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第41話、彼女を幸せにしたい②


 リーフィア家は有名な魔術の家系であり、魔力が多いと言われていたが、アリスはその魔力に恵まれなかったと言っていいほど、彼女の魔力はほぼない。

 だからこそ、伯爵であるアリスの父親は許せなかったのかもしれない。それから、アリスを居ないように扱っているのだから。

 生んだ母親も、滅多に会う事のない双子の兄弟たちも、アリスの事をないかのように扱っている。たかが、魔力がないと言うだけで。

 唯一、彼女には味方がいた。

 屋敷の人たち、街の人たち、そして、彼女の父方の祖父は有名な魔術師の一人であり、彼女の事も他の孫たち同様に手を差し伸べてくれた存在だ。


 この世界は魔力があればあるほど上を目指せる世界。

 リーフィア家はそれに従っただけなのかもしれない。


「……」


 アーノルドは唇を噛みしめる形を見せながら、アリスと最初に出会った日の事を思い出し、彼女は家族の話をしていた時の顔はとても興味がなさそうな顔をしながら話していたのを覚えている。

 アリスは、家族に愛された事がない。

 だからなのかもしれないが、スフィアにどのように接すれば良いのかわからなかったのかもしれない。手を差し伸べた少女の手を、どのように握ればいいのかわからなかった姿がアーノルドには見えた。


「兄さん、結婚の事ですけど」

「…………ああ、結婚な」

「もしかして、ちょっと忘れてました?」

「いや、当たり前だと思ってた」

「全く……うちの男たちはどうして強引な性格なんですかね……人の事言えないですけど。で、どうするんですか?まずは婚約をしてから結婚になりますけど、婚約するならあちらの家族のご報告しないといけないですし」

「ああ、そのつもりだ……強引に進める」

「……兄さん」


 ギラギラした目をした兄の姿を見たアルドは再度ため息を吐く。

 求婚し、逃げられた事までは知っていたのだが、まさかあのように強引に連れてきて、部屋まで用意して、と言う兄の行動に驚いてしまったのはアルドだ。

 そろそろ婚約者を決めなければいけない、相手を見つけなければいけないと父親である侯爵は一年前から相手側の方を調べながら探していたらしいのだが、アーノルドは女と言う存在が嫌なのか、父親の話を聞いて嫌そうな顔をしながら断っていたのに――アルドも、父親も、まさか相手を見つけ、そして逃げられたと言う話になった時は驚き、アルドは笑った。

 外形は本当に綺麗な顔をしているアーノルドを泣きながら振り払い、逃げるように断った相手が見たいと思っていた。


 アリス・リーフィア――変り者の魔力なしの地味令嬢と呼ばれている存在。


 アルドも彼女ならば、自分の義姉になってもらいたいと初めて会った時から考えてしまった。スフィアの事を蔑む事もなく、伸ばした手を優しく握ってくれた相手だから。

 再度、息を吐きながらアルドは答えた。


「強引に進めるのは、まぁ僕も賛成ですけど……ちゃんと再度返事を聞いた方がいいと思いますよ、兄さん。嫌われたら意味がないでしょう?」

「……そうだな」

「……受け入れてくれると、良いですね」

「……」


 アルドがそのように呟いた後、彼は一礼して部屋から出ていく。

 残されたアーノルドは深く息を吸い、吐いた後、天井に目を向ける。


 天井に目を向けた時、アーノルドは再度、アリスの事を思い出す。

 アリスと楽しそうに笑っていた妹の姿を見てしまったアーノルドは、どうしても彼女を何とかしたいと思ってしまった。


 無視される扱いを血の繋がりのある家族にされるのはつらい。

 幼い頃からそのように育ってきた少女が、最後まで諦めずに生きてこれたのが、周りの人たちが優しかったから。

 そして、彼女の傍にある魔導書が、彼女の事を大切にし、守ってくれた。


「……いつか――」


 静かに呟きながらアーノルドは目を閉じる。



『シアワセには出来ないよ。十八になったら、彼女はもらうね』



「ッ!!」


 突然不穏な声が聞こえてきたアーノルドは急いで立ち上がり、近くに置いてあった長剣を手に取り、鞘を抜く。

 周りに目を向けたのだが、そこには誰もらず、気配すらない。

 しかし、確かにアーノルドは聞いた。子供のような男の声を。

 呆然としながら警戒を続けていた時、突然扉をノックする音が聞こえた。


「失礼いたしま――アーノルド様、いかがなされました?」

「あ……いや、すまない。なんでもない」


 扉から入ってくると、飲み物を持ってきたのか、カルロスが姿を見せたので、アーノルドは不安な気持ちを覚えながら、抜いた剣を鞘に納めるのだった。

読んでいただきまして、本当にありがとうございます。

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