第二話:ぱっぱっぱせりはおいCY!なんちてなんちて!!
僕は今、異世界の村のど真ん中で青い髪の少女に案内されている。名前を聞いた瞬間、そのインパクトに固まった。
「私の名前は、かみしらいしもりし。」
長い。そして、やけに神々しい名前だ。
「かみしらいしもりし……いや、長いな。略して『もりし』でいい?」
「ダメだよ!」彼女はぷくっと頬を膨らませる。「ちゃんとフルネームで呼んでね。それが私の誇りなんだから。」
話を聞けば、彼女はただの少女じゃなかった。かつて彼女は宇宙の巫女だったらしい。宇宙そのものの秩序と調和を司る存在で、その美しさと力は銀河中に知られていたとか。
「でもね、今はその役目を終えて、ここで普通の生活をしてるの。」
そう語る彼女を見て、僕は驚愕した。なんと、この世界どころか、宇宙全体の「かわいい」の定義が彼女から始まっているというのだ。
「全世界のかわいいの語源は『MORISHI』なのよ。」
「……え?」
「たとえば地球の『CUTE』とか『かわいい』って言葉も、もともとラテン語で『MORISHI』っていうのが語源なの。」
僕は絶句した。いや、そんな壮大な話をサラッとされても困る。でも、確かに彼女のかわいさは異次元的だ。あのガルバで見たどんな美女よりも、圧倒的な存在感を放っている。
「でさ、もりしさん。」
「だから、かみしらいしもりし! ちゃんとフルネームで!」
「……かみしらいしもりしさん。」僕は渋々言い直す。「結局、この世界に呼ばれた理由って何なの?」
彼女は真剣な表情で僕を見つめた。
「君は救世主だから。ぱっぱっぱらだいすを救う運命なの。」
また救世主だ。どうして僕みたいな普通の男がそんな大層な役割を担うんだよ。でも、ここで否定するのも格好がつかない。
「まあいいけど、何をすればいいんだ?」
「それは簡単! ぱっ!って言いながら、この世界の平和を守っていくの!」
簡単どころじゃない。説明がふわふわしすぎて意味がわからない。
村の外れに着いた僕たちは、小さな丘の上で足を止めた。かみしらいしもりしが、遠くを見つめながら呟く。
「見て、あの城。あそこにいるのが、この世界を脅かす悪の存在なの。」
視線の先には、やたらギラギラとした金色の城があった。遠目で見ても趣味が悪い。
「彼らを倒すのが君の役目。救世主としてね。」
僕は頭を抱えた。まさか異世界に来て、こんな無茶ぶりをされるとは。
でも、かみしらいしもりしのキラキラした瞳を見ていると、断る理由が見当たらない。いや、なんだろう。この圧倒的な「かわいい力」のせいか、自然とやる気が湧いてくる気がする。
「わかったよ、MORISHI。」
「かみしらいしもりし!」
こうして僕と宇宙一かわいい巫女の物語が動き出した。
(つづく)