18 解決の為の提案
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「アリエス様……、一体どんな交友関係をしているのですか…!」
男性ではあるが、まるで美の女神ともいえるユージンを前に頬を赤く染めた令嬢たちは美しさから目を逸らすことなくアリエスへと疑問を投げつけた。
アリエスはユージンと別れ、あれからアリスの事、そしてアリスと逢瀬を重ねている殿方たちの現場を証拠として残しながら、これからの婚約関係をどうしたいのかを友人たちに問い、その答えが出たところでユージンを茶会を開くいつものガゼボへと招いていた。
淑女クラスのある棟に設置されているガゼボは淑女クラスの招待があれば一般クラス、そして騎士クラスに通う男性であったとしても利用できる。
唯一許されていないのは一人で利用することだけなので、利用条件はかなり緩かった。
だからユージンがアリエスたちの開く茶会に参加していても可笑しくはなかったのだが、その美しすぎる完璧な姿は令嬢たちにとって目が浄化されるだけだ。
「…あれ?僕がいるのは変だった?」
こてりと首を傾げるユージンにアリエスは「ううん」と答え、その返事を聞いた他の令嬢たちはギョッとアリエスを見る。
ちなみにアリエスを見ながら「よかったね」と涙を流していたのはマリア一人だけだった。
なにが?どういうこと?とマリアに小声で尋ねるも「見てればわかる」と答えてくれない。
首を傾げたエリザベスとキャロリン二人は親し気に話すアリエスとユージンを見て、なにかを察したかのように口を閉ざした。
「変じゃないならいいけど……」
「変じゃないし浮いてもいないから大丈夫だよ」
「よかった。アリスがそういうなら安心だよ。もし僕だけ浮いてたのなら女装でもしたほうがいいのかと思ってしまったからね」
「え」
なにそれ、見たい。とアリエスは思いながらその考えを振り払う。
美少年に成長したとはいってもユージンは男性だと誰の目から見てもわかるのだ。
しかも制服姿は見ただけではわからないが、触ってみるとしっかりと鍛えられていることが分かる。
つまり女装をして肌を出してしまうと、微妙に不格好になってしまうかもしれないのだ。
そんな姿はユージンの汚点になるだろう、絶対ダメだ、させられないとアリエスは意思を固める。
自分の欲望に打ち勝ったのだった。
「さて、早速本題に入らせてもらう前に、自己紹介させてもらうよ。
僕はユージン・デクロン、今回アリス……あ、僕はアリエスのことをアリスと愛称で呼んでいるから、君たちの知っているあの女性と誤解しないで聞いてほしい。
それで、アリスから事情を聞いて是非助けになりたいと加わった。君たちの味方だと思ってもらえると助かるよ」
ユージンの言葉にマリアは少し嬉しそうな表情をアリエスに向ける。
アリエスはマリアの考えがわからなかったが、エリザベスから簡単に自己紹介が始まったことで尋ねることはできなかった。
そして本題に入る。
「まずは僕が調べたことから話したいと思うのだけど、いいかな?」
こてりと首を傾げたユージンにどうぞどうぞと誰もが促す。
ユージンは「ありがとう」と告げると、長い足を組み替えた。