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転魔教師~異世界転移した魔王、元の世界に戻るため召喚者の家庭教師になる~  作者: d-side
第1章 アルべリオン大陸編

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26限目「復興支援② 水の配布」

 新しい外壁が町を覆うと、硬さを確かめるように門番達も触っている。

「どうだい?新しい壁は。何ならツルハシやスコップで思いっきり叩いてもらって構わないぞ」思い思いの道具で叩いてみるが傷一つつかない壁に、一同驚嘆の声をあげる。

「すげぇ硬いぞ!」

「こりゃ魔獣が来ても大丈夫だ」


「作った甲斐があったな。後はゲートも新調するから少し下がってくれるか?」

俺は同様の壁を作り調整を施すと、上下開閉型の格子状ゲートを外側に、左右開閉型の扉状ゲートを内側に配置して二重開閉式のゲートにした。これなら状況に応じて内側からの攻撃も可能になる。


「こいつは素晴らしい。まるで城門みたいじゃないか。感謝する!」門番も立派になったゲートにご満悦だ。


「それじゃ次は……。今からストーンゴーレムを召喚してギルドに向かわせる。運搬とか瓦礫撤去などで指示を出してやってくれ。支部長には言ってあるから後は任せる」

「了解した」

「《召喚サモン!》」門番が目いっぱいゲートを開くと、俺はゴーレムを複数体召喚して中央広場へ向かわせた。


「次は木材だな。では森に行ってくる」

「あぁ、気を付けて!」


 少し離れた場所に目を付け、周囲の木々を切り倒すことにした。

「《風裂斬ウィンドスラッシュ》」鋭利な風の刃を複数飛ばし、あっという間に十数本の木材を確保する。こいつは収納して持ってくか。亜空間のゲートを開くとそこに木材を収納していく。ここまで大きいものは流石にマジックボックスでは対処できないので、亜空間に収納した。今回は特別ってことにしておこう。

 そして数十本の木材を確保したところで町へ帰ることにした。



 一方シェステはというと。

「ねぇモネさん。僕に何かして欲しいことある?何したらみんなの役に立つかな」

「たくさんありすぎて何からってのが難しいんだけど……。シェステちゃんは確か四属性魔法できるんだよね?」

「うん、基礎魔法だけどね。でもスタンレーさんに褒められたよ!」

「それはすごい!十分よ。ならそうねー。水とか出せたりする?今水が足りなくて困ってるの。隣の教会で水を配布してるけど、追いつかないって。お手伝いしてくれる?」

「わかった!」

「行ってらっしゃい、頑張ってね!」モネの見送り後、まずは隣の教会へ向かう。


 確かに教会前に結構な人が集まっている。どうやら水魔法で水の供給を行っているようだ。


「こんにちは。ギルドのモネさんからお手伝いするように言われてきました」

「ギルドから?君は?」

「僕シェステって言います。さっきFランク開拓者に登録されて、お手伝いしたいと思って」そう言いながら青色のプレートを見せると、驚きつつ感心した様子で彼女の顔を見つめる。


「そうか。私はハンターギルドのダインだ。その若さで開拓者登録とは。これは将来が楽しみだね。わかった。何を手伝ってくれるのかな?」

「僕、水魔法が使えるので、水の配布を手伝えるってモネさんが言ってました」

「そうか!それはありがたい。おじさん一人じゃなかなか捌き切れなくってね。ではおじさんの隣でみんなに水を配布してくれるかい?」

「頑張ります!」


 ダインの隣で水の配布を開始する。《水球ウォーターボール》を使い、住人の持つ水瓶に注いでいく。だが、水瓶を持ってくるだけでなく、水が入った後の重い状態の瓶を持ち帰るのがすごく大変そうだと、彼女は思う。

 だが、今は目の前のことに集中するしかない状況を幼心に憂うシェステであった。


 行列が少しずつ緩和してきた頃合いを見て、ダインが話しかける。

「おかげでだいぶん落ち着いたよ。ここからはまた私がもう一人と交代でやるから、もしよければシェステは通りを歩いて、水を必要としてる人たちを見かけたら、助けてあげてほしい。頼まれてくれるかい?」

「わかった!ダインさんも無理しないでね?」

「ありがとう。道を通る時は瓦礫とか屋根から物が落ちてこないか気を付けるんだよ?」

「気を付けるね、ありがとう!」

 そういうやり取りをしていると、ゲートにつながる大通りの方からゴーレム達が到着した。

「あれ、グレンのゴーレムだ!」走り寄ると、スタンレーもやってきた。


「おぉ、これが。6体いるようだね」

「スタンレーさん!」

「シェステ。水の配布手伝ってくれたそうだな。ありがとう」

「うん。これからゴーレム達に仕事頼むんでしょ?」

「あぁ、瓦礫除去と資材運搬とかを頼もうと思ってるところだ」


「あのね?さっき水の配布手伝ってたんだけど、運ぶの大変そうだったから、どうにかできないかなって思って……」

「そうか……そうだな。じゃ、2体に水の運搬を手伝ってもらうか。うん、よく見てよく考えてるじゃないか。えらいぞ?」頭を撫でてもらうシェステだった。


「余ってる水瓶ってある?僕がそれに水入れるから運んでもらおうよ」

「頼めるか。すぐに荷車と水瓶を用意させよう」その後用意された水瓶にシェステが水を注ぎ、荷車に載せるとゴーレムがそれを運ぶ。

 運んでいる途中で必要な人と水瓶を交換し、空になった物を持ち帰り再び充填した水瓶を載せた荷車をゴーレムが運ぶという形をとった。これで少しは水不足が解消されることを望む。


「どうかな?水足りたかな……」

「100%とはいかないが、シェステはすごく頑張ったと思うぞ?気にするな。足りない時にどう過ごすかってのも、いい経験になるんだ。心配してくれてありがとな」心配そうなシェステにスタンレーが声をかける。

「うん。じゃ、他にやれることがあれば手伝うよ!何かある?」


「そうだな……。もうすぐ日が暮れる。

 さっきから大きい音が聞こえなくなったから、おそらくグレンの防壁修理が済んだんだろう。となると今木材の調達中ってことだな。グレンのことだ。さっさと済ませて戻ってくるだろうから、冷える前に暖を取る準備をしたい。通りを巡って薪を燃やす手伝いをしてくれないか?」


「わかった!暖かいと嬉しいよね~。じゃ、行ってくる!」

「あぁ、十分気をつけてな!」

「は~い!」意気揚々と出かけるシェステであった。

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