第二章:届かない想いと深まる溝
本当に、取り返しのつかないことをしてしまったのは、その翌週の月曜日だった。あの、歓送迎会での告白で、福原さんに精神的な負担をかけてしまったことへの、どうしようもない申し訳なさから、夜な夜な書き始めた手紙が、後から冷静になって読み返してみたら、完全に、熱烈なラブレターになっていて、結果的に、福原さんに、さらなる、計り知れない負担をかけてしもうたことだ。
その、今となっては赤面必至のラブレターは、こんな、言い訳がましい、独りよがりな内容やった。
「嘘くさいかもしれませんが、福原さん好きなのは本当です。だから迷惑はかけたくありません。困らせるようなら、アピールしませんし、顔に嫌なのが出てればちゃんと察してます。ただ、先日は気持ちをテンションと勢いで伝えてしまいました。めんどくさかったと思います。好きが溢れ出てしまいました。
身勝手に好きになってしまってごめんなさい。大好きという言葉以外に健全な形で福原さんへの尊敬を表現できなくて、自分のボキャ貧が悔しいです。
福原さんのこと、本当はもっとよく知りたかったです。そしたら大好きとか、可愛いとか、そんなんじゃなくて、普通にお仕事とかの仲間としての声掛けだったり、応援だったりできたかもしれないし、こんな独りよがりな感情を綴って目を汚させる必要もなかったのに…
好きな気持ち自体はなくせないですが、感情を殺すの特技だし、それを望まれるなら、以後はちゃんと大人な対応しますので。
ただ、もし声聞こえるのも嫌とか、私の存在が福原さんの邪魔をするようなら、教えてください。私はあなたの可愛さだけで好きなのではなくて、仕事ぶりへの尊敬も込みで好きなので、好きな人の邪魔をしたくないです。」
個人的にもっと、状況が悪化しているのは、その手紙に対して、福原さんから何のリアクションもなかったことだ。それまでは、仕事の合間に軽い冗談を言い合ったり、気さくにランチに誘ってくれたりした福原さんと、その日を境に、まるで違う世界の住人になったかのように、目すらも合わなくなった。
さらに、事態を複雑にしているのは、福原さんは詳しく事情を知る由もないだろうが、私には、暮らし始めてかれこれ4年になる同居人がいるということだ。福原さんにはきっと、「結婚秒読みの彼女がいるくせに、『キミ可愛いね』なんて軽々しく口にする、最低最悪のクソ野郎」と思われただろうな。
確かに、客観的に自分の状況を分析すれば、私は間違いなくクソ野郎だ。実際、自分自身でも、心の底からそう思っている。でも、「ちゃうねん!訳があるねん!」と、みっともない悪あがきがしたくて、これから、福原さんとどう接するか、あるいは、一切接しないという選択をするか。どう行動するか、あるいは、何も行動しないという道を選ぶか。IQが急降下した、あの時の感情的な状態ではなく、少し冷静になって、自分自身を俯瞰して見て、頭の中のぐちゃぐちゃになった思考を整理していたら、それが、なんだかそれっぽくまとまってしまったから、こうして、誰に見られるかもわからない場所に、投稿するに至ったわけで。




