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■89 VSドクノコ

ツチノコって流行ったよね。

知らないけど。

 私は飛んできた何かをすんでのところで回避した。


「危なっ!」


 ギリギリ躱すことに成功し安堵する私。それと同時に〈麒麟の星雫〉を抜刀し低い姿勢で構える。

 この方が安定するし敵の攻撃も察知しやすいとKatanaに教えてもらった。


「な、なに!?」


 私は飛んできた敵が何だったのか改めて視界に捉える。

 そこにいたのは紐みたいなの何か。しかし丸々と太っている。色は茶色とかではなく、自然界ではあり得てはいけなさそうな毒々しい紫色だった。


「蛇?」


 私はそう思った。

 しかし自分から近づこうとはしない。もしもこれが毒なら一大事だ。

 ふと瞬きをしていると、蛇のような何かがのそっと動いた。


「シャァー!」


 威嚇だ。

 その行動や動きから完全に蛇のモンスターだとは推測出来た。だけど何かが分からない。こんなぷっくりと太った蛇なんて私聞いたことない……ん?


「もしかして、ツチノコ?」


 ふと頭の片隅にそんな単語が思いつく。

 ツチノコとは日本に生息すると言われる未確認動物の一種。通称、UMAだ。横槌に似たずんぐりとした形状の胴の太い蛇で、懸賞金が付くほど一時ブームになったらしい。

 もしかしたら蛇が食事の後に丸々太っただけ説とか色々あるみたいだけど、それにしても紫紫(むらさきむらさき)している。


「あれ?でもさっきスノーからのメッセで」


 私はふと気が付いた。

 名前のネーミングからも察しがつく。もちろんと言うか何と言うか、多分このモンスターがドクノコなんだ。

 そしてこの色とその名前から予想つく通り……


「うわっ!」


 ドクノコが口から何かを吐き出した。

 体液?唾液?わかんないけど、紫色をしていた。

 なんとか躱せたけど、紫の液体が付着した草は溶けるようにして枯れてしまっていた。

 ポカンと口を開ける私。その光景からおそらく、このモンスターの特徴は毒にある。

 そしてさっき見せたあの跳躍力。油断しちゃ駄目な相手だ。


「大丈夫。私の方がレベルは高い!」


 だけど一つだけ救いなのはレベルの差があること。

 もちろん私の方が少し高い。しかしドクノコはそんなことお構いなしに、私を敵だと認識しており襲ってきて。

 その攻撃パターンは尻尾をバネのように使って飛びかかる攻撃。

 私は〈麒麟の星雫〉でガードするけど、剣の刀身を利用してもう一度高く跳んだ。


「嘘っ!」


 漫画みたいな奇想天外の行動に驚きあぐねる。

 しかしそんな余裕はない。私はバックステップで躱そうとするが毒の牙を剥き出しにして落ちてきた。


「だったらこれで!」


 私はバックステップに合わせて剣を横に薙いだ。

 ドクノコの毒を剣の刀身で受け流し、そのまま斬りつけ近くの木の幹に叩きつける。

 グギャ!と短い悲痛が訴えかけられるが私は構わず防御の姿勢を取る。

 このまま逃げてしまいたいけど、あの跳躍力と目線から多分逃げても追っかけてくること間違いなしだ。


「どうしよう。このままやっててもキリがないよ」


 正直な話、敵のHPの減りはあんまり良くなかった。

 それだけ防御力が高いのかも。ちょっと厳しい。

 そんなことを密かに抱いていると、ドクノコは起き上がり飛びかかってきた。


「(まただ)そんな攻撃当たらないよ!」


 私はスッと横に避けた。

 しかしドクノコはそんな私に向かって思いっきり毒を噴射する。


「しまっ!」


 私は左腕を前に出してガードしようとしたけど結局食らってしまった。

 ヤバいどうしよう。あわあわと内心めっちゃ焦っていた。だけど私のステータスバーには毒状態のエフェクトが表示されない。それをみて思い出した。私には〈麒麟の星雫〉があるじゃないか!


「そうだよ!私には毒は効かないんだ!」


 それを思い出したらもう怖くない。

 後は全力で相手をするだけ。

 私は【雷歩】を使って高速で移動し、剣で斬りつけた。

 ドクノコはその小さな体には抱え切れないほどの負荷を受け、「グキュゥー!」と鳴く。しかしそれがまたしても闘争心を苛烈させてしまったらしく、ドクノコは私に向かって突撃してきた。


「嘘でしょ!まだやるの!」


 しかも今度はさっきより速い。

 私の剣の速度で敵うかな?不安だ。そんな不安を払拭するべく久々にあのスキルを組み合わせてみた。


「スキル【反転】。これで終わりだよ、【聖拳】!」


 聖なる拳が敵を砕く。

 久々に使った。腕がヒリヒリすると言うか痛すぎて開かない。

 しかしその効力は絶大で、ドクノコの姿は跡形もなく消えていた。

 このスキルは扱いが難しく隙も多くてピーキーなのであんまり使いたくないけど役に立ってくれた。


「はぁはぁ。しんどかったー」


 流石に小さいしすばしっこいと私じゃ手に負えない。

 何とか物理攻撃を発動したおかげで硬い鎧のような鱗にもダメージを通すことが出来たけど、一人じゃ辛いや。私はここで再度、パーティーの大切さを身に染みて体感したのだった。


 あっ、ちなみにだけど今回収穫した和薬草はちゃんと納品した。

 意外に良い額になったのには驚いたけど、それよりもタイガーが嬉しそうにしていたのが目に焼き付いてしまうのでした。うん。やっぱり皆んなでやった方が楽しさも倍増だよね!


 


明日はメチャしんどいので多分出せない。

金曜日には出せるかも。

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― 新着の感想 ―
[一言] 拳聖じゃなくて聖拳だった上に使うと反動あったのね...そりゃ敵が固くても使えませんわ...
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