■59 珍しい取り合わせ
評価とかしてくれると嬉しいです。
今日は私とスノー、それからKatanaの三人でいます。
千夏ちゃんは補習だ。この間の古典のテストが最悪だったためにこうなっていた。
それで今回の取り合わせになったのだが、今から私達はまた別の場所に冒険に出かけます。そして今、その場所目指して歩いていました。
「〈ダリアン森林〉。すっごく暗いね」
「ああ。思っていた通りだ」
今日来ているのは〈ダリアン森林〉と呼ばれる場所みたいだ。木々が生い茂り、光が極端に入ってこないエリアになっている。それ故に作家も多く、少しジメーッとしている。
そんな〈ダリアン森林〉で私達が狙うのはこの間のササラ水のようにとあるアイテムだった。
「それでここにはあるの?」
「ここにはルビーマッシュや雨露草が生息している」
「ルビーマッシュ?雨露草?」
聞いたことないアイテムだ。
多分ルビーマッシュって言うのはキノコのことで、雨露草って言うのは露草なのかな?まあ知らないけどね。ただの勘だもん。
「スノーさん、それらのアイテムにはどのような効果があるのでしょうか?」
「ルビーマッシュは一時的に攻撃力を5パーセント上昇させる効果があるらしい。雨露草はそれらのバフの持続時間を延長する効果があると聞くな」
「あると聞くなって、もしかして今回も?」
「ああ」
私が「また?」と言う反応をしたのには理由がある。
この間のササラ鯉の時もそうだが、一応調べては来てくれていたが、流石のスノーも自信がなさげだったのが気になっていただけだ。
だけどスノーってホント物知りだと思う。ゲームだけじゃなくて、頭もいいから。
「だがルビーマッシュ自体は見たことがある。市場に行けばたまに置いてあるからな」
「じゃあ雨露草は?」
「問題はそっちだ」
歯切れ悪く答えた。
「どう言うこと?」
「雨露草自体はかなりの汎用性がある。調合の際にはササラ水と雨露草。これらだけで十分な効果が得られるらしいから、そのせいも相まってなかなか市場には出回らない代物らしい。探せば他の場所にもあるそうだが、一番スポーン率の高いのがあの街の周囲だとここぐらいだ」
へぇー、知らなかった。そもそもこんな場所に森があること自体知らなかった。
「それでそのルビーマッシュと雨露草ってどんな形してるの?」
「ルビーマッシュはそうだな……マッシュルームとベニテングダケを足して二で割った。みたいな形をしたキノコだな。ベニテングダケの白い斑点がない代わりに、赤い部分が宝石のルビーのように赤くガラスのようにキラキラ光るのが特徴だ」
「何だか宝石みたいだね!」
「宝石と言っても、こっちでは植物だ。それに宝石と言われてはいるが、ルビーはサファイアと同じでコランダムと呼ばれる鉱石の一つだ。コランダムの中でも純度が高く珍しい。が、その正体は酸化アルミニウムに属しているだけで、短く言うとただのアルミだ」
「ゆ、夢ないね」
「夢はあるぞ。珍しいものを見て客観的に高価だと判断する人間の心理がな」
「皮肉ですね」
「皮肉で構わない」
スノーはそんなことを言っていた。
それに同調するでもなく、否定的でもなく無難な対応をするKatana。私みたいにツッコミをガツガツ言って場を掻き乱すわけでもなくサラサラしている。
(凄いなーKatana)
何が凄いのかはわかんないのは内緒だ。
「それでもう一つの雨露草と言うのは如何様なものなのでしょうか?」
「露草は知っているな」
スノーはそんな質問を投げかける。
それなら何となくわかる気がする。
「あれだよね、朝咲いてる小ちゃくて可愛い花」
「そうだ。雑草とされることもあるが、語源の中には朝咲いた花が昼頃には萎むことから朝露を連想させる。そんな由来もあるらしい。が、それと同じだ。雨露草は水分が非常に多く、朝から昼にかけてしか入手できない貴重なアイテムで、レア度もレア。ササラ水と同等だ」
「そうなんだ。じゃあ早く見つけないとね」
「ああ。ちなみに、さっき説明したルビーマッシュはハイノーマルだがな」
スノーは的確に教えてくれた。
なるほど。だからこの森の中に、しかも時間帯が朝方になるように入ったんだ。私はスノーの意図がやっと読めた。
と言うことで、私達珍しい三人組トリオはこれからアイテムを二つ見つけるべく、しばらく森の中を探索するのでした。




