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■38 お試しで助っ人になってもらいます

体がだるいよー

 Katanaと名乗った少女は一人だった。

 〈ドラゴニュート〉と呼ばれる竜の種族で、攻撃力と防御力が抜群に高いのが特徴的な種族。頭からは金色の角が短く生え、爪や翼はなか普通の人間みたいだけどちょっぴり威厳が感じられた。

 と言うよりもその性質を丸ごと飲み込んで調和させてしまっているのが、この子の凄みなのだろう。


「Katanaもイベントに参加してるの?」

「はい」

「じゃあなんであんなところで倒れていたんだ」

「スノー!」


 スノーの厳しく尖った台詞が解放された。

 しかしそれすら飲み込んでしまう。


「あれは私の失態でした」

「水分補給もせずに戦っていたのか」

「ちょっとスノー」

「いいですよマナさん。弁解の余地はありません。確かにスノーさんの言う通り私は水分補給もロクにせず連戦になってしましたから」

「連戦?」

「はい。モンスターハウスと言うのでしょうか?大量のモンスターが突然湧いてしまい、なんとか退くことは出来たのですが疲労が溜まってしまいこの有様です。本当に未熟でした」


 いや普通大量のモンスターが突然現れたら対処出来ないよ。

 ましてや私達三人でも苦戦するようなモンスターがたくさんいるのにそんな数一人で相手出来るなんて凄すぎるって。


「Katanaは強いんだね」

「いえ。私など、まだまだです」

(謙遜しちゃってる)


 細身で背は高い。

 スノーもそこそこ背は高いけど、それと同じかそれ以上あるだろうか?

 とにかく無事で何よりだ。


「Katanaもイベントに参加しているのか」

「そうですね。確かにスノーさんの言う通りイベントには参加しております」

「おい、私の名前に敬称を付けるな」

「どうしてでしょう?」


 スノーのスイッチが入った。

 スノーはノースの状態でもそうだが、敬称を付けられることを嫌がる。けどKatanaはスノーの威圧に対してニッコリと柔らかな物腰で対応した。


「すみません。やはり慣れないので、私はスノーさんと呼ばせていただきます」

「曲げないんだ。あっ、じゃあ私のことはマナでいいよ」

「はい、マナさん」

「あれ?」


 スノーに対しても敬称で呼び、私にも付けている。

 なんでだろ。めっちゃ頑なだ。

 理由を尋ねると、単純に癖になっているらしい。これが癖になるってことは、そう言う家柄なのかな?興味ないけど。


「おーい、そっちはどうだー!」

「あっ!ちなっち」


 すると見張りを終えたちなっちが戻ってきた。


「あれ?起きてるね」

「はい。おかげで助かりました。誠に感謝いたします」

「そう言うのいいって。ちわっち!私、ちなっち。よろしくー!」

「はい。私はKatanaと申します」

「はいはいよろしくー!」


 ちなっちは依然としてノリが軽かった。

 まあそのコミュ力の高さこそちなっちの取り柄なのだが、Katanaの順応性も圧巻だ。

 それにしてもKatanaは一人で参加しているようだ。

 私はそれを聞いて一つ思うところがあった。それはちなっちのことだ。ちなっちのチーム戦で特徴を活かせる仲間の存在。深く、深ーく考えた結果私はちなっちとスノーの二人に小声で話をした。


「ねえ二人ともちょっといい?」

「なーに?」

「なんだ」


 二人とも私の反応にすぐに気づいてくれた。

 私はそんな二人に思ったことを率直に伝える。


「Katanaを誘ってみない?」

「なにに」

「ギルドに」


 私がそう呟くと二人とも意外そうな反応を見せる。

 しかし何故かすぐに納得したように相槌を打つ。


「なんとなくそんな気はしてたんだー」

「だがなぜだ。今のままでは……不十分だな」

「うん。ちなっちさ、前衛一人で大変じゃない?」

「そんなことはないよー。ただカバーまではちょっと厳しいかなー」

「だよね。ちなっちの得意なことってさ」

「もちろんスピード!私、スピードなら負けない自信はあるよ!」

「光の速さには勝てないがな」

「それは言わないでよー!」


 すらすら話が展開する。

 そう。ちなっちの持ち味のスピードと性格柄一人はとんでもなく厳しい。荷が重い。そんな気がしてならなかった。

 だからせっかくだ。私は皆んなの意見のもとKatanaに話をしてみることにした。


「ねえKatana」

「はい」

「Katanaって一人?このイベントだけじゃなくて」

「そうですね。確かに私はどこのパーティーにもギルドにも所属はしておりませんが」


 私の単刀直入な質問に素直に答えてくれた。

 話が早くて助かる。私はさらに話を進める。


「もしよかったらさ、このイベントが終わったら私達のギルドに入ってくれないかな?」

「えっ!?」


 驚かれた。

 そりゃそうだよね。突然の話だもん。Katanaは口をつぐむ。


「い、いや無理だったらいいんだよ。じゃあさ、今だけ。この砂漠のエリアだけは共闘とかってできない?」

「共闘ですか」

「うん。お試しみたいな感じで気軽にやろ!」


 私はにこやかに答えた。

 するとまたしても沈黙が流れる。しかし今度は拙いながらも言葉が出る。


「わかりました。ただギルドへの加入についてはしばらく考えさせてはいただけないでしょうか?」

「うん。もちろんいいよ!」

「感謝致します」


 申し訳なさそうに会釈した。

 Katanaにも事情がある。だから無理して加入を促すことはできない。

 ただ今の間だけは仲間なのは確かだった。


「じゃあ行こっか、Katana!」

「はい」


 Katanaは腰に日本刀を帯刀し直し、私達はもう少し砂漠を探索してみることにした。

 ちょっと直しました。

 現在書いている今後の話で齟齬が生まれるかもしれませんが、ご了承ください。

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