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■45 逃亡

今回は前回に続き負けパート後編です。

厳密に言えば違ってチート性能と振り返りのお話です。

 あれ?私どうなったんだっけ?

 何だか体が軽い。と言うか足が地についていないような気がする。

 この感覚はなんだろう。もしかして私、死んじゃったのかな?不安定だ。不安だ。ゲーム内で死んで生き返るまでの間って凄く怖いって聞くけど、ホントにそうなんだ。

 身の毛もよだつような不思議な感覚に身を委ねながら、グワングワン揺れる体を自然の身に任せていた。否ー何かがおかしい。

 私は不意に意識を取り戻すと、眼下には雪の積もった急斜面が浮かんだ。


「えっ!?」


 私は如何やら誰かに抱えられているみたいだ。

 キョロキョロと辺りを見回す私。そんな私を抱える彼女は私の意識が戻ったことに気がついた。


「マナやっと気付いた!」

「ちなっち?えっ、これどうなってるの!?」

「逃げてるんだ」


 そう教えてくれるのはスノーだ。

 逃げてる?逃げてるって何からだ。不意に思考を巡らせる。

 確かあの時私はノーザンレオパルドに襲われて首を……おっ!?


「えっ、もしかして逃げてるってさっきの雪豹から!って、なんで私生きてるの!」


 ふと背後を振り向くとそこには白い体に黒の斑点をあしらった豹の姿があった。

 追いかけていると言うよりかは眼光で威圧するように迫ってきている。そんな感じだ。これってあれだよね?ヤバいやつだよね?縄張りに無断で侵入した侵入者を排除しようって気満々なんだけど!

 迫り来る危機感に煽られながら、私はちなっちに抱えられその場を離脱するのだった。



「はぁはぁはぁはぁ、いやー疲れたねー、いい汗かいたよー!あはは」

「ごめんねちなっち、降りれば良かったね」

「別にいいよ。それより今のモンスター強そうだったねー」

「ああ。私よりも圧倒的にレベルが高かったからな」


 確かにさっきのモンスター、ノーザンレオパルドのレベルはスノーよりも高かった。

 レベル43ってそんなのアリ?多分と言うか絶対今来ていいエリアじゃなかった。多分イベントを企画した運営も、この辺りもエッグが取れるのをわかっててやってたんだ。圧倒的なレベル差と凶悪さから皆んな近づかなかっただけで、本当の意味で“旨みがない”のはこっちなんじゃないのかなと、改めて感じた。完全に取らせる気ない。


「でも誰も死ななくてよかったー」

「確かに。デスペナしてたらエッグ無くしてたかもねー」

「うん。それにしても、なんで私死ななかったのかな?」

「うーん、そういや前にもこんなことなかったか?」

「えっ?」

「ほらポイズンアナコンダと戦った時もさ」


 ちなっちは疑問を投げかける。

 そう言えば確かにあの時も私のHPは10分の1以下にはならなかった。何でだろ。

 逆に今回と今までを比べて見ればわかるかも。

 今までだって10分の1以下を切ったことはある。恥ずかしながらある。でも今回やあの時は違った。ピタッととりもちにくっ付いたみたいに止まったのだ。

 それを踏まえると今回のことには何らかの条件があったのかも。狙ったやる気はないけど、何だが不思議だ。


「ねえスノー、何かわかることない?」

「確かにな。少し待て……即死判定か」

「「即死判定?」」


 僅か10秒程で答えを出してしまった。

 早い。でもそうか即死判定!


「なるほどねー。確かに、あの時も今回もマナのHP全快だった気がする」

「でもなんでそんなこと」

「マナの武器には付与効果があるはずだ。よく見てみろ」


 そう言われた。

 私は今一度じっくり〈麒麟の星雫〉の効果を読んでみる。


 〈麒麟の星雫(スター・ドロップ)

 レア度:レジェンド

 効果:①状態異常、精神攻撃、呪い等の効果を受けつけない。②〈即死判定無効〉:即死攻撃及び判定を無効にする。

 説明:伝説の守護獣、麒麟の力が宿っているとされる伝説の武器。

世界に一つしか存在しておらず、選ばれた者にしか抜くことが出来ないと言い伝えられている。

 所有者をあらゆる害悪から護ると伝えられ、最強の勇者の剣と謳われる伝説があるらしい。


 あれ、ちょっと待って。


(説明文変わってる?)


 もう一度読んでみるがやはり説明が若干変わっている。おまけに前には書かれていなかった効果欄がしっかりと記載されていた。

 そこを読むと状態異常の無効化やキーワード効果〈即死判定無効〉が付いていた。まさにチート武器。いや、こんなの駄目だって。


「どうだ」

「うん。バッチリ書いてある。何だろ、こー言うのがチート武器って言うのかな?」

「だろうな。ゲームでは強さに固執してもいいが、それだと真に自分がレベルアップしたことにはならない」

「わ、私も別の武器欲しいな。この子にばっかり頼ってても良くない気がする……」


 私は細々と呟いた。

 別にこの子は悪かない。この靴もだ。でも結局それじゃ今後が行き詰まるしつまらなくなるのかオチだ。そんなの本当につまんない。

 私も新しい武器を手に入れようと唇を噛み締め、そんなこんなでイベントは終わりを告げたのだった。


 って、あれ?ここに来た意味ってあるのかな?




 

 

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