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■48 星空の下で

今日で多分投稿して二ヶ月です。

ここまで来て、ようやく1章目が終わった感じです。



 イベント後の静けさ。

 私は一人皆んなの元を離れ、暫し一人になっていた。


「ふぁー、空綺麗」


 私は空を眺めていた。

 めちゃくちゃ綺麗な夜空だ。キラキラと星達が目一杯光っている。人口の光だとは思えない程に綺麗なのだ。


「そうだ!あの木の下に行ったらもっと良く見えるかも!」


 私は前にスノーが言っていたことをふと思い出した。

 ここにギルドホームを建てたのはその独特の雰囲気も相まってなのだ。

 私が言っているのは例の巨木。何であんなところに生えているのかはわかんないけど、何処か神聖な雰囲気を醸し出してくれていた。

 最近は近づくことすらなかったけどちょっと行ってみたくなった。


「そう言えば今更だけど、あの木って何なんだろ。どうしてこんな人目のつかない場所に生えてるんだろ。勿体無いなー」


 私はそんなことを考えていた。

 それも明確で、そもそもここは私有地だ。つまりは最初から特定のイベントが盛り込まれているとは考えにくい。

 あんまり深く考えても仕方ないけど、それでもちょっぴり不思議だった。


「まあいっか。深く考えても何にも出てこないし」


 結果諦めることにした。

 そうこうしている内に私は例の巨木の下までやって来ていた。


「いつ見ても大きいなー。って、最近は見に来てなかったけど」


 自分で言ったことにクスッと笑う。

 それにしても凄く大きな木だ。改めて実物を見てみたらその年季の入り方には異様なまでの年月が窺える。感銘を受けるってこう言う時にいう言葉だっけ?と、頭の中を駆け巡らせた。


「それにしてもホント不思議だよねー。何でこんな立派な大樹がこんな寂しいところにぽつんとしているんだろ。(まあこんなところに一人で来てる私もなんでだろって感じなんですけどね)」


 私はそっと大樹に手を触れる。

 そのまま反転し背中を預けてみた。

 静かだ。目を閉じて耳を澄ませば何処からか水の流れる音がする。ゆったりとしたリズムで心地いい。

 無駄な音も聞こえない静かな空間に一人取り残されたみたいな恐怖心と愉悦感に浸りながら、私はふと空を眺めていた。さっきと同じ。だけど見え方がほんのちょっぴり、2度くらい変わった感じに見える星空が浮かぶ。


「綺麗……」


 木の巨大な葉の隙間から窺える景色は少し狭くて窮屈だけど、逆にそれがまた乙だ。まあ風情とかよくわかんないけど、こういうのが逆に良いってことないですかね?客観視しても私は結構好きだった。

 そんなのんびりとしたくだらない日常を私は謳歌していた。


「さてと、そろそろ戻ろっかな(皆んな心配してるかもだし)」


 私は背中を預けていた巨木から離れた。

 来た道をまだら帰ろうとした時だ。急に背後の方が眩しくなる。

 逆光になっているのでチラついた。


「あれ明るい?」


 私は不思議に思いながらも後ろを向いた。

 怖いもの知らずとかではなく、単純に気になったからだ。しかもその光はとても暖かく私を照らしていた。

 背後を振り返るとよくわかった。めちゃくちゃ眩しい。目を細めてで顔を覆う。熱いとかではない。単純に眩しいだけだ。


「うわっ、眩しい!」


 怪訝な顔になりつつも私はじっと見つめていた。

 理由はわかんないけど、何故か嫌いじゃなかった。

 まるで私を照らしているかのようで、こうファンタジー展開だと“導き”みたいなエフェクトだ。

 そんな私の右手は自然と光に伸びていた。もしかしたら私が知らないだけで何かあるのかもしれないと思ったからだ。そんな単純な理由だけれど、私が右手を伸ばすと何かに触れた気がした。硬い感触だ。触れた感触が手に残りながら、するといつの間にか光は収縮しやがて消えてしまった。意味がわからない。


「えっ、今のなに!?新手のバグ!」


 焦っていた。

 不安だった。私変なことしちゃったんじゃないのかと慌てふためく。

 しかしそれ以降は変なことはなく、何だか気味が悪かった。


「ま、まあいいや。別何にも起きてないし、戻ろ」


 そこはポジティブに考えることにする。

 一々考えていても仕方ないし、わかんないことはわかんない。それに変なこともなかったので別にいいかなと思った。もし何か問題が発生したら強制的にログアウトして意識も戻るはずだし、そうならないということは正常に決まっている。

 私はそう思い込むことにしてその場を後にしようとした。しかし妙なのは手に残った感触だ。

 今も感じる右手の感触。拳を使っていて私は拳を開いた。するとそこにあったのは透明なクリスタルと見事な装飾。それから二つを繋ぎ止めるだった。


「ペンダント?」


 そうそれは紛れもなくペンダント。いや確か聞いたことがある。コレはペンデュラムと呼ばれるものだ。要は振り子のことなのだが、振り子状の透明クリスタルと紐を繋ぎ止める接合部の装飾は見事なもので、何かの動物みたいだった。

 よく見れば私の持つ〈麒麟の星雫〉に似ている気がする。

 私は取り出した〈麒麟の星雫〉の鍔を見てみた。前から気になっていたけど、この動物が多分麒麟なんだと思う。龍みたいな顔をしてカッコいい。だけどその奥には雄大さと優しさを感じられた。って、私なに言ってんだろ。もう一つ気になるのは目の部分が片方しか赤くないことだけど、それは置いておくとしてこの装飾の動物と鍔の麒麟の装飾似ている。似すぎている。もしかして!


「この子を持ってたからイベントが発生したのかな?でも何で今?……もしかして一人で居たからかな?」


 色々とわかんないことだらけだけど、とりあえず今は放置することにした。

 手に入れたアイテム。

 このペンダントもせっかくだから付けておくことにする。首にかけたペンダント。名前は〈星空の首飾り〉。

 ちなみに説明を見てみると、こんな感じだった。


 〈星空の首飾り〉

 レア度:レジェンド

 効果:Unknown

 説明:守護獣麒麟と密接な関係があるとされる不思議なペンダント。透明な結晶は所持者の心の表れとされるらしい。星の輝きを持つと言い伝えられている。


 うん。わかんないや。

 とりあえず効果が分かんないことには何も始まらない。まあそれでも一応は身に付けておくことにする。

 でも一個だけいいなと思ったのは、こんなにも綺麗な星達に囲まれながら手に入れたこと。風情あっていいじゃん。


 後日、このペンダントのことを皆んなに聞いたけどよくわかんなかったしネットにも載っていたかったらしい。

 もしかして本当にバグだったのかな?と心底思う私だった。

 

次回からいわゆる2章目に入ります。

まだまだくだらないお話は続きます。

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