■90 今日はアプデの日らしい
久々に投稿します。
今日は〈WOL〉のアプデの日だ。
アプデ中は当然ログイン出来ないので、正直暇になる。
「まあいっか。そう言えば大河ちゃんから教えてもらった本でも読んで……」
私は大河ちゃんから教えてもらった本を本棚から取り出そうとしたがふとそこで思った。
「そう言えば今日のアプデってどんな感じなんだろ」
そう考えながら本を手にする。大河ちゃんにおすすめされたのはSFもののトワイライトダーク。ミステリーもののIMPOSTER。それからファンタジーものの星間飛行シンドローム。何だろ。どれもこれもネットの海に転がってそうな小説とか曲のタイトルみたいに聞こえる。
でも大河ちゃん一押しだって言うから買っては見たけど、結局放置してたっけ。
私は悩んだ末にファンタジーものの本を手にした。理由は名前がソレっぽいから。
「えっと、なになに……」
私は普段使わないパソコンの前に座った。
電源を入れ、ネットを開き〈WOL〉の公式ホームページに飛ぶ。
そこには今日のアプデのことが書いてあった。
そして具体的にどんな仕様になるのか色々書いてあった。まずその中で一番最初に目に入って来たのは新イベントに関する情報だった。
「“真夏の海と無人の島”無人の島は無人島だとして、なにこのPOP。これってイベントかな?」
正直な話何にも見当は付かなかった。
それっぽい見出しではあるけど、具体的にいつ何処でどんなイベントなのかとかはまだ未定らしい。
それから他にもクエストの追加とかスキルの仕様変更とか色々書いてある。
「そうだよ。スキルスキル!私の持ってるスキルは……ん?」
確かにそのことは依然気がかりだった。
【幸運】とか【雷歩】とかめちゃくちゃ強力なスキルが多く所持している私の身からしたら弱体化させられるのは正直あってほしくなかった。
その期待を込めながら私はスクロールしていくと、変な声を出してしまった。
その理由は極めてシンプルでわかりやすい。
「変更なし?」
たった一言そう書いてあった。
頭の中がぽわーんとする。いわゆる宇宙とか言うか虚空と言うか普通ゲームバランスの調整で強すぎるスキルや魔法、弱いスキルや魔法には何らかの変更が加えられるのが筋だとスノーは話してくれた。
一部例外はあるにしろ、どっちみち何かしらの変化はかかるだろうからとビクビクしていたが、逆に何もないのは不気味だ。と言うかバグなんじゃないかと不安にもなる。
「ま、まあいっあ。いいんだよね?」
如何やら運営さんは多めに見てくれたらしい。
ありがたいことこの上ないけど、もしかしてマイナースキルだってのかな私の持ってるスキルなんて。
そりゃ【コットンガード】なんて誰も使ってないし、【雷歩】なんて知ってる人の方が少ない。ましてや【幸運】のんてレアすぎて知る人ぞ知る状態だってノースは悲しそうに言ってたけど、まさかね。運営さんが忘れるわけないよね?だって運営は管理してるはずでしょ?まさかね。
私は釈然としないままアプデが明けるのを待った。
ちなみにだけどその間例の本を読むことにした。
簡単に内容をまとめると、この小説は宇宙飛行士の三谷ロンドンと言う人が、昔星間飛行中の事故で亡くなってしまった恋人のことを思いながら同じ宇宙飛行士として宇宙に行くと事故に巻き込まれ、そのまま異世界転生してしまったと言うストーリーらしい。
そしてそこにいたのはかつての自分の恋人と瓜二つの人物で……らしいが、ぶっちゃけて言うと私の感想は端的だった。
「やっぱりこれってラブロマンスだよね?」
そうなんだよね。だから最初「ん?」ってなってんだよね。
だってこの本、帯にそう書いてあったんだもん。
あはははは。




