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■62 雨露草

 マッシュトロールを撃破した私。

 そのインベントリは大量のキノコでいっぱいだった。


「こんなにルビーマッシュが手に入るんだったら、なんのために探してたんだろ」


 そう思いたくなる程の量だった。

 私がさっき見つけたのが嘘みたいに見える。


「まあいっか。とりあえずこれで目的の内、一つは達成したんだし!じゃあ後は雨露草だけど……どうしよ、わかんない」


 顳顬(こめかみ)を掻きながら私は呟いた。

 そうなんだよねー。スノーから私が聞いてたのってルビーマッシュの情報だけだったから、結局雨露草って言うのがどんな見た目をしているのかとかの情報が薄すぎる。つまり私に残された情報は……


「露草の見た目しか情報がないって、難しすぎるよ!」


 露草がどんな見た目なのかは何となくわかる。

 けど、ルビーマッシュですらやっと見つけたと言うのに私に見つけられるだろうか?ここは一旦皆んなと合流するって言う手も残されてはいる。けど……


「うーん、チャットで連絡は取ってるけど具体的に何処にいるのかわかんない……ああ、もう仕方ないよね!」


 私は諦めることにした。

 で、如何するのか。合流は諦めてここからは雨露草を見つけるために行動する。

 とりあえず雨って名前が付いてるぐらいだから、水々しくて水滴が滴り落ちているんじゃないのかなーと、勝手に推測した。


「でもそれだけなんだよなー。って、あれ?」


 メッセージが届いていた。

 誰からだろうと見てみると、そこにはスノーの文字があった。何だろ、と思いながら開くとそこには雨露草についての補足情報が書いてあった。


「えっと何々……雨露草は朝から昼にかけてしか現れない。今を逃すと出直しだ。見た目は青い普通の露草に水飛沫が滴っている……って予想通りだ!」


 如何やら私の予想は正しかったらしい。

 ちょっと嬉しく思うが、追加事項が書いてあった。めちゃめちゃ大事そうに、※がしてある。


「※(注意)雨露草はかなり小型なので踏まないように気をつけること。って、えっ!?」


 小さいってどれくらい?もしかしてさっきのルビーマッシュと同じくらいなのかな?そうなるとかなりきつい。と言うよりも困る。

 ただでさえ花弁が小さいのに、あんまり小さすぎても探せないよ。って補足それだけなの!ちょっと、スノー!


 雨露草に関する情報はどうやら以上らしい。

 となると後は根気強く探すほかない。と言うことなので、私がこれからやるべきことは……


「せめて動物がいてくれればいいんだけど……」


 私は全力で周囲を確認した。

 【動物愛】。この忘れてしまいそうなスキルのことを思い出したのだ。これを使って動物さんにも探してもらおう大作戦だ。

 って、まあそんなに都合よくいるわけないんだけどね。と思ったのも矢先、如何やら私の【幸運】スキルが作動したっぽい。


「あっ、いた!」


 私の視線が捉えたのは小さなモグラだった。

 モグラがこっちを見てじっとしている。多分これ、私の【動物愛】が勝手に発動したんだと思う。

 【動物愛】は正直条件が厳しい上に、あんまり効率も良くないので使い勝手が悪いだろうがここぞと言う場面では頼もしい味方になってくれるので私は全体的に気に入っている。まあ出番に関しては極端に少ないけどね。


「ねえねえモグラさん。雨露草がどこにあるか知らない?」


 私はひょっこり顔を出すモグラに声をかけた。

 するとモグラは地中に身を潜めてしまう。やっぱり無理だったのかな?そう思ったのも矢先、モグラが土をポコポコと乗り上げて一直線に進んで行った。


「もしかして、話通じたのかな?」


 【動物愛】は別に動物を使役出来るわけではないし会話が出来るスキルでもない。

 ただ動物に一声掛ければ何か良いことがあるかもだし、逆に悪いことがあるかもしれないと言う完全ランダムな運ゲーと呼ばれる類いだったが、【幸運】のスキルもあるので確率の壁を壊せる可能性も秘めている。

 よって私はその賭けに出ることにした。

 そして結果は……

 

「ホントにあった」


 ポカンとした顔で見つめる先には小さな青い花が咲いていた。

 おまけに花弁からは水滴が滴り落ちている。多分コレがそうなんだ。


「えっと……うん。間違いない!」


 私は手に取って確認してみる。

 するとちゃんと雨露草とポップアウトした。

 見ればそこら中に生えている。私は迷わず手に取り採取しまくるが、モグラさんには感謝しないといけない。


「ありがとね、モグラさん。って、あれ?」


 気がつくとモグラの姿はなかった。

 しかし土の盛り上がりは点在していて、途中で途切れている。もしかしたらほんの一瞬だけ、【動物愛】が発動したのかも。

 せめてお礼ぐらいしたかったなと思いながら、私はインベントリから小さな木のみを砕いて置いておくことにした。


(あっ。でもモグラってこう言うの食べないよね?)


 何となく意味ない気がしたけれど、せめてものと言うことで置いておく。

 と言うわけで無事今回もノルマは達成したっぽい。私は二人にメッセージを送ると、今日はそのままお開きということになった。でもホント私のスキルって都合良すぎるよねー。

【〈WOL〉豆知識】


武器や防具の中には通常のレア度には属さない特別なものがあります。

プレイヤーが製作したアイテムに関しては、Xエックスがつきます。これはレア度の値には収まり切らないと言う意味であり、XランクやXレアと評されます(の予定です)。

プレイヤーが作成した武器や防具には一つ一つ性能や性質が異なることもポイントの一つです。

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