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転魔教師~異世界転移した魔王、元の世界に戻るため召喚者の家庭教師になる~  作者: d-side
第1章 アルべリオン大陸編

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74限目「祝勝パーティ」

 謁見の間では酒の話で盛り上がりの真っ最中であったが、本格的に降り始めた雪で目にすることができないものの、時間的にはもうすぐ夕暮れ時だ。


「さぁ、あまり遅くなるのもいけない。そろそろ準備をしに戻ります」

「準備か。というとグレン殿が幹事を?」

「えぇ、今日は孤児院で腕を振るおうかと思っています」どうせなら関係者を招いて盛大にやりたい。孤児院ならスペースは十分だ。


「料理をされるんですか?」ノエルが意外そうにこちらを見ている。

「人並程度ですが。シェステも❝肉❞食べたいだろ?」

「うんうん!食べたい!グレンね!すんごく美味しい料理作るから楽しみにしてていいよ!」おっ、元気復活だな!犬ならしっぽ振りまくりなところだ。


「肉料理いいですね!これは酒が進みそうだ」ルノーはあくまでも酒がメインらしい。

「では、準備もあるので先に失礼します!いらっしゃるのをお待ちしてますよ」俺は転移でまず城門まで移動した。



「これはグレン殿」ふわりと城門へ移動すると、もう慣れた様で門番も普通に挨拶をする。

「パトリック殿はまだ戻られていませんか?」


「はい、まだ」ならばルドルフもカーラもまだ戻ってないってことだな。食事会を勝手に決めちゃったけど、完全に事後承諾ですけど、問題は特にないはず。ないよねー。うん、大丈夫!


「ならば伝言をお頼みできますか?」孤児院で予定している食事会に将軍を招待したいということ、❝お知り合い❞の方がいればどうぞご一緒に、との言葉も添えて伝言を頼んだ。


 次はギルドへ移動し、受付のレクターにギルマスのアインへ同様の伝言を頼んだ。

 さらにその後、宿へ移動すると主人に明日からは再び宿の食事をお願いすることと、カーラ宛の同じ伝言を頼んだ。主人からは笑顔で料理長に伝えておきますと返事をもらった。


 よし、後は孤児院で準備するだけだな!時間が惜しいので、孤児院へ転移するとツェン達が戻ってきていた。


「旦那!」俺を見つけて走り寄ってくると、主都警備隊は少し前に孤児院を後にした事を教えてくれた。続けて簡単に街中の様子を聞いたのだが、こちらも相当大変だったと感じた。


「あぁ、皆お疲れ様。ルドルフには許可はもらってないんだが、今日は皆の頑張りをお互い称えようと思ってな。食事会をここでやろうと思うんだ。疲れてると思うが、動けるものは手伝ってもらっていいか?」


「おぉ!そりゃいいや。院長の驚く顔が見れそうだ」皆が笑う。

「よし、皆もうひと踏ん張りだ。今日は楽しむぞ!」

「おう!!」皆でパーティの準備を始めた。


 食材の方はツェン達が急いで調達してきてくれた。

 おそらく結構な人数になりそうなので、雪が降ってはいるが屋外でのセッティングを決めた。


 まず透明な防御結界をドーム状の屋根のように展開すると、各所に魔法で《照明球ライトボール》を浮遊させる。《炎熱ヒート》も付与したので、暖もとれるようにしている。

 次に地面に積もった雪を溶かし乾燥させていく。よし、酔っ払いが地面に寝転がってもこれで大丈夫だ!


 そして肝心の料理だが、まずは豚の粗挽き肉を使って準備したソーセージ。骨付きは焼いてソースやマスタードを添えて出す。簡単だが、酒がメチャクチャ進む。 骨なしの方はポトフの具にする。香ばしくも優しい旨味の出汁が出て、実に癒される。もちろん、玉ねぎを中心とした野菜も取れて、栄養的にもよろしいでしょう!


 さらに、豚の角煮をご用意。これにはグルメなシェステ嬢にも気に入って頂けること間違いなしでしょう!もちろん豚の角煮まんもご用意しますよ~!


 豚肉ばっかりだとアレなので、今日は鶏肉料理も用意した。まずは各部位を塩やタレ付きで串焼きにする。これはアレだ。ソーセージ同様エールが美味い奴だ!


 そして、チキンの香草チーズ焼き、ふわふわ卵のオムレツ、焼きオニギリ、チョコレートムースとベイクドチーズケーキと、ギルドが保護していた子供達も帰ってくることだし、皆が喜びそうなものも用意する。


 周辺の住民達も手伝いを申し出てくれたので、準備がものすごいスピードで進んでいく。

 女性陣は、作り方やアレンジについてあれこれと盛り上がっている。

 男性陣は、食器やテーブルセッティングをしながら食べる順番やこの料理ならどの酒が合うかという話をしていた。


 すると、ルドルフ、カーラがやってきた。自分の知らぬ間に着々と準備が進んでいる様子に複雑な表情を見せるルドルフ。それとは対照的に、カーラの方はテーブルに並んでいく料理に興味津々である。


「おいグレン、俺に一言言って欲しかったな」うん、それに関してはごめんなさい。

「ダメだったか?」恐る恐る聞いてみる。

「いや嬉しいけれども」このツンデレめ!ホッとしました。


「まぁ、全て終わったんだ。お前の喧嘩友達も呼んである。今日こそ心から楽しまないと損だぞ?」

「喧嘩友達?誰だそれは」

「まぁ、楽しみにしてな」


「グレン!」カーラが俺を見つけて準備している人の間をすり抜けて駆け寄ってきた。

「カーラもお疲れ様!これまでいろいろと世話になったな。今日は思う存分楽しんでくれ」一瞬寂しそうに見えた彼女だったが、すぐにいつもの表情へと戻った。


「はい!シェステは?」

「今日は大活躍だったからな……。少し疲れた様子だったんで院長室のソファで休ませてるよ」シェステもエルガデルと対峙して見事に渡り合った。カーラも魔人2体を相手に良く戦った!開始までゆっくり休むといい。


「では準備が終わるまで傍にいます」

「あぁ、よろしく頼む。カーラも少し休むといい」

「ありがとうございます」そう言うとカーラは院長室へと向かった。


 次に到着したのは、孤児院の子供達と引率の先生?お兄さん?のアインだった。

 子供達は孤児院だけ雪が積もっておらず、温かく光る照明球、そして準備ができつつあるご馳走に大はしゃぎであった。

「グレンさん!」

「アイン、今回はいろいろと根回しお疲れ様。助言も含めて本当に助かったよ」


「いえいえ、グレンさんこそ!あなたがいなければこの国はどうなっていたことか!本当にお疲れ様でした。それはそうと、この料理はグレンさんが?」

「あぁ、近くの人たちにも手伝ってもらってるがな」


「私も噂に聞いて、一度ご相伴に預かりたいと思ってたんですよ」カーラから聞いたのかな?

「存分に楽しんでいってくれ」アインは手を振り、再び子供達の近くに急いでいった。


 入り口近くがざわついている。というのもその後に到着したのが、将軍パトリック、主都警備隊長ジーランド、巡検使カーライル侯そしてゴルドー伯の4人という、軽装ではあるものの錚々たるメンバーだったからだ。


「4人一緒とは。どれだけ仲良しなんですか」俺が冗談を言うと皆がくすくすと笑う。

「どうせ皆が驚くのは目に見えておる。だから1回で済むようにと4人で来たのだ。悪いか?」とゴルドーが耳を赤くしてツッコんでくる。


「ほんの冗談ですよ。皆様よくお越しになりました。会の性質上、本日は無礼講ということでよろしいでしょうか?」

「こちらはお邪魔する側だ。今日は一国民として楽しませてもらうよ。準備の途中だったのだろう?続けてくれ」カーライル侯が言うと、皆が一礼して作業に戻る。


「奥側にスペースを用意しております。皆様はそちらで食前酒などどうぞ」

「心遣い感謝する」


 最後に到着したのは《聖なる風(セイクリッドウィンド)》の3人。防御結界に照明球に興味を示している。最初に目が行くところが子供達と一緒というのが、少し面白いな。

「ルノー殿!」


「おぉ!何かいろいろと…すごいことになってるな」周囲を見渡すと、種々雑多な者達が一堂に会しているので、当然と言えば当然か。特に奥のカーライル侯がいる席は特に浮世離れしていることだろう。


「ほら、我々は❝悪巧み❞を共にした仲間ですし、今日は無礼講だと言質もとってます。お気になさらず思いっきり楽しんでください」

「そうか。わかった。そういうことならこちらも気にせず楽しもうじゃないか」

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