表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/92

12 婚約者の対応から見える真実



早速アリエスは動き出した。

エリザベス達からの装備たちを身に隠し、いつでも使える状態にしながらもまずはピンクブロンドの髪色の令嬢を調べることにした。


彼女の名前はアリス・カルチャーシといい、カルチャーシ男爵の養女として今から五年も前に引き取られたらしい。

何故カルチャーシ男爵が彼女を引き取ったのかまでは不明だが、当時の彼女の評判は町一番の美少女として有名だったという。

もしかしたら男爵はアリスの容姿を利用して、高位貴族との縁繋ぎでも考えたのだろうか。

流石に男爵の頭の中までは調べ上げることが出来ないためアリエスは何故、アリスが男爵に引き取られることになったのかまではわからなかったが、平民時代のアリスが周りの男性たちを虜にしていたという事実は簡単に調べることが出来た。

そして更に調査をしていくと、貴族に引き取られる前日こんなことを言っていたらしい。


【私、この世界のヒロインポジションなのよ。王子たちを手玉に取って見せるわ】


勝ち誇ったような笑みを浮かべたアリスは高笑いをして友達の元を去ったらしい。

アリスの友達はヒロインポジションという言葉に首を傾げながらも「え、不敬罪…?」と顔を青ざめていたらしいが、平民から貴族へと変わるアリスと今後関わることがないと判断し、気にも留めなかったらしい。

流石に不敬罪のような発言後もアリスと関わることがあれば、友達であるその友人にも飛び火するかもしれないからだ。

だが関わることがなければアリスがいくら不用心な発言をしても自分には関係ないことだと、気を楽にできる。

本当に友達なのかと疑うほどの薄っぺらい友情だが、平民時代のアリスの一番の友達がその人だったというから驚きだ。


そして学園入学まで五年という年月があるにも関わらず、必要最低限のマナーすらも身に付けていないアリスの肩を持つ王太子の発言を思い出したアリエスは「エリザベス様の推測通りなのかもしれないわ」と呟いた。

流石に引き取った以上男爵がマナーを教え込まないのは不自然だからだ。


異性を魅了する力が本当にアリスにあるのだとしたら、これ以上王太子とアリスを引き合わせてはいけない。

王妃に相談したエリザベスの対応は英断だったといえる。


更にアリエスはアリスのことを調べるために動きながら、カリウスと会うことにした。

そもそも一度会おうとした時、アリスとのいちゃラブシーンの真っ只中だったこともありアリエスは引き返すことにしたのだ。

その際に気にとめることもなかったアリエスは声を掛けてもよかったが、隣にはマリアがいて、更にユージンと再会し、心を乱したという理由が大きく、婚約者のカリウスの存在は脳内から追い出されていたともいえる。

アリエスの中ではユージンとマリアの大きく、カリウスという婚約者の存在は下位にあった。


だがアリエスは思い出した。婚約者の存在を。

だからアリスの調査をしていくと同時に進めていたのはカリウスと会う事だった。

手紙を届けてもらい、そして久しぶりに婚約者と再会したアリエスは問いかける。

【何故、他の女性と二人っきりで会っていたの?】と。

単純なカリウスなら訳を話してくれるだろうと、安易に考えていたのだがカリウスは怒りを交えながら言った。

【お前ら女子があの子を省いているからだろうが】と。


その“お前ら”という言葉遣いもそうだが、それに私も含まれているのかとアリエスは尋ねると、カリウスは躊躇うことなく頷いた。

アリエスは深いため息を漏らしながら、まずアリスとクラスは別で挨拶すらしたこともないこと、話す機会もないことを丁寧に説明する。

単純なカリウスは「そうなのか?」と言った後、「おかしいな、アリスはそう言ってたんだが…。だから女子の友達もいないんだと…」と呟きながら、気まずそうに後頭部をかきあげた。


成程。アリスという令嬢は同性に省かれているという理由で、男子に接触しているのね。とアリエスは考えた。

そして更にエリザベスの話が濃厚となったと考える。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ