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■63 調合

ネタ切れが深刻中。

 今日は全員集合でギルドホームにいました。

 理由は簡単です。これからスノーが調合をするらしいので、その手伝いです。


「スノー、これからなにを作るの?」

「筋力増強剤。パワードリンクだ」

「パワードリンク?」


 すっごくパワーがつきそうなネーミングをしている。

 でも逆に言えばドーピングアイテムみたいでなんだかなーってなる。


「それでどうやって作るのー?」

「簡単だ。【調合】スキルを持っている者が、調合すればいい」

「じゃあ私達じゃ無理だよね」

「そんなことはないぞ。お前達も取ればいい」


 スノーはそう言った。

 そして私達それぞれの前に動画を取り出した。

 私の前には乳鉢と乳棒。ちなっちの前にはすり鉢のすりこぎ。それからKatanaの前には薬研が置かれる。


「えっと……なんで皆んなバラバラなの?」

「使いやすさを見ただけだ。何なら他にもあるぞ」


 インベントリから楽しがに取り出すスノー。可愛い。


「構いませんよ。確かに私も慣れていますので」

「私もだよー。まあそんなことよりもさ、早く調合?って言うのやろうぜ!」


 ちなっちも楽しげだ。

 まあ私もやってみたいと言う気持ちがある。と、言うことで私も大きく頷いて見せると、スノーはニヤリと口角を上げる。何だろ。これから大変そうなんですけど。

 と嫌な予感を漂わせながらも、私の手は自然に動いていた。


「じゃあまずはこの間手に入れたアイテムを使うぞ」

「アイテムってコレだよね?」


 私はホームの倉庫からこの間手に入れた三つのアイテムを持って来た。

 一つ目はササラ水。それからルビーマッシュと雨露草。この三つのアイテムだ。調合に使うことだけは聞いていたけど、実際にどうするのかは知らないので今までここに閉まっていたけど、どうするんだろ?


「これはあくまでもこの世界での都合だ。実際とは異なるだろうが、まあ単純に工程を軽く説明しておくぞ」

「うん」

「ステップは三つ。一つ目はルビーマッシュをすり潰す。二つ、雨露草を細かくして混ぜる。三つ、ササラ水で煮詰めながら濾す。こんな感じだ」


 スノーは言い尽くすと黙ってしまった。

 私達は放置されてしまうが、私は尋ねた。


「えっ、それだけ?」

「そうだが」

「他には?」

「ない」

「えー」


 項垂れる私。

 しかしスノーは軽くあしらうと作業に没頭してしまう。その様子を見た私は諦めることにした。と言うのも今の説明で感覚的には何となく分かったからだ。

 私は二人にも伝えようとしたが、どうやら二人は既に最初のステップをしていた。


「へー、結構面白ねー」

「鍛錬です」

「二人とも凄い」


 その様子を見ていると私も頑張ろうと言う気になる。

 と言うことでここからはちょっと集中する。


「えっと、まずはキノコを砕くと」


 私はキノコを乳鉢の中に入れた。

 それから乳棒を持ってルビーマッシュを砕いていく。トントンと上から押し潰し、側面からかき混ぜるようにして滑らかにしていく。

 ゆっくり力を加えながらだ。こう言うのは普段から料理をしているので、力加減などを加味しても十二分に出来た。


「よし!こんな感じかな」


 とりあえず細かくは擦り潰せた。

 次は雨露草だ。コレも一応細かくすればいいんだよね?


「あー、一つ言い忘れていたが雨露草は擦り潰した後に出る汁をササラ水に混ぜで使え」

「えっ?なんで」

「雨露草はササラ水との相性が比較的にいいらしい。効能を上げるのには丁度いいはずだ」


 スノーはそう言いながら擦り終えた雨露草をササラ水につけて煮る。

 すると徐々に透明な液体が鮮やかな緑に侵食されていく。その光景をじーっと見てから、私も同じ工程を終えた。

 とりあえずここまでは順調だ。後は最後のステップ。さっきのルビーマッシュを沸騰させたササラ水+雨露草に混ぜて濾す。濾した液体は瓶の中に入れ、冷やす。するとパワードリンクが出来る仕組みらしい。


 グツグツグツグツ


 合わせ水が煮える。

 私はそこに細かく砕いておいたルビーマッシュを投入する。

 水の中に溶け込もうとするルビーマッシュを私は棒でかき混ぜた。クルクルと回しながらゆっくりと熱と回転で砕いていき、見えなくなったところで私はざるに通して不純物を取り除くと、残った液を瓶の中に詰めた蓋をした。とりあえずこれで完成のようだ。


「ふぅー、できた」


 一つに結構時間がかかった。

 二人はどうだろうと思い見ていると、まだ少しかかりそうだった。ちなっちは少し大きめのルビーマッシュが溶けきっておらずKatanaに至っては細かくしすぎて逆によくわからないことになっていた。


「二人ともお疲れさま。どう?いい感じ」


 私はそう尋ねた。

 別に皮肉とかではなく単純に力になりたかったからだ。


「うーん、ちっとも。ぜんぜん溶けきらねぇからなー」

「私の方もです。細かくしすぎてしまい判別がしづらく、湯の温度も過度に上がりすぎてしまったようでして」

「そっか。ちなっちはゆっくりかき混ぜてみて、Katanaの方は少し温度を落としながら水がポコポコするぐらいになったら止めていいよ」


 私はそうアドバイスする。

 とは言っても初めてなので勝手はわからない。が、とりあえずこれで良さそうだった。

 と、そんなことよりもスノーの方が気になる。

 私はチラッとスノーの作業を見てみると、そこには既に大量の中身の入った瓶の姿があった。しかも中身の色合いはルビーマッシュの赤を投影している。


「綺麗……」


 ついうっから見惚れてしまった。

 それに気づいたスノーは私に声をかける。


「終わったのか?」

「う、うん。こんな感じなんだけど」


 私は自分で作ったドリンクを見せた。

 スノーは瓶を受け取ると光を通して確認する。


「まずまずだな。マナらしい」

「えー酷い!結構頑張ったんだよ、ソレ!」


 私はついつい怒ってしまった。

 しかしスノーは続けてこうも言う。


「まあ初めてにしては上出来だ。それにマナは次第に上手くなるんだろ」


 スノーはそんな風に言う。

 何だろ。別に気にはならないけど、ちょっとムカついた。まあそれこそがスノーらしいと言うのは黙っておくのだけどね。

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