その5(34)
リポーターA(以下、A)<今回から反撃が始まりそうですね。前回のことですが、テルテがスートと体を共有できるとは知りませんでした。人形同士だからこそできたのでしょうか>
リポーターB (以下、B)<あと、私たちの意見が通ったのか、ニブイチ氏にも心当たりがあったのか、とうとうR-15タグがつきましたね!>
A<そんなことは別に後でもいいでしょう。さっさと続きを見ていきますよ。まずはニブイチ氏の語りからです>
メルメを攻略し、サカと詩人を助けるために、何が必要かをスートとテルテと共に話し合った。
「あるじ様、髪の毛が必要なんです!」
これはスートの発言だが、決して冗談のつもりではない。真剣に提言しているのだ。僕は返事に、
「よりによって髪の毛を手放すのはなあ」
「潜入した毛のいくらかは裏切っていたことを白状したでしょう。毛に仕事を委託するのはそのような心配が付き纏います。しかし髪の毛に関しましては、この心配が入りません!なぜか?それはメルメが魔術に目覚めたきっかけが薄毛に悩んだからなんです」
自分の胸にしまっておきたいことを、こうもオープンに暴露されるメルメに同情した。スートは言葉を続けた。
「毛を相手に突き刺して、失神させるつもりだった。でも何本かは裏切りを宣言し、親玉であろうメルメに存在が知られた今、毛だけでは救出は無理でしょう。だが毛は必要です。大役を果たしてもらいます」
屋敷のどこかにいる詩人から連絡が来た。
『毛が連絡毛になっているとは驚きだな。毛の方から来てくれなかったら絶対気づがなかったよ』
「君もサカも無事かい?」
『俺は問題ない。サカは痛ぶられていたところまでは確認した。俺は別の部屋に連行されたから今どうか分からん』
「裏切り宣言した毛も多いんだ。そこで確認したいんだが、君はサカ救出に協力してくれるかい?」
『さて、どうしようか』
詩人は乗り気でない声で悩んでいた。いや、悩んではいないだろう。
「おい待て、連行されたと言ったが、サカを助けようとはした結果なのか」
『何もしてないよ。メルメと話していたら連れ出された。助けることがいつも相手のためになるわけではない。敢えて放っておくのも優しさだ』
「それなら聞き方を変えよう」
僕は以前詩人がとった行動を思い出していた。あれは獲物に対して一切の躊躇のない、野獣の如く残忍な仕打ちだった。
A<その22の詩人には顕著に現れていますね>
「メルメに一撃お見舞いしたいから、その下準備を頼みたい」
『一撃だけかよ。俺も一撃加えたいな』
「それは任せる。が、そんな必要はないと分かるだろうよ」
『ほう、その一撃とやらはそんなに重いのか』
「君は人の悶絶する姿は好きだろう」
『程度と状況による』
「失神は確定だぞ。内部からぶっ壊れるからな」
『それなら面白そうだ。手を貸そう』
「そこらへんの毛みたいに裏切らないでくれよ」
実は裏切った毛から具体的な妨害を受けていなかった。僕らとの連絡を切り、サボっているだろうと推測した。仮に動かれたとしても、統一性のない行動なら些細な問題ない。集団行動とれての毛であって、烏合の衆では無意味だ。はじめからそうと分かって毛を使役できればよかったのだが。
『動機は明白だ。メルメの動機と同じだ。あいつがサカの壊れた姿をみたいと言ったように、俺もメルメの壊れる姿が見たい。それだけさ』
そこまで聞いてようやく具体的な話に移れると確信した。僕は安堵の息を漏らした。
「メルメ以外の敵は蹴散らしてくれ。特に犬は毛を使う上で厄介だから最優先で頼む。もちろん犬に準ずる生物もだ」
『あー、犬って言うのは俺を連行してきたぞ。かなりの力を持っている。取っ組み合ったら、勝てないかもしれない』
「犬と取っ組み合う?人じゃないんだし、そんなことないだろう」
『人だよ。"犬"は人のあだ名さ』
妙なあだ名をつけるもんだと思った。これもメルメの趣向によるものに違いない。
『そろそろ動かせてもらうぞ。既に片足に逃げられてしまってな』
今度は信頼できる尻毛1たちに伝達をした。外堀を埋めてもらう役目を頼んだ。
あとはテルテに準備をさせ、キーワードである「外堀が埋まってから」、「髪の毛は裏切らない」、「距離感を保て」の三つを繰り返し言った。
テルテが行動の軸となる。僕は屋敷の外で一人取り残され、作戦の成功を祈った。
汗があらゆる方向へ流れ落ちてゆく。普段は鬱陶しく感じるのだが、今は緊張もあって心地よいとまで感じていた。
A<ちなみにですが、前回のその33に加筆と訂正をしました。加筆と言っても私が終盤に一言加えたくらいですが>
B<わざわざ雰囲気を壊しかねないフレーズを入れるのはいかがなものかと思います。ニブイチ氏が確認しないのをいいことに、なんでもかんでも書かないでいただきたい。それにしても「外堀が埋まってから」、「髪の毛は裏切らない」、「距離感を保て」って何のことなんでしょうか。今回はここまでです>




