■84 次の日はやっぱり疲れがね。
昨日取り消したやつです。
ちょっと直しました。
それと多分ここで2章は終わりです。
昨日はめちゃくちゃ大変だった。
なんとかスプリガンを倒すことは出来た。そのことに関してはなーにも不満ない。
だけど代わりに今日になって……
「うわぁ、またこれだよ」
私はベッドの上でぐったりだった。
幸いにも休みだったのが救いだ。
そうでなかったら本当にしんどかった。
スマホを手繰り寄せ、LOINを見てみれば、皆んな同じようだ。
まさかの刀香ちゃんと大河ちゃんも同じ目に遭うなんて思わなかったんだろうけど、刀香ちゃんなら「一蓮托生ですよ」とか言いそうだなーと軽く笑みを浮かべた。
「これが普通なのかな?」
前回も今回もおんなじようなことが起きている。
体がぐったりしていて、一応動くけど流石に疲れが溜まっていてそんなこと出来ないや。
私は全身の力を抜いて、昨日のことを思い浮かべた。それぐらいしか今はすることが思いつかなかったからだ。
◇◇◇
「ふぁー、やっと倒せたね」
私達はスプリガンを倒した。
最後の一撃を浴びせたのはスノーだ。
残酷な倒され方をしたスプリガンは、今や消滅している。めちゃくちゃ強かってし、ここまで苦戦するとは思ってなかった。
やっぱり私達、レベル足りなかったのかな?
でも今回の戦いで、経験値も大量に手に入った。
私のレベルは40だし、皆んなのレベルもそれぐらいにはなっていた。
スノーが43ちなっちが38。Katanaが39で、うわぁタイガーって41なの!と言うか皆んな同じぐらいすぎじゃない?
「うむ。あまりいいアイテムはドロップしなかったな」
「そうだねー。肝とか角とかばっかりだよー」
「にしても強かったよな」
「はい。五人がかりでやっとでした」
皆んな淡々としている。
特にスノーに至ってはかなり現実的だった。
「皆んなそんなに淡々と流していいの!」
「うーん、感想って言うなら強かったがなー」
「うん。強かった」
「それだけかなー」
「それだけ?」
「うん。だって本当に頑張ったのってマナでしょ?」
「う、うん」
私は頷いた。
「確かにそうですね。マナさんが命懸けで相手の気を逸らしてくださったおかげです」
「アイツの機動力を止めなかったら勝てなかったよなー」
「うんうん。だから今回はマナのおかげ。だから私達はちょーっと不完全燃焼と言うか役に立てなかったなーって思ったんでよねー」
「そんなものかな?」
私からしてみれば皆んなの方が無茶苦茶頑張ってたと思う。
私なんて大した活躍出来なかったし、敵にダメージを与えることなんてもっと無理だった。
「マナ、相手を倒すことだけがお前の役目じゃない」
「スノー」
「だから気にするな。そんなことよりなにかアイテムは落ちなかったのか?」
「えっ、アイテム?」
「ドロップアイテムだ。マナは何が手に入った」
私はスノーに言われるまま自分のインベントリを見てみる。
するとそこには新しく手に入れたアイテムがNewの表記で入っていた。
私が手に入れたのは三つ。
角とか鉄屑とそれから……
「だ、大砕斧?」
「大砕斧だと!」
スノーが食い入るように目を丸くして私に伝える。
「ど、どうしたのスノー?」
「いや、大砕斧はスプリガンの落とすアイテムの中でも特に際立ってレアなドロップアイテムだ」
「そうなんだ。でも斧ってことは私達って……」
「使わないな」
「じゃあ要らないよね」
私は落胆した。
しかしスノーの反応は違った。
「いや、私が使おう」
「えっ!?」
思ってもみなかった話だ。
と言うか、スノーって大鎌と弓以外使うことに驚きが溢れて仕方ない。
「いや使ったことはない。が、STRを上げることと物理的に強打を与える事に関しては十分な代物だ」
「へ、へぇーそうなんだ。じゃ、じゃあコレあげるね」
私はインベントリから取り出した。
するとずっしりと重たい黒い斧が手に握られた。
その見た目はさっきのスプリガンが使っていたものに似ているが、赤いラインや少しフォーク形状に近い点。それから、スプリガンの顔のようになっている造形が気になった。
(と言うか重たい!こんなのスノーに使えるのかな?)
少し不安になったがスノーに手渡す。
するとスノーは持ち上げることすら出来なかった。
「重たいな」
「だよね。こんなの普通使えるのかな?」
「使えるようにする。使えない武器などただのゴミだ」
「う、うん(じゃあ私はスノーにゴミを押し付けたことになるんですけど)」
ざわざわしたことを思い付いたが口には出さなかった。
「うわぁー疲れたー」
「ちなっち?」
ちなっちはかなり疲れていた。
それは皆んなも同じようで、私も酷く疲れている。
理由はわからない。ただただ疲労感が溜まっているのだ。
(もしかして明日は疲労で動けなかったりして)
そう思う私。
しかしゲームで流石にそれはないよなと思い、昔同じようなことがあったのを思い出さないようにしていた。
「はぁ。とにかく帰るぞ」
「うん。そうだよね」
スノーの提案を受け入れる私達。
かくして私達は無事スプリガンを倒せたことに喜び馳せて、〈リムルト〉で今やることをひとまず終わらせたのだった。




