っ人作ろう』

「助っ人はどうやって作るの?」


 人を作るとかさっき初めて鉛筆作ったばっかりの私にできるのかね?


『説明、する』

「お願いします」



 ここから私の生活は一変することとなった。

 複数の物語せかいは一つのページから。

 そう、全ては一枚の白紙のページから始まる。

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