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転魔教師~異世界転移した魔王、元の世界に戻るため召喚者の家庭教師になる~  作者: d-side
第1章 アルべリオン大陸編

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46限目「サフィール到着」

 そして2日後、俺達は主都サフィールに到着した。

取り囲んでいるであろう防壁に自然と目がいく。流石に主都を守っているだけあって、高くそびえたその白き壁は非常に堅固に見える。


「おっ、カーラさんじゃないか。ということは、お二人が?」門番と親しく話している。ギルド関係で行き来しているそうだから当然か。どうやら俺達のことも通達済みらしい。通行が楽なのはよいことである。


 門番に開拓者プレートを3人分見せると、笑顔で挨拶をしてくれた。


「ようこそ、公国主都サフィールへ!楽しんでいってくれ」


「ではまずギルド本部に顔を出しましょう」カーラが道案内をしてくれるようだ。とてもありがたい。

 主都の全体像としては、城を中心に南半分が都市となる半円形をしており、北側は高い断崖に面しているとのことだった。半円の扇状地で扇の要に城があるというイメージでいいだろう。城もその崖に面しており、容易に攻め込まれない要塞となっている。


 城の周囲には行政区画、さらに外側に軍事区画、その外側が居住区と経済区画と同心円状に配置されており、ギルドは南西区画の中心付近に居を構えているらしい。


 主都というだけあって、当たり前だが町の大きさはメイゼルの比ではない。見たところかなり豊かな生活ぶりである。店や露店に並ぶ商品も豊富で、行き交う人々も賑やかかつ笑顔だ。


 通りも石畳で舗装されているが、継ぎ目がほとんど見当たらない。土木技術も高いと見受けられる。家も白壁にライトブラウンの屋根で統一されていて街並みがとても美しい。

 メイゼルの事がふと思い出される。復興は進んでいるだろうか。


 シェステがひどく興奮して周囲をキョロキョロしている。こんな大きい都市は初めてだろう。時間があればゆっくり歩き回りたいものだ。

 そういえば、ジャンがいる孤児院が町の外れにあるって言ってたっけ。そっちにも顔を出さなきゃな。久しぶりに会えるとなれば、シェステも喜ぶだろう。


「着きましたよ。ようこそ開拓者ギルド大陸本部へ!」さすがに規模が大きい。3階建てか……。カウンター数も多いし、掲示板にも依頼がたくさん貼ってある。


「スタンレーさんから話は通っていると思うのですが、お連れしました」カーラが中央の総合受付カウンターで一人の男性に話しかける。

「カーラさん、お久しぶりですね。はい、伺っておりますよ。

 グレンさん、シェステさん初めまして。受付担当のレクターと申します。今後ともよろしくお願いします」大げさな対応をしない。悪目立ちしないように通常の挨拶に止めてくれているのか。流石の心遣いである。


「レクター、こちらこそよろしく」

「よろしくね、レクターさん」2人で挨拶を済ませると、穏やかな顔のまま3人を別室へと案内する。

「ギルマス、カーラさん達が見えられたのでお連れしました」どうやらギルドマスターの執務室らしい。


「どうぞ」レクターがドアを開けると、眼鏡をかけた清廉な雰囲気を持つ男性が立っていた。

「初めまして。ギルドマスターをしているアインと申します。道中大変だったでしょう。本当にお疲れ様でした。どうぞおかけください」挨拶と握手を済ませると着座を勧められ、3人はソファに腰かける。


「カーラ君から文書で伺っております。道中襲撃を受けたとか。全員拘束というのは?」

「あぁ、全員無力化して亜空間に格納している。すでに交渉済みで命の保証をする代わりに情報提供を約束してる。内容は期待できないかもしれないが、依頼主に関して少しでも情報があればと思っている。俺からは何も質問していない」


「完璧な対応ですね。お心遣い感謝いたします。では、捕虜の皆さんはこちらで預かりますので、後ほどお引き渡し下さい」

「了解した。

 さて悩ましい所ではあるんだが、可能な範囲で今回の案件について質問しても構わないだろうか?」今回は国家案件、自動的にSランクの案件だ。全てを聞けるとは思わないのだが、情報はできるだけ欲しいところだ。


「今回の案件非常に頭が痛いことになってまして……。メイゼルの件もあります。グレンさんには優先的に情報を提供したいと思っています。ただ、関係各所への根回しが必要です。もう2日ほどお待ち頂けませんでしょうか?」逆に2日でいいの?って思ってしまう。


「2日くらい全く大丈夫だ。逆に観光できる時間ができてありがたい」シェステと顔を見合わせ、微笑む。

「そう言って頂くとこちらとしてもありがたい。しっかり根回しさせて頂きますので、主都観光をお楽しみください。カーラ君、案内役を頼みます」


「はい、お任せください!」それは心強い。それに、何よりもカーラ自身が嬉しそうだ。シェステも笑顔だし、臨時休暇としてしっかり楽しもう。


 その後、先日捕獲した襲撃者達を全員引き渡した。先日取引した槍使いが、部隊のリーダーだったようだ。全員大人しく投降した。十分に反省をし、更生の機会が与えられることを祈ってるよ。


 余談だが、ギルドから出る所で学術ギルドの皆さんに呼び止められ、先日の開拓者筆記試験の件で質問攻めにあった。後日時間を取って改めてということで何とか落ち着いたんだが……。あの時の俺、迂闊すぎるぜ!


 宿の方はギルド経由で手配済みということだったので、ひとまず荷物を預けに向かう。


「今日からしばらくの間よろしく頼む」

「アイン様から直々に頼まれておりますので、しっかりとおもてなしさせて頂きます。どうかごゆるりとお過ごし下さいませ」宿屋の主人はとても穏やかだ。言葉通りのおもてなしをしてくれるだろう。

 我々としての感謝の表し方としては、主都で思いっきり楽しく過ごすことだ。ある程度のわがままもおそらく喜んでくれるだろう。堪能させて頂きます!


「ではこれが部屋の鍵でございます」3人分の鍵を受け取り部屋へ向かう。


「うわ~!」シェステが住んでいた家以外では、屋内で休むのはゼトの家以来だったな。シェステがベッドではしゃぐのも無理はない。せっかくの機会だ。十分に満喫してもらいたい。


 部屋に荷物を置いたものの、落ち着きのないシェステがせがむので、早々に街に出てのんびり?観光をすることにした。

 早速、シェステ様のレーダーが反応しております!付近に肉の気配アリか!


「グレン!あれ!あれ!」服を引っ張りながら屋台に興味を示していますね。やはりでしたね。大丈夫です、もう慣れていますので。さぁ行きましょう!

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