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■33 VS熊(二回目)

オリンピック開かれましたね。

「見つけたよ!」

「こっちあった!」


 私とちなっちはそれぞれイースターエッグを探した。

 ちなっちは【木登り】のスキルがあるから木の上に登ってみて、葉っぱの影に隠れたイースターエッグを。

 それから私は色んなモンスターに声をかけてみてイースターエッグを手に入れた。

 この【動物愛】と言うスキルはかなり確率的なものらしくて声をかけても逆に反撃されたり、逃げられちゃったりすることの方が多かった。

 それでも成功確率おおよそ三割は【幸運】のスキルあってこその賜物だろう。


「よし、その意気だ」

「そう言うスノーはどうなのさー」


 ちなっちがぼやく。

 確かにさっきからスノーが動いているところを見ていない。

 まあ常に観察しているわけじゃないので、ホントのことは知らないけど。


「私か?私はこんなものだ」


 と見せて来たのは大量のイースターエッグ。

 一体どこから取って来たのやら。

 やっぱりスノーの行動は目を見張る。と言うかこんなのどうしたんだろう。


「や、やっぱり変だよスノー」

「変?何がだ」

「その、理由もなく突き付けられてもね流石に信じられないよ」

「理由?ああ。このエッグ達は適当にそこら変の木を叩いたら落ちて来たぞ」

「落ちて来た?」

「ああこうやったな!」


 そう言ってスノーは大鎌を取り出すと、斬れる方じゃない方の刃を思いっきり近くの木に叩きつけた。

 酷い。ってか荒い。

 私は内心そう思う。

 しかしその衝撃が木に走り、葉っぱの間から大量のイースターエッグが落ちて来た。

 それらを鎌のクルンと丸まった刃の曲線で回収する。

 どんな技術なの!


「こんなものだ」

「す、凄い!」


 素直に感心した。

 しかし何故だろう。何でスノーにはこの木の上にイースターエッグが大量にあるって分かったんだろ。


「どうしてこの木の上にあるって思ったの?」


 率直に聞いてみた。


「簡単だ。エッグを落とす木には法則がある。この白っぽい木からしか落ちない」

「そうなの?」

「試してみろ」


 そう言われた。

 と言うことで私とちなっちも互いの顔を見てからそれぞれの武器を取り出して近くの白っぽい木を適当に叩いてみた。


「「せーのっ!!」」


 私とちなっちはほぼ同時に木を叩いた。

 すると真上から大量の卵が落下してくる。

 私は【ジャスト回避】で、ちなっちは元々の反射神経の良さからスッと躱した。

 大量のエッグが落下する。

 しかもかなり頑丈で硬いのか、皹の一つも入らない。


「マジ!?」

「ホントだ!でもなんで?」


 私の疑問にスノーは自分の見解を話した。


「ここから見てわかるが、この周囲には茶色い樹皮の木おそらくは杉や檜の類と白い樹皮、例えるなら白樺だな。この二種類が混成している。しかし白い樹皮を持つ木の数の方が圧倒的に少ない。そこを着眼点として仮説を立てただけだ」

「へぇー」

「でもスノー、檜と白樺って針葉樹と落葉樹で生息地も違うと思うけど?」

「そうだな。だが見てみろ」

「ん?」


 スノーな指を刺した方角を見た。

 そこには巨大な山が聳え立つ。

 その上ちょっと白っぽかった。


「見ての通りこの辺りは気候がバラバラだ。そんなことをいちいち気にしていても仕方ない」

「でも……」

「まあ私も疑問には思う。だがその解決の糸口は見つかっていない。今すぐ回答を迫られても私には無理だ。私はそこまで優秀じゃない」

「大丈夫だよ。私はスノーが優秀だとか思ってないよ」

「ふぇっ?」


 スノーは目を丸くした。


「いやマナそれは流石に酷くないか?」

「そ、そうだよね。ごめんねスノー。つい」

「どうしてそう思う」

「ん?」

「私は自分が立派な人間だとは思わない。が、マナは私をどう見ている。ちなっちは」


 何か変な質問だなー。

 そんなの答えなんて決まりきってるのにね。


「友達だよ。それじゃ駄目?」

「友達?」

「うん。ね、ちなっち」

「ああ。頭いいとか関係ないでしょ。私も運動と数学以外は点で駄目だし!」

「それは自慢になってないよ!」

「えー」


 私もツッコミを入れた。

 スノーのよくわからない質問に対する真っ当な答えを持ち合わせていないからなのだが、そんな当たり前のお話にスノーは呆れ顔だった。

 と言うか放心状態?何で、どうして?私何かした?

 そんな焦りを悟らせないようにしながら過ごしていると、何処からともなく草むらが揺れた。

 私とちなっち、それからスノーは警戒体制に入る。

 流石というか何というかちなっちとスノーの反応速度がずば抜けていた。

 だから気づいたのは私の方が早かったけど、取り掛かりは二人には及ばない。


「どうするスノー?」

「相手を見る。まずはそれからだ」

「ふぇー、二人共凄いね」

「マナ集中しよ」


 ちなっちにボヤされる。

 私も頬を叩いて敵に備えた。

 そこから現れたのは巨大な熊。てかまた熊ですか!

 けど何だろ。この間のとは色が違う気がする。


「ベリーグリズリーだな」

「ベリーグリズリー?美味しそうな名前だね!」

「ベリーは食べ物じゃない。大きいグリズリー。モンスターだ」


(いや、それは分かってるんだけどね)


 私は心の中で唱えた。

 だって真面目な顔でスノーが喋ってるから笑うのも良くないと思ったのだ。

 そんなことを考えていると、不意に私の隣からちなっちの姿が消えていた。

 ちなっちはベリーグリズリーの背後を取って先制の一撃を二回お見舞いする。あれ、日本語おかしくない?


「せやっ!」


 ちなっちの二連撃がベリーグリズリーの背中にクリーンヒット。

 おまけに追撃を左腕にかけてお見舞いする。

 その様子を見た私も負けてられないと思い、〈雷光の長靴〉の力で一瞬だけ加速して〈麒麟の星雫〉で正面から斬りかかった。


「せーのっ!」

「待てマナ!」

「えっ!?うわっ!」


 私は突然の咆哮を食らった。

 ビックリした私の体はその場で硬直する。

 動けない私にベリーグリズリー爪が迫るが、それをちなっちが間一髪のところで【加速】を使って回収する。

 【受け身】のスキルで軽く体を捻ってその場を離脱した。


「大丈夫マナ?」

「ありがとうちなっち。おかげで助かったよ」

「これぐらいなんてことないって。それよりスノー今のって?」


 即座にちなっちは尋ねた。

 スノーは今のモーションについて知っていたのだろう。


「アレはモンスターの持つ特有のスキル。【咆哮】と同系スキル【獣の咆哮】だな」

「【獣の咆哮】?」

「アレを食らうと一時的に動けなくなる」


 スノーはそう説明した。

 私はそれをまともに食らったのだ。確かにアレは凄かったし、死んじゃうかと思った。

 思い出すだけで冷や汗が垂れてくる。

 ちなっちは私を下ろした。


「私がもう一回背後から攻撃しよっか?」

「いやここは私がやる」

「スノーが?」

「そろそろ0時を回る。早く仕留めるぞ」


 スノーはそう答えるや否や大鎌を取り出した。

 そして何をするのかと思いきやその場で硬直して動かなくなる。


「スノー?」

「なにしてんのさ」

「黙って見ていろ」


 そう言うとスノーは何かを詠唱し始める。

 魔法だ!

 スノーが魔法を使うところなんて見たことがないので、ちょっと楽しみだ。


「《シャドウバインド》」


 そう呟くや否やスノーはベリーグリズリーを指差した。

 すると突然ベリーグリズリーの影が蠢き始め、立体的に現れた。

 そのまま何をするかと思うとベリーグリズリーの体を拘束する。細い影が幾重にも重なり合いおつまみ用のスルメイカみたいに簡単に裂ける。

 こうして自分の影によって体を拘束されたベリーグリズリーは身動きが完全に取れなくなっていた。

 

「強い。てか反則だよね!」

「いやいや拘束系のデバフはよくあるよマナ」

「そうなの?」

「うん。でもコレはやりすぎたけどね」


 ちなっちも呆れる所業だった。

 しかしそこから何をするのかと思いきやスノーは次の魔法を放つ。


「これが私の唯一の攻撃魔法だ。《ダークトルネード》!」


 そう発した瞬間、突如として周囲を風が吹き荒れる。

 しかもそれらは回転しながら黒い竜巻を発生させるとベリーグリズリーに向かって飛んでいく。

 ベリーグリズリーは竜巻の中に飲み込まれていった。

 何が起きているのかはわからない。

 けどみるみるうちにベリーグリズリーのHPが減っていくのが目で追える。

 そうして竜巻が消えた時には、そこにはベリーグリズリーの巨大はだからやら、竜巻によって巻き起こされた風で周囲の草木ごとなくなっていた。


「こんなものか」

「いや強すぎでしょ。ねえマナ」

「う、うん。でも今のすごくカッコよかったよ!」

「カッコよかった?」

「うん。自分よりも大きくて強い相手に向かっていくのってやっぱりカッコいいもん!」


 私は手を合わせて言葉を添えた。

 スノーはその様子を軽く眺めると、ドロップアイテムを確認する。

 如何やらイースターエッグが手に入ったらしい。

 こうして私達は今日の探索を終えたのだった。

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