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第二話 ぜったいに、疑わないで
お花屋さんの店長をしているけど、特別花が好きなわけじゃない。
たまたま勘が良いからなっただけで、本当は「栗原のん」に憧れていた……。
亜麻色の髪、翡翠色の瞳。
時折香る、潮の香り……。
栗原さんが浸かった湯船には、時折「人魚の鱗」が浮いている……。
その「鱗」を瓶に詰めるのが私の趣味なわけだけど、栗原さんは全く気付いてない。
栗原さんが置いてった「鱗」は、時間と共に藍色に変化する。
きっと、脚先が藍色なんだ。
だが深く考えていると、首を傾げたくなる。
栗原さんは「海での生活」に、不満があるのだろうか。
「人間の生活」すらろくにできないのに、何故?
虐待……という言葉で片付けたくはないけれど、考えれば考えるほど、もやもやは消えない。
何か、きっかけさえあれば……。