■40 オアシスと砂漠の巨人
あらすじ変えようかなー
砂漠エリアはとにかく広い。
だからかなり歩き回ったけれど、全然行き先がわかんない。そのため皆んな疲労困憊って感じだった。
この前のアップデートで一度行ったエリアから街に戻るのは可能になったけど、せっかくここまできたんだ。皆んなもう少し探索しておこうって気になってるに違いない。
だから私も何も言わないし、このチャンスを逃す気もないのだ。って難しく考え込もうとするのは昔からの癖なのでらしくないかもだけど、とりあえず楽しむこと重視です。
「ねえあれ見て!」
私は叫んだ。
指を指す方向。そこには何やら液体のようなものが見える。青く透き通るそれは砂漠のど真ん中に位置しており、周りには邪魔する遮蔽物は一切ない。
「オアシスか。テンプレだな」
「そんなこといいからさ、あそこで休もうよ!」
「だねー。ここまで連戦続きだったし、もう十分稼げたでしょ」
「そうですね。ここに至るまでに計十二回モンスターと遭遇しましたので、かなりの卵が手に入ったかと」
Katanaの言う通りで、ずーっとおんなじモンスターとばかり戦ってきた。
スノー曰く、“グラが追いついていない”って言ってたけど、よくわかんない。グラってなんだろ。鼠?それともグラタンとか?
「よーし泳ぐぞー!って、なんかあるんだけど」
「ホントだ。石像かな?」
オアシスに飛び込もうとしたちなっちは急に立ち止まった。そこにあったのは巨大な石の像。
何だか不気味だけど、動く気配は今のところなさそうだった。
「かなり精巧に作られているな。だが錆が付着している。かなり長い間放置されていたんだろうな」
「ええ。こんな過酷な環境下です。その上水の中に浸かっているとなると、かなり脆くなっているでしょうね。危ないのであまり近づかないでください」
スノーの意見とKatanaも注意も相まって私とちなっちは少し離れたところで休憩することにした。
それにしてもなんでこんなところに石像なんてあるんだろ。私には不思議でならなかった。
「ねえスノー。なんでこんなところに石像があるのかな?」
「動く可能性が高いな」
「えっ!?」
「こう言うゲームではテンプレだ。何らかの事象が引き金となって、プレイヤーに襲いかかる。そしてそこそこ強く、レベル上げや地形を利用しなければ勝機はない。それが突発的に起こりうる可能性があるだけだ」
「き、危険じゃないの!」
「だろうな。だがおじおじ帰る方が如何だ。どうせ作動するものだ。早い方がいいだろ」
スノーはとても冷静だった。
水筒に入った水とサンドイッチを頬張りながら答える。
ちなっちも世界観を壊しそうな惣菜パンを口の中に突っ込み、Katanaもおにぎりを美味しそうに食べていた。皆んなゆったりしている。やっぱり知識不足の私じゃ追いつけないよ。
「そんなことよりさマナも休もうぜ。一体何時間砂漠エリアを放浪してたんだろ」
「わかんないよ」
「二時間と四十二分だな。もうすぐ三時間だ」
「うわっ、長っ!」
ちなっちが本音を漏らした。
三時間。流石にそんなにやってると体感で伝わる熱量も相まって、明日が辛そうだ。そろそろ戻ろっかなー。
「ねえ皆んな、そろそろ戻ろ……ん?」
私の足が水の中に浸かる。
すると何か違和感を感じた。
ムニュッって感じでもないし、何かこう硬い石でも踏んだみたいな。そんな感じだった。
「あれ?コレって……」
私は自分の足裏で踏んだソレを拾い上げた。
綺麗な赤い石だ。けど、なんでこんなのあるんだろ。砂が付着していることから、多分オアシスの底に広がる砂の中に隠れていたんだと思うけど、コレって絶対駄目なやつだよね?
「マナ、ソレなに?」
「えっと……わかんない」
「綺麗な石ですね」
「う、うん。でもね、砂の中に落ちてたんだよ?」
「砂の中?おい、早くソレ捨てろ!」
スノーは怒鳴った。
私もヤバいと思い即座に手放すがもはや遅かった。
私の手から滑り落ちると同時に石は砕け散り、ゴゴゴゴゴと地響きみたいな嫌ーな音を立たせた。
「これってもしかしなくてもだよね?」
「ああ」
私は急ぎ水の中から出た。
その間一つ気付いたのは徐々に水が抜けていたことだ。中央に向けて水がちょっとずつ。それでもかなり早いテンポで飲み込まれていく。
まるであの石像が飲み込んでいるみたいだ。
「絶対ヤバいよね、コレ」
「ああ。来るぞ」
スノーが睨みつける。
その視線の先にあるのは石像。水が全て消えた途端、グガガガガガと更に音を際立たせる。
ゆっくりと石像に張り付いた錆や苔がボロボロと落ちる。他に付けていた腕を持ち上げ、足や腰が徐々に浮く。そうして現れたのは巨大な動く石像の姿。まるで生きているかのように砂漠のど真ん中で起動したのだった。
「あわわわわ、ど、どうしよう!」
「どうするのもなにも選択肢は二つだ」
「二つ?」
スノーは冷静だ。
私に指を二本立てて提案する。
「一つは急いでメニューウィンドウを開き離脱する。もう一つは戦う。どちらにするかはマナ次第だ」
「私に言うの!」
「当然だ。お前はギルマスだからな」
スノーはさも当然って感じで言ってきた。
それなら逃げ出したいけど、ふと横目を向けばちなっちは戦う準備万端って感じだしkatanaも腰の刀に手を添えていら。こんな状態で逃げろなんてとてもじゃないけど言えない。と言うか何だろ。スノーの顔が“賞賛あり”って訴えかけてくる。
そんな状況で切羽詰まった私はいつの間にか口にしていた。
「や、やろ皆んな」
「わかった」
「オッケー!その言葉を待ってたよ」
「わかりました。尽力します」
皆んなやる気を昂らせる。
何だかんだ皆んな戦いだけみたいだった。




