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■66 達磨さんに出会った

今回は予約投稿。

昨日の続きです。色々と設定が面倒ですけど、そのうち。

 私達は見知らぬ陽キャ少女と一緒にカフェにやって来た。

 知らない人の前なのでノースは不機嫌で、不服な表情を浮かべる。まあ本人としては関わりを持とうとしていないと言うか、知らない人の前なので緊張しているだけなのだが話したくないオーラをビシビシと飛ばしているので、普通なら変に思うだろう。

 しかしそんな所見では近付き難いオーラを発するナーフを前にしても、堂々と愉快に口を動かす少女がここにいた。


「それでね、待ち合わせしてたんだけど全然来なくて」

「そうなんですか」

「うん。まだ、私が早く着き過ぎちゃっただけなんだけどねー」

「それはえっと……」

「輝梨。達磨輝梨(だるまきらり)だよー」

「それは達磨(・・)さんが悪いですよね」

「はいそこストップ!」

「えっ!?」


 急にフォークを向ける達磨さん。

 流石にフォークはコンプライアンス的に駄目じゃないですかね?


「あの、達磨(・・)さん」

「はいそこ違うね。うん」

「えっ?」


 何が何だか分からない。

 あれ?前にもこんなことなかったっけ?

 一体何に怒っているんだろうか?


「あの、達磨(・・)さん?」

「そこね。そこ」

「どこですか?」

「私の名前!()るま、じゃなくて()るまだから。上げる方だから。落とさない方だからね」

「達磨じゃなくて、達磨?なんだかややこしいですね」

「そこ間違われるとちょっとムカつくんだよね。アクセント違うだけなのに……あっ!だったら輝梨でもいいよ!」

「それはちょっと……」

「駄目?」

「だって達磨さんの方が私よりも歳上ですよね?」

「今年で17歳。高校2年生でーす!イェイ!」

「じゃあやっぱり先輩じゃないですか」

「〈Must Cute〉の読者モデルやってまーす!」

「それは聞いてないですけど。ん?〈Must Cute〉?」


 私はそこで引っかかった。

 自分の話したいことを延々と口にする達磨さん。

 そんな彼女の口から出た言葉は広く知れ渡っている雑誌の名前だった。


「それってあのファッション誌のですか?」

「うんそうだよ」

「凄いですね達磨さんって」

「あれ?反応薄いね。まあそんなもんだよねー」


 達磨さんはピクッと止まった。

 しかしまた時計の秒針のようにチクタクと口が動き出す。

 そんな感じで流石の私も呆れて来た頃、そんな様子を払拭するように聞こえて来たのは野太い声だった。


「おい探したぞ。ここにいたのか」

「あっよっしー来た!」


 そう言って立ち上がり手を振る達磨さん。

 私達も背後を振り返り、そこにいた人に驚いた。

 大きい。

 失礼だけど、とにかく背が高かった。

 盛り上がった肩。それから注目の身長は190センチはある。力強い瞳孔。圧巻させられてしまう。


「えっと……」

「先客がいたか。すまないな」

「い、いえ……」


 心なしかちょっとだけ萎縮してしまう。

 しかしそんな様子でも動じないのは千夏ちゃん。


「こんにちはー。よっしーさんですか?」

「よっしー?輝梨、お前また!」

「だってよっしーはよっしーじゃん!」

「はぁー。人前でそれは止めろと言ったはずだがな」

「えー。だって本名より可愛いもん」

「それは私に失礼だろ!」

「あーあ聞こえなーい!」


 そう言って達磨さんは人差し指です耳を塞いで。

 それを憐れむように見守るこの人。

 女の子なのはわかるけど、威厳があった。


「すまないな。コイツはこう言う奴なんだ」

「昔から仲がいいんですか?」

「まあな」

「幼馴染で、おんなじ学校の生徒会長!あっ、ちなみに私は副会長だよ!」

「大変そうですね」

「全くな」


 溜息混じりに答えた。

 それを愉快そうに見つめる達磨さん。

 口元がうっとりしていた。


「挨拶がまだだったな。私は荒木美子(あらきよしこ)。コイツからはよっしーと呼ばれている」

「荒木さん?」

「ああ。三人の名前を聞いてもいいか?」


 そう尋ねられたので私達は名乗った。

 何処か仏頂面のノースはいつも通りだ。


「そうか。コイツの相手をさせて悪かったな。礼を言う」

「そんなことないですよ。楽しかったです!」

「はぁー。そう言うのはいい」

「そんなことないですから」


 私はそう強く返した。


「ちなみによっしーも私と同じで〈Beauty Cool〉の読者モデルなんだよ!」

「〈Beauty Cool〉って、〈Must Cute〉の対の?」

「うん!」

「コイツのせいでな」


 親指を立てて合図した。

 何だか大変そうな人達だ。


「じゃあ私達は行くね。また何処かで会ったら、こうやってお茶しようねー」

「は、はい」

「ほら行くぞ」

「バイバーイ」


 荒木さんは達磨さんの腕を掴み、余った左手を振って達磨さんは挨拶する。

 そんな様子を呆然と眺める私達。

 二人の姿が見えなくなると私はノースに話しかけた。


「変わった人達だったね」

「全くだ。おかげで飛んだ目にあった」

「そんな変なことはないけどねー」

「私がああ言うタイプの人間と相性が悪いことを知っているだろ」

「そう言えばそうだなー」


 おちょくるようにからかう千夏ちゃん。

 ノースは不服とまでは言わないが、やや気が立っていた。

 そんな彼女の背中をポンと押す私。

 驚いたノースは飲みかけのアイスティーを吐き出した。


「ぐふっ!」

「元気だそ、ノース!」

「愛佳。お前はもっと周りを見ろ」

「見てるよ。ノースみたいに広くはないけどね」

「はぁー。そうか、コイツはこう言う奴だった」

「ん?」

「諦めよ、ノース」

「ああそうだな」

「二人ともどう言うこと!」


 私は二人に対して怒った。

 しかし二人は呆れると同時に密かに笑った。

 口元が緩み自然な笑みが溢れた。

 そんな様子を私は見逃さなかった。

 

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