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■49 水泳

ここから2章です。

だけど、今回はあんまり面白くないです。

 7月になりました。

 体育の時間です。私達は屋外に出ています。

 何で屋外なのかというと至極簡単な話なのですが、あの授業があるからです。そうそれはーー


「ちべたっ!」


 全身を駆け巡るのはひんやりとした感覚。

 身震いさせてしまう。

 私の手が水面に触れた途端、水面には波紋が生まれる。そう今私達が受けているのは夏恒例のあの授業、水泳です。


「ううっ。外は暑いのに、水はこんなに冷たいなんて……」

「あはは、そんなもんでしょ。とにかく私は泳げるから楽しいけど」

「私も泳げるけど……」


 千夏ちゃんはすっごく楽しそうだった。

 それもそのはずで千夏ちゃんは運動全般なら何でもかんでもそつなくこなしちゃうし、その上天才的に上手すぎるからそんな風に言えるんだろう。

 私もまあ苦手じゃないし嫌いじゃないけど、そんなに得意でもない。不得意でもないけど、水泳って難しいからなー。


「大丈夫だって。中学の頃からできてたじゃん」

「うん。いっつも順位は真ん中だったけど」

「確かに」


 そんな感じで私達は水泳の授業をしています。



「えー、今日は軽くウォーミングアップをしてから25メートルをクロールと平泳ぎをするからそのつもりで。泳いだら上がってきて後ろに並ぶこと」

「「「はーい」」」


 まあ普通だ。

 私達の通う高校は築五十年ぐらいなので、プールも外付けだ。やって夏場を過ぎれば藻が繁殖したりする。

 それを上級生がせっせと掃除して私達も校庭の草取り何かをして快適に使えるようにするのだ。

 で、水はめちゃめちゃ冷たい。

 夏だからいいけど、やっぱり冷たいのだ。


「よーし、私の番!」


 そう威勢よく言ったのは千夏ちゃんだ。

 千夏ちゃんは25メートルのプールをクロールでスイスイ泳いでしまう。速い。おまけにフォームも綺麗だった。

 中学の頃から知ってるけど陸上でも水中でも圧巻だ。


「ぷはっ!泳ぐの気持ちいい!」

「南さんって泳ぐのも上手だよね」

「ウチに水泳部があったら絶対エースだよ!」


 クラスの皆んなが千夏ちゃんにそう声かけをする。

 ウチの学校には水泳部はない。それもそのはずで外付けのプールなので夏場限定でしか使えないからだ。

 でも確かにそうだよね。

 千夏ちゃんだったら水泳部のエースだろうが何だってこなせちゃいそう。そんな気さえする。


「そんなことないって。私は泳ぐのが単に好きなだけだし」

「それでこの速さ……やっぱり天才だ」

「うんうん。南さんは天才!」


 皆んな交互に煽てる。

 千夏ちゃんも満更ではなさげな雰囲気を醸し出しながら、頭を掻く。照れてるんだろうな。遠目から見ていた私はそう思った。

 ってそんなこと考えてたら私の番になっていた。


(よーし、私も頑張るぞー!)


 私はプールの中に飛び込み、そのままクロールで25メートルプールを泳ぎ切る。

 自分としてはかなり良かった。

 スイスイ手に馴染む水流を掻き分けながら、私は泳ぎ切った結果、結果……


(ふ、普通……まあ普通が一番か、な?)


 結局私の結果は普通だった。

 普通と言うのはその、クラスの女子の中でちょうど半分。そして全国平均から見ても平均値にかなり近い数値だった。


(また平均よりちょっと上……これって才能?的な……)


 プールから上がろうとする私。

 そんな私に手を差し伸べたのは千夏ちゃんだった。


「お疲れー」

「うん。お疲れ」


 私は千夏ちゃんの手を掴んだ。

 プールサイドの梯子を登り、サイドに上がった私は千夏ちゃんを見た。


「どした?」

「いや、その。千夏ちゃんは速いなーって。私なんてまた平均だよ」

「あはは。いいじゃん別に。気にしなくてもさ。それにそれこそ才能でしょ。背筋ばっかり出せるって言うのはさ」

「えー」


 全然褒められてる気がしない。

 むしろ傷つけられてる?そんな気さえするのは何故だろう。


「それに愛佳はなんでもできるじゃん。料理に掃除に勉強に、それこそ運動だって」

「うん。平均的にね」

「それに絵とか作文とか上手いでしょ」

「それはそうかもだけど……」


 私は昔から基本的に平均的だ。

 それから運がいい。反復練習で何でもやるようにはしてるけど、平均値が昔から高かったのは絵と作文だった。けどまあ普段からあんまり使わない技術なので、特に着目もしていない。


「目に見えてできなくてもいいんだって!できることをすることが一番なんだし」

「な、なんかそれっぽい」

「だろー」


 なんかそれっぽいことをそれっぽく言って押し切られてしまった。

 あれ?なんか今日地味じゃない。地味だよね。うん。


「そんなことより次は平泳ぎだって。よーし、まだまだ泳ぐぞー!」

「そんなこと言って午後からの授業寝ちゃ駄目だよ」

「数学なら寝ないって!」

「午後からは古典でよ」

「あー、じゃあ無理だー。ノート、お願い!」

「少しは寝ない努力しようよ」


 そんな和やかムードを維持したまま私達は水泳の授業を続けた。

 結局千夏ちゃんは郡を抜いて速かった。マジで速かった。

 そして午後からの授業、苦手な古典のは宣言通りではないものの、ダウン寸前だったのを覚えている。

 

明日は朝6時に出します。

なんとなくです。

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