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■87 〈ミヤビ〉の街

新しい街の設定考えないと。

「やっと着いたー!」


 私は馬車から降りた。

 そこに待っていたのは〈リムルト〉とはまた違う雰囲気と魅力をそこはかとなく醸し出す風情のある街並み。

 何だろ。

 その雰囲気を一言で表すなら……


「“和”って感じだな」

「ですね。私は好きですよ、こう言う地」


 スノーとKatanaはそんな風に話していた。

 確かにスノーの言う通りだ。私もこの雰囲気は“和”以外に言いようがない。

 例えるなら京都と奈良をごっちゃにしたような雰囲気で、“昔”って印象が強い。まあ教科書の知識だけなんですけどね。


「〈ミヤビ〉。へぇー“(みやび)”なんだね!」


 看板にはそう書いてあった。

 正直なところ、雅って具体的にはどんな感じなのかわかんないだけどね。でもネーミングセンスやイントネーションから雰囲気にピッタリって感じで素敵だった。


「そろそろ行こー」

「あっ、うん」


 ちなっちはそれでもいつも通りだ。

 私達は揃って〈ミヤビ〉の街の中に入った。

 するとそこはなんて言おう。本当にそれっぽかった。


「美しい街並みですね」

「本当だな。やっぱ街ごとに特色が違うんだろうぜ」


 二人の言うとおりだ。

 瓦屋根って言うのはまああったけど、木の板をそのまま使った木造建築は向こうでは少なかった。

 それに何よりも違うのは街の中心部を流れる大きな川だった。


「日本って感じがしていいよね」

「確かにな。中心を流れる大きな川。それから、この河川敷。それにアレは……」

「おっきな橋だね!」


 木で作られた巨大な橋がお目見えした。

 その印象強さは目に焼きついた。


「五条大橋かそれとも三条大橋か……いや、どっちも違うのか?」

「えっと……なに?」

「後で調べろ」


 スノーは短く呟く。

 溜息混じりだった。何だろ。情報量が多すぎて、私の会話に入らないのかな?


「とにかくだ。この街はこの世界の五大都市の一角と数えていい」

「じゃあまずはなにするの?」

「焦る必要はない。今回のアプデで追加された要素も多いからな。そっちを先にいて回るのもいい」

「まだアプデはきてないけどね」

「まあな」


 そうだ。

 久々の大型アップデートでまた要素が追加されるだろう。それにもしかしたら新スキルとかスキルの強化とか弱体化とかあるかも。弱体化はして欲しくないなー。とか思いつつも、何よりも私はせめて一つでいいから魔法が使ってみたかった。

 聞けばタイガーも魔法を使えるらしい。

 Katanaは魔法なんて必要ないぐらい強いけど、まあそれを言ったら「マナさんにはスキルがありますから」とか言われちゃった。でもせっかくなんだし魔法は使ってみたいよ!


「でも綺麗な街だよね。それにしても……」

「ん?」

「坂道と階段多くない?」


 私はそこに着目した。

 この街は〈リムルト〉と違って勾配の差が激しい。

 目の前にある名前のわからない橋に行くためにと緩やかだが少し坂になっている。脇道も多くて狭く、石造りの階段がちらほら窺えた。

 そして何よりも違うのはNPCの格好だ。

 皆んな着物だとか羽織だとかを身に付けている。

 さらには刀を納刀した武士っぽい人達までいるみたいで、本当に街ごとに全然違った。


「明治時代かそれ以前の京都や江戸がモチーフなんだろうな。街並みは京都と奈良のソレだが」

「ソレがわかんないんだけど」

「古い写真とか歴史書物き記載されている資料だ。私も現物を見たことはないからな。その真相は定かではない」

「まあそうだよね」


 スノーの言っていることは正しい。

 故に私も他に口出しすることはなにもなかった。

 そんな調子でふと脇を見ると、美味しそうなお団子が売っていた。


「あっ、団子だ。私買ってくるね」

「甘味屋か。風情があるな」

「うん!」


 匂いにつられて甘味屋さんに入った。

 すると美味しそうな匂いが充満している。そこで目をキラキラさせたのはちなっちとタイガーだった。


「うわっ本格的だね!」

「美味しそうー」


 二人を横目に私は美味しそうだと思ったみたらし団子を見つめる。

 そしてお店の人に声をかけた。


「すみません、みたらし三本」

「はいよ。ちょっと待っとき」


 あれ?

 〈リムルト〉の街では聞かなかった言葉遣いだ。

 私は首を傾げながらみたらしをいただき、その横ではスノーが栗饅頭を頬張っていた。


「なかなかいけるな」

「うん。美味しいよね!あっ、スノーとKatanaも食べよ食べよ!」


 私は自分が買ったみたらしを渡した。

 すると二人は受け取り口の中に放り込んだ。


「いい味だな」

「はい。みたらしのほんのりとした甘味としょっぱさがたまりませんね」

「だよねだよね!」


 私ははしゃいでいた。

 やっぱり食べ物はいいよ。元気が出る。

 そんなこんなで私達の〈ミヤビ〉の街初っ端は食べ物散策になるのだった。



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