すれ違い
人は
肝心なところで
愛を伝えられず
自らの中で
産声を上げた大切な気持ちを
口から巣立たせずに
身振りで手振りで存在を示さずに
自らの中で
殺してしまう
誰だってそうなんだ
涼しげな北風は
あと一歩
ほんの一歩で
僕たちの心を閉じてしまう
自らの愛という思いが
言葉という生き物になり
僕たちに涙を流させようとし
僕たちを傷つけようとするのを
怖がり
恐れ
無難に口を閉じる
そしていつか
その気持ちの
亡きがらを発見し
僕たちはため息をついてしまうのだ