表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/266

■7 夜も探索ですね

一人でしか話が進まないのって難しい。

 ゲーム開始初日、私は二回目のログインをした。

 今回は夜の9時にログインした。

 この〈WORLD OF LIFE〉の世界では一日の間でゲーム内の三日が過ぎている。それは昼、夜と学業や仕事で忙しい人のために、平等にプレイ出来る環境を提供するための運びらしい。

 それに伴って、朝の6時から14時までで一日そこから22時までで一日、最後に6時に戻って来て一日だ。

 つまり8時間周期で一回日を跨ぐことになる。で、今私がログインした21時代は丁度ゲーム内での21時。1時間で3時間分進むのでこうなる。


「うわぁー暗い」


 現実とリンクしている時間帯なので、なかなかに暗かった。

 しかし街の中はピカピカしてて明るかった。

 夜の雰囲気は何処か昼間とは違うような感じだったけど、だからと言って雰囲気が無いとかガラが悪いとかではない。むしろ夜の雑踏って感じがした。


「せっかく夜だし、また外に出てみようかな」


 私は昼間に買っておいた新しい服に着替えて早速街の外に出てみることにした。

 聞けば街の外には廃墟になった小さな古城跡があるらしい。お城の姿はもうほとんどないけれど、夜の間しか出てこないようなモンスターもいるそうだ。

 千夏ちゃんにはゲーム始めたことも伝えたし、少しでも足りない知識を経験で補えるようにと全力全開で頑張ることにした。



 私がやって来たのは先程言っていた古城跡。

 やって来てみると古城跡というよりかは無残にも取り残された廃墟って感じだった。

 お化けとか幽霊とか怖いとは思わないけど、この雰囲気はなんかポイ。


「じゃあ早速……」


 私は古城跡に入ろうとした。

 だけどそこでまた躓いて私は滑り落ちてしまった。


「うわぁ、痛たたた」


 お尻をさすっと。

 新しく買った服がちょっと汚れる。

 今回買ったのは結構ブーツに合わせる形だった。

 自分でもわかるが全然似合わない。ちょっと大きめのコート。それから隠すように細身のスキニーパンツを履いている。理由は単純に手持ちがなくて安いのを選んだ結果だ。その理由はこのコートにある。

 このコート、あのブラックベアーの毛皮を売ったらかなり高値で売れたので奮発してしまったのだ。リバーシブル仕様で、黒い面は光を吸収してあったかいらしく、白い面は光を反射して涼しいらしい。耐熱性と耐寒性の二つを併せ持つ仕様だ。

 こんなにいいものが何で買われな買ったのかはちょっと大きいからで、現に私の膝丈ぐらいある。しかもコレ、立場で代理販売されて売られていた物なので作った人とかはわからない。


「でもいいよね、コレ。少し大きいけど」


 私はコートをパタパタとさせて商品がいかに良いかアピールする。

 さてはてとりあえず古城跡地を探索することにする。

 って言ってるそばからモンスターの方から現れてくれた。

 何だか半透明で幽霊みたいだ。


「せーのっ!」


 私は〈麒麟の星雫〉を抜刀して斬りかかった。

 しかし剣の刀身が触れた直後、すり抜けるようにして消えてしまう。反動で体勢を崩して私は倒れそうになる。


「あれれ?何で」


 おかしいなと思い、もう一度斬りかかってみる。

 しかしまるで歯が立たない。と言うか攻撃が当たらなかった。おかしい。


「どうしたらいいの?」


 悩む私。

 そんな私に救いの手を差し伸べるかのように、誰かの声が聞こえて来た。女の子の声だ。


「魔法です」

「えっ!?」


 そう聞こえて来た。

 しかし私は魔法なんて覚えてない。


「そんなの使えないよ」

「だったら聖水」

「そんなの買ってないって!」

「はぁー、仕方ない。コレを使って」


 そう言って投げ渡されたのは小さな小瓶だった。

 中には透明な液体が入っている。


「それをゴーストに撒けば、アイツはすぐにいなくなる」

「う、うん。やってみる」


 私はそう言うと、小瓶に入った液体を目の前のモンスター、ゴーストに振りかけた。

 するとゴーストは苦しみ出してそのまま消えてしまう。あっさりと倒せてしまった。


「た、倒せたの?」

「そうだ。ゴーストは聖水と言う光属性の効力を持ったアイテムに弱い特徴を持つ。アンデット種も同義だ。よって、こう言った相手に魔法なしで挑む場合聖水は必死アイテムになる」

「そうなんだ。ありがと、教えてくれたら

「ふん」


 ちょっと気難しい子なのかな?

 私がお礼を言うと彼女は突っぱねた。


「ねえ、名前なんて言うの?」

「私のこと?」

「うん。姿も見たいなー」

「はぁー」


 そう言うと溜息を漏らしながら、こちらに近づいてくる。

 暗闇の中から月の光に照らされて現れたのはやっぱり女の子。しかもNPCじゃなくて普通のプレイヤーだ。

 真っ黒な髪。長く腰まで伸びている。それに加えて瞳の色はさくらんぼのような色合いをしていた。種族は〈ヴァンパイア〉。可愛らしい女の子だ。


「私はスノー。貴女は」

「私マナ。助けてくれてありがと、スノーちゃん」

「スノーちゃん(・・・)

「うん。スノーちゃん!」


 私がそう言うとスノーちゃんは怒ったように突然私の首元に巨大な鎌を突きつける。

 瞳の色が爛々と赤く染まる。コレが〈ヴァンパイア〉の特徴。夜の間、もしくは暗闇ではステータスが1.2倍の倍率補正がかかり、稀に瞳の色が赤く染まる希少スキルを持ったプレイヤーもいると千夏ちゃんから聞いていた。

 そんね珍しいスキルを持った子に鎌を突きつけられ、身動きが取れなくなる私。何でスノーちゃんは怒っているんだろ。

 と、訳もわからず硬直する私だった。

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=446623083&size=300
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ