■34 今日は湖畔を散策するっぽい
少し投稿が遅くなりました。
昨日はクマグマーを倒したことでレベルも上がった。
おまけにイースターエッグも手に入ったのでかなりいい一日になった。
さてと今日はどこに行くんだろ。
私はスノーに尋ねていた。
「今日はどこに行くの?」
「今日は湖畔だ。それよりもだ」
「ん?」
スノーは私の周りをチラチラと見回した。
「ちなっちはどうした」
そう尋ねられる。
「ちなっち。ちなっちは今日は来れないよ」
「なぜ」
「今日は家族で久しぶりの外食だって。だから今日は私とスノーだけだよ」
「そうか。マナは」
「私?」
「マナは家族と食事を摂らないのか」
スノーはそう聞いてきた。
私はちょっと言葉の言い方に迷ってから答える。
「私の両親、今海外にいるから無理なんだ」
「そうか。悪いことを聞いたな」
「なんで?」
「寂しくはないのか?マナは寂しがり屋そうだからな」
「ありがと。でも全然寂しくないよ。だって千夏ちゃんやノース、学校の友達がいるから」
「そ、そうか……」
スノーは顔を隠した。
「スノー?」
「なんでもない。早く行くぞ!」
「あっ、ちょっと待ってよ!」
私はスノーの後を追った。
やっぱりスノーは可愛い。
湖畔にやって来ました。
やっぱり初日じゃないので昨日に比べたら少しだけ人数は少ないけど、それでも景色をゆっくり堪能出来るほど少なくもない。
ちょっと残念です。
「どうやって探そう?」
「さあ。とりあえず散策してみてから考えるぞ」
「うん!」
私はスノーの隣を歩いた。
「それにしても綺麗な湖だね」
「そうだな」
「魚とかいるのかな?」
「いるかもしれないな」
「スノーって【釣り】のスキル持ってる?」
「持っていないがなぜ?」
「今度釣りしようよ!皆んなでさ!」
「経験は」
「ないよー!」
スノーはその言葉を聞くと溜息を吐いた。
何だろう。さっきからつまらなそうだ。
もしかして私のせいかな?
「ねえスノー」
「なんだ」
「私と一緒だとつまんない?」
そう尋ねるとスノーは立ち止まった。
そうして私の顔をジッと見つめると不思議そうに呟いた。
「私はつまらないと判断したら黙るぞ」
「えっ!?じゃあ」
「早く行くぞ」
スノーは歩き出した。
私は置いてかれないようにとちょっと歩幅を広くする。
「待ってよスノー!」
私は今一度スノーの隣に立った。
私の勘違いだったらしい。こうやってスノーが自分の意見を言ってくれるのは信頼してくれている証。スノーはもしかしたら表現が苦手なのかもしれない。
私達はモンスターと戦っていた。
湖畔の周囲に位置する森の中を索敵していたところ、突然現れたのは変な植物のモンスター。巨大な花弁に目がついていて気味が悪い。
しかも長い根っこをまるで腕みたいにニョロニョロ動かして移動しながら攻撃してくる。
「どうしようスノー」
「マンドレイクか。マナ、魔法は使えるか」
「使えないよ!そうだ、スノーの魔法は!」
「この蔦を払うことは可能だ」
「じゃあお願い。その間に私が決めるから」
「わかった」
スノーは軽く頷く。
すると背後からぶつぶつと小言が聞こえてきた。
チラッと視線を動かす。
しかしその時にはすでに魔法を放つ準備をとっくに終わらせたスノーがいた。
「《ダークトルネード》!」
スノーは右の掌を突き出した。
そして詠唱を即座に読み上げると、真っ黒な風が竜巻になって襲ってくる蔦を払って無力化した。
私はその隙をついて〈雷光の長靴〉で瞬間的に加速する。
マンドレイクは蔦を払われたショックと突然の出来事に困惑したみたいで、私なんかのへなちょこ斬撃がクリーンヒットした。
【幸運】のスキルも相まってピンポイントに急所を抑えたのか、マンドレイクのHPはごっそり削れていき私達は勝利を収めた。
と言うか妙に呆気なかった。
「星1のイースターエッグか。ないよりはマシだな」
「うん……」
私は小さく頷いた。
しかしその様子に不信感を抱いたのか、スノーは私に目をギロッと動かして尋ねる。
「どうしたマナ。なにかあったか?」
「ううん。なんでもないよ。ただ……」
「ただ?」
私はちょっとだけ思っている不満をスノーに喋った。
「はぁー。私も魔法使ってみたいなー」
「それだけか?」
「うん。それだけだよ。ね、大したことなかったでしょ」
スノーは多分拍子抜けしてしまったと思う。
と言うのもちなっちもそうだしスノーもだけど二人共魔法が使える。
やっぱりファンタジーゲームなんだし、魔法の一つや二つ使ってみたい。できればカッコよくて強くて皆んなの役に立つようなの。
でも未だに私はスキルはどんどん凄く強いのが手に入っているけれど、魔法に関しては全くだった。
だからちょっぴり不満と憧れ意識が芽生え始めていたのだろう。
「いいかマナ。魔法はMPの消費が激しい。私も《ダークトルネード》は一回。《シャドウバインド》も二回までが限界だ。まさに諸刃の剣。そんなものに執着するよりスキルを得た方がよっぽど効率的だ」
「効率……私にはよくわかんないよ」
正直よくわからない。
周回プレイとかRTAだっけ?そう言った効率やスピード重視の遊び方もあると思うけど、私はのんびりやりたかった。
だからそんな非効率的だとか言う言葉には微塵も興味ないのだ。
「はぁ。マナはスキルが強力だ」
「でもでも、それだけじゃ足りないでしょ?」
「足りない?」
「攻撃力とか、戦術?の幅。スノーなら気にしてると思ってたんだけど」
「私をなんだと思っているんだ。買いかぶりにも程がある」
「ごめん」
「謝るな。私の方が悪くみえる」
如何やらスノーは戦術?とか何とか全く気にしていないようだ。
じゃあ今まではちなっちとスノーが自然と連携を取って飛んだ。凄い。私なんか二人に助けられてばったりなのに。
「今後の課題かな……」
「なにか言ったか?」
「ううん。なんでもないよ」
私は一人目標を作った。
魔法があればじゃなくて私らしい遊び方と皆んなとの協力の仕方を模索してみよう。
「一つ忠告だが、マナは今のままで十分だ」
「はい?」
「無理にとやかく考えるな。動きが鈍ってかえって迷惑だ」
「えー」
如何やらスノーにはバレていたっぽい。
それを速攻で止められてしまった。
“でも今のままでいい”って如何言うことだろ?
私には深みはわかんなかったけど、取り敢えずスノーの言う通りあんまり深く考えないでおこうと決めた。




