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■92 緑の谷

久々の投稿です。

「えっ、エメラルドストーンの採取ですか?」

「そう」


 私は久々にリオナさんのお店に行った。

 するとそこでシズさんから依頼をされてしまった。前に採ってきたドラグノ石の件を高く買ってくれているらしい。


「駄目?」

「えっと……」


 困惑する私。

 そこでリオナさんはシズさんを注意する。


「こらこらシズ。あんまりマナちゃんに無理言っちゃ駄目でしょ」

「でも欲しい」

「だったら自分で採ってくればいいじゃない」

「私は生産職系。討伐には向かない」

「とか言って面倒くさいだけでしょ」

「それもある」

「シズ!」


 リオナさんが怒った。

 リオナさんが怒っている姿はシズさんの前でしかみたことがない。

 うーん。喧嘩になられても困るし私も少し興味がある。


「あのシズさん。そのエメラルドストーンってどんなのですか?なにかのゲームで出てきそうな名前してますけど」

「ん?エメラルドストーンは緑の谷でたまに採掘される鉱石」

「鉱石?あっ、だからシズさんそんなに熱くなってるんですね」

「それは余計」

「すみません」


 私は軽く平謝り。

 でもエメラルドストーンとか響きからして綺麗そうな石だ。“たまに”ってところには引っかかるけど、私も少し見てみたい。


「あの、その緑の谷って何処にありますか?」

「ん?〈ミヤビ〉の周辺。清流と木々が立ち並ぶ深い谷の底」

「そうですか」

「ちょっとマナちゃん。もしかしてだけど……」

「はい。今度行ってみます!私もエメラルドストーン見たいので」


 と言うことがきっかけだった。

 で、今日だ。



「と言うことで、今から探そ」

「「はぁー」」


 スノーとちなっちがポカンとした顔で私を見つめる。

 まあ確かにね。私も何となくノリで決めてしまった感が否めない。だけど前もって事情は説明しておいたし、そもそもこの場所について教えてくれたのもスノーだ。

 だから私のせいだけじゃない。誰かのせいとかにすると感じが悪いので、この際そんなこと忘れちゃおう。


「エメラルドストーン。依頼を受けたとは聞いていたが、まさかソレだとはな」

「私は全然知らないけど、やれることはやるつもりだよー」

「ありがと二人とも」


 如何やら二人とも乗り気でいてくれた。

 安心した。やりたくもないことをやらせるなんて嫌だもん。

 一応私がギルマスではあるんだけど、だからと言って皆んなを迷惑なことに巻き込むのは避けたくもあった。ギルドのトラブルは皆んなで解決するのがモットーだけどね。


「で、そのエメラルドストーンってなに?」

「あっ私も私も!」

「まさか二人とも知らずに来たのか」

「「うん!」」


 ちなっちとハモった。

 だよね。正直シズさんの説明だけじゃまだピンと来ていなかった。そもそも緑の谷っていう安直なネーミングの場所すら知らなかったのだ。

 と言うことでいつも通りスノーに説明してもらう。


「はぁー。緑の谷は深い崖の下に位置する森だ」

「森なの?でもそれじゃあ光が届かなくて木が成長しないんじゃないの?」

「そうだな。そのために独自の進化を遂げた生物や植物が多く生息しているらしい」

「らしいって?」

「私も行ったことはないからな。だが得意的な進化となると、巨大化があるが」

「巨大化!」

「ああ」


 何だろ。

 結構怖い。テンションが上がるとか下がるとかじゃなくて危ない気がする。映画だと大体そんな感じだしね。


「とにかく行くぞ」

「うん」


 私達は今眼下に窺える谷を見つめた。

 スノーはそんな谷に繋がる細い一本道を降りていく。私とちなっちもそれに続くように、谷底に向かうのだった。



「うわぁー」

「木、高ーい!」


 私とちなっちはそれぞれ似たような反応で驚いた。

 そこに聳える木々は幹は太くそして背がめちゃくちゃに高かった。

 さらには……


「な、なにアレ!」


 私は叫んだ。

 頭上を飛ぶ巨大な鳥。モンスターなのはわかる。だけどあまりにも大きすぎて届く気配すらない。


「ジオ・ファルコンだな」

「ジオ・ファルコン?」

「ああ。ジオシリーズと呼ばれるモンスター達はその特異的な成長過程により巨大化し、独自進化を遂げている。周りをよく見ろ」

「「ん?」」


 スノーに促されるまま私とちなっちは周囲を見回す。

 すると辺りには至る所にモンスターの姿があった。しかも全部デカい!


「ジオ・ライノス。ジオ・スパイダー。それからジオ・シープ。レベルも高く相手にするのも無理だ」

「じゃ、じゃあどうするの?」


 私が誘ったのに、一番私がテンパっている。

 しかしスノーは落ち着いていた。


「こっちから手を出さなければ危害を加えることはない。ジオシリーズにはそう言った背景があるからな」

「そ、そうなんだ」

「そうだ。わかったらさっさと行くぞ。この辺りにエメラルドストーンはなさそうだからな」


 スノーはそう言うと先に行ってしまう。

 私とちなっちはそんなスノーの背中を追いかけた。

 周りから感じる強烈な圧力に屈しせず、私達はエメラルドストーンを探すのでした。


(でもこれでなんとなくわかった。シズさん達が行きたがらないのって、こう言うことなんだ)


 と内心勘づくのでした。

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