第三話:ぱっぱっぱ●ゅーむ!ちょこれいと、もりし!ズコー!!なんでやなんでやなんでやねん!
「ぱっ!」
僕、つつつと、宇宙一かわいい巫女かみしらいしもりしの旅が本格的に始まった。目指すは金色に輝く巨大な城、そこにいるというラスボスシマダニシパを倒すためだ。
「シマダニシパは、ぱっぱっぱらだいすを牛耳っている存在。特に中華料理、タイ料理、ラーメン、カレー――これ全部彼の支配下なの。」
「全部!?」
もりしの説明に僕は驚愕した。どれも僕の好きな料理だ。そんな大事なものを独占されるなんて許せない。
「でも安心して。私だけが知っているシマダニシパの弱点があるの。」
「おお!教えてくれ!」
「それは……まだ言えない。」
「なんでだよ!」
彼女はぷいっと横を向く。もりし、かわいいけど妙に意地悪だ。
そんな調子で僕らが城に向かっていると、突然、道の真ん中に男が立ちはだかった。
「お前たち……ここから先には行かせない。」
声が低く響き渡る。現れた男は甲冑を身にまとい、槍を持ち、どことなく気品すら感じさせる。僕は思わず警戒心を抱いた。
「俺の名はSANO©️。シマダニシパ様の最強の幹部だ。」
彼は槍を肩に担ぎながら、堂々とした態度で僕たちを見下ろした。鋭い目つきに、整った顔立ち。そしてその声――どう見ても「強敵」オーラ全開だ。
「ここで引き返すなら命は助けてやる。だが、進むなら覚悟しろ。」
「強そうね。」もりしがポツリと言う。
「おいおい、もりし。ちょっと危険すぎないか?」
「怖気づいたか、つつつ!」SANO©️は冷笑を浮かべた。「その程度の男なら、ここで終わりにしてやろう!」
彼が槍を構えた瞬間、その空気は一変した。彼の動きは速く、力強い。僕は必死で避けるが、かすめる風圧だけで地面にヒビが入る。
「おい、これヤバいって!強すぎる!」
「ふふん。これが俺の力だ。」
槍を華麗に振るい、余裕の表情で僕を追い詰めていくSANO©️。強い――いや、強すぎる!
しかし、僕が必死で逃げ回っていると、ふとした瞬間、彼の動きが鈍くなった。
「おい、何してんだ?」
「……うっ、うるさいでヤンス!お前が追い詰めるから緊張したでヤンス!」
あれ?急に語尾が変だぞ。しかも、どことなく焦っている。
「いや、なんか弱気になってないか?」
「そんなことないでヤンス!俺は最強のSANO©️でヤンス!」
おしゃれでかっこいい雰囲気だった彼が、焦るたびに謎の語尾「ヤンス」を連発し始めた。どうやら、気が弱いのを隠していたらしい。
「おいおい、さっきまでの余裕どこ行ったんだよ!」
「だ、だまれでヤンス!俺は強いでヤンス!」
さらに槍を振りかざすが、その動きは完全に雑になっている。もりしが横で冷静に呟く。
「SANO©️、ちょっと余裕がなくなってきたわね。」
「お前もなんか言えよ!」
僕がツッコミを入れる間もなく、突然空が暗くなり、遠くから何かが飛んでくる音がした。
「おい、なんか来るぞ!」
「うわぁ!シマダニシパ様の“パンチ”でヤンス!」
ドカーン!!
巨大な金色の拳が地面を揺らし、SANO©️を直撃。彼は見事に空高く吹き飛ばされた。
僕ともりしは呆然と立ち尽くしたが、土埃の中から元気な声が聞こえてきた。
「い、痛いでヤンス!でも、俺、ケガしてないでヤンス!」
「どういうことだよ!」
「耐久力だけは自信あるでヤンス!」
もはや哀愁すら漂うSANO©️。彼は槍を拾い上げると、またポーズを決めた。
「し、シマダニシパ様の力を見たでヤンスか!次こそは俺が勝つでヤンス!」
そう言い残し、彼は華麗に槍を担いで逃げ去った。いや、最後まで弱かったけど……。
「ちょっと憎めないキャラだったな。」
「でも、あんなのが出てくるなら、シマダニシパってどれだけ強いのかしら。」
僕たちは改めて気を引き締め、シマダニシパの城を目指して歩き出した。
(つづく)