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■93 エメラルドの落とし物

また何か書きたくなってきたので書きます。

多分他サイトになるかも。その時は活動報告も見てほしいな。

 困った。

 全然見つからない。

 光が透過するように谷底に入ってきており、そこには普通では考えられないほどおっきなモンスター達がウヨウヨしていた。


「どうしようスノー」

「どうするもなにも、危害を加えなければ襲ってはこない」

「だとしてもー、流石にあんなにおっきな羊は怖いでしょ」


 ちなっちの言う通りだ。

 ジオ・シープとか言うジオシリーズの巨大羊は全長が5メートル近くある。ちょっとした木よりも背が高いのだ。

 あんなのに踏み潰されでもしたら一発で死んじゃうよ。


「だがエメラルドストーンを採取する方法もジオシリーズが関係しているぞ」

「どういうこと?」


 私達は上を通るジオ・シープを見ながら話を聞く。

 するとスノー曰くエメラルドストーンと言うのは鉱石の中に含まれる特別な成分がこの複雑な地形と環境、それからあのジオシリーズの体内構造によって生成される極めて珍しい石らしいことがわかった。

 なるほど。だからシズさんが言ってた珍しいに繋がるんだ。一人納得はしたけれど、でもそれって具体的に如何手に入れるんですか?私は首を傾げる。


「エメラルドストーンはアイツらからしたらなんの価値もない異物だ。つまりそこら中歩いていればそのうち見つかる」

「見つかるって。珍しいんでしょ?」

「確かにな。だが、それは発生期間とこの土地の地形。厳密に言えば、色合いが関係しているだけらしいな」

「どゆこと?」


 私はピンと来なかった。

 そんな私とちなっちを放置して、スノーは淡々と周囲を散策する。

 しかし首はやや地面にむけており、目を凝らして何かを探しているみたいな節を感じた。


「いいか。エメラルドストーンにも品質はある。それらを気にしないのであれば、ん?」

「スノー?」


 スノーが立ち止まる。

 しゃがんで何かを取る仕草をした。もしかして何か見つけたのかな?でもまさかエメラルドストーンじゃないよね?あっ、これフラグとかじゃないよ。


「スノー?」

「こんな風に簡単に見つかる」


 そう言って高らかに掲げたのは綺麗な緑色をした宝石だった。

 透明度が高く谷に差し込む光がを透過している。

 てかフラグじゃんこれ。そもそもそこら辺に落ちてる石ころなの?でもそれじゃあ何で珍しい……あっそう言うことか。


「光が透過しちゃって草と同化しちゃってるってこと?」

「そうだ。簡単だろ」

「うん」


 私は大きく頷いてみせる。

 確かにスノーの言う通りやることは簡単だ。だけどそれは“品質”を無視した“採取”面における簡単。つまりここからしっかりとしたものを見つけ出すのは骨が折れると言うことだ。

 だけどちなっちは乗り気だ。


「よーし!じゃあさっさと見つけちゃおうー!」

「テンション高いねちなっち」

「だってさー、無難でいいじゃーん」

「確かに無難だよ」

「それに採取だけなら私の【加速】が役に立つでしょー」


 ちなっちは豪語する。

 私には如何言う意味かはさっぱりだったけど、スノーは「なるほどな。その方法は面白い」と絶賛している。

 スノー曰くの何かが全く掴めないまま、ちなっちは早々に【加速】を使った。


(なにするのかな?)


 ちなっちは【加速】を使って手当たり次第に落ちているエメラルドストーンを拾い上げる。

 これぞ早業。その無駄のない動きについていけない私は何かを悟る。もしかしてそんなわけないよね?いや、それしかないのかな?

 私が思ったのは単純だった。

 でも確かにそれが手っ取り早いし、無難な気がする。


「よし、こんなものかなー」

「お疲れちなっち」


 ちなっちは暫く【加速】を使いエメラルドストーンを集め続けた。

 体力のあるちなっちだからこそ出来る芸当。感銘を受ける。

 と言うか一体幾つ集めてるの!って言いたくなるほどの量がちなっちのインベントリには押し込まれていた。


「こんな感じでいいかなー?」

「うむ。後でコレを私が仕分けるのか」

「そうかもー」

「そうかもじゃない」


 スノーは抗議する。

 やっぱりそうだ。ちなっちも私と同じで無茶苦茶。


「もしかしてちなっちの作戦って」

「うん。手当たり次第に拾って良さげなのを渡すことだよー」

「で、ですよねー」


 まあ大方予想通りだ。

 ちなっちとの付き合いはそこそこ長い。チームスポーツの時に見せる冴え渡った感覚とかではなく、ただ単純な作業も淡々とこなしてしまうのがちなっちの利点だ。

 それを自分から理解した上で行動しているのはやっぱり側から見ても目を見張るものがある。

 でもこれは流石にね。


「ちなっちって無茶苦茶だよね」

「ん?マナには言われたくないけど」

「どういうこと?」


 私は首を傾げた。

 私が無茶苦茶なら皆んなの方が普通じゃないよ。と言いたいけど、まあそんなことを言っても何にもならないので黙っておく。

 ていうか皆んなのそれは普通に才能だ。私みたいにとかなんとか言えるほど最近、私もこっちだと普通じゃなくなってきていた。

 まあそれは逆に楽しいしいいんだけどね。


「はぁーとりあえず帰るぞ。こんなところにいても、時間を浪費するだけだ」

「あっ、待ってよスノー!」

「私達も手伝うよー」


 先に帰ろうとするスノー。

 そんな彼女の後を続く私とちなっちはこの後スノー一人に任せそうになっていた選別作業をするのでした。

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