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第55話、クロード・クライシス侯爵⑤


 アーノルドの実の父親であり、この屋敷の主人たる存在。

 そんな人物が何故目の前に現れたのか、もしかしたらアーノルドが強引に連れてきたと言う事を聞いて、現れたのだろうかと色々な事を考えながら、汗が大量に出ている自分が居るとも知らずに。

 震えている小動物のような感じのアリスに対し、クロードはとても優しい笑みを見せながらアリスに声をかける。


「アリス嬢、私で宜しければ一緒にお茶でもどうだろうか?シファが入れてくれたお茶は格別に美味しいからね」

「あ、の……私のようなモノが、い、一緒に居て大丈夫なのですか?」

「別に気にしていないよ。君は私の息子が連れてきた、初めての友人であり、初めての女性なのだから」

「……」


 悪意がないのはわかっている。

 しかし、本来ならばアリスのような存在が、この場に居てはいけないのだとわかっているのだが、優しい笑顔で言ってくるクロードに断る事が出来なかったアリスはとりあえず彼の言う通りにするために椅子に座る。

 笑顔でアリスに視線を向けているクロ―ドにどのような顔をすればいいのかわからないまま、汗を流しながら震える指先でカップを持ち、静かに口の中に含んだ。


 先ほども飲んだが、シファが入れてくれた紅茶は不思議と、安心させてくれる力があるのか、美味しい。

 体の隅まで温まる、そんな感じがした。


「……シファの紅茶、本当に美味しいです」

「そう言っていただけると、嬉しいです」

「……シファはここに居て長いのですか?」

「ええ、かれこれ十五年お世話になっております」

「……そう、ですか」


 アリスは用意してくれた紅茶を見て、嘗て自分に手を伸ばしてくれた使用人たちの事を思い出していた。


 学園に入学する時には、家族に見つからないように小さくお祝いしてくれた。

 いつも一緒に居てくれたメイドのメリッサは美味しいお茶を用意してくれたのだが、シファのような紅茶とか違った、殺伐した味だった。

 のちに聞いた時はメリッサはどうやら料理とかはお茶を入れる事とかを苦手とするメイドだったのだが、アリスにとっては傍に居てくれるだけでありがたかった。


 学園に行った後、彼らとは連絡を取っていない。


(……メリッサたち、どうしてるんだろう)


 父親に良い様に使われていなければ良いのだけれど、と思いながら、アリスがカップを机に置くと、視線に気づいたので顔を上げてみると、そこにはジッと見つめながら首をかしげているクロードの姿があった。


「どうかしたかなアリス嬢。紅茶、美味しくなかった?」

「あ、いえ、とても美味しいです!ただ……うちの家族の事情はアーノルド様から聞いておられますか?」

「一通りは聞いているよ」

「……家族には存在を消されていましたが、それでも私を愛してくれる人達は居ましたから。メイドの一人にメリッサと言う女の人が居たのですが……家を出て寮に入った後は、手紙とか連絡していなかったので、今頃どうしているかなーなんて思いまして……」

「心配、している感じかな?」

「そんな感じです。後、メリッサお茶とか入れるのすごく苦手だったので……殺伐する味のお茶を飲んだのはあの時初めてでしたね、懐かしい……」


 殺伐的な味、つまりまずい。

 シファの紅茶は本当に美味しいが、それ以上にメリッサのあの味のお茶が少しだけ飲みたいなと思いながら、静かに笑った。

 そんなアリスを見てクロードは一言。



「――リーフィア家がどうなっているか、知りたいかい?」



「……え?」


 笑顔でそのように発言するクロードに対し、驚いた顔をしながらアリスは目の前の人物に視線を向ける。

 クロードはフフっと笑った後、目線を別の方向に向ける。


「シリウス」


「――ここに」


「うわっ!?」


 誰かの名前を呼んだ瞬間、突然クロードの後ろに姿を見せた五十代ぐらいの年齢の男性が膝を床に付きながらお辞儀をしている。

 突然彼が現れた事により心臓をバクバクさせながら呆然としているアリスの背中をアスモデウスは急いでさするようにしながら彼女を落ち着かせる。


「だ、大丈夫ですよご主人様。敵ではありませんから」

「わ、わかっているんだけど……」

「ああ、驚かせてしまってゴメンね。後ろに突然現れたのはシリウス。私の専属執事みたいな者で、シファの実の兄だよ」

「え、シファの、お兄さん?」

「はい、実の兄です」


 シファに兄が居ると言う事、そしてクロードの専属執事と言う肩書に驚いたのだが、どうみても顔つきが執事と言う感じではないと、アリスはその時思った。

 シリウスは怯えている顔をしているアリスに視線を向け、一礼した後口を動かした。


「驚かしてしまい、申し訳ございませんアリス様。私はシファの兄、シリウスと申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」

「は、はい、よろしくお願いいたします」

「……やっぱ、この屋敷、異常だわ」


 挨拶をしてきたのでアリスも簡単に挨拶をしている中、アリスの背中をさすっていたアスモデウスは青ざめた顔をしながらそのように呟いていた事をアリスは知らない。

 シリウスはアリスに挨拶を終えた後、再度自分の主であるクロードに目を向ける。


「ご命令は、リーフィア家の事でしょうか?」

「潜り込んで調べてきてくれるとありがたい。まぁ、アーノルドの方も手を回していると思うけど、もっと深く調べてくれるかなシリウス?」

「あなたのご命令ならば」


(……アーノルド様も手を回している?)


 クロードの言葉を聞いた瞬間、アリスはアーノルドの名前が出てきたことに驚きながら、消えていくシリウスが居た場所を見つめる事しかできなかった。

読んでいただきまして、本当にありがとうございます。

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