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■29 ギルドホームは森の中?

ストックが削れて来た。

指摘をいただので修正しました。何があったのか、辻褄の合わない展開になっていたのである程度削除しました。

 あれから数日。

 私達のギルド、『星の集い(デルタクロス)』は遂にEランクに到達した。

 これで何が変わるのか。

 そう、念願のギルドホームが購入出来る。

 それがたまらなく嬉しくて、他のことはまーったく知らないけれど、何だか愉快な気分で楽しかった。


「ねぇ千夏ちゃん、今日はギルドホーム観に行くんだよね?」

「うん確かね。でもまさかノースがあそこまで張り切ってるとは思わなかったけどー」

「確かにそうだよね」


 実は昨日、スノーことノースから「ギルドホームのことは任せてくれ」と言われていたのだ。

 スノーが自発的、かつここまで張り切っているのはきっと何か意味があると思い、私と千夏ちゃんは全権を一任した。

 ただちょっと場所が遠いとの話だったのでどんな所なのかはかなり興味があった。


「でも、まさかこんなに早くギルドが持てるとは思わなかったなー」

「そうなの?」


 千夏ちゃがボヤいた。

 購買で買ってきたコロッケパンを頬張りながら話す。

 口元に付いた衣は舌で舐めて取る。

 私は自分で持ってきたお弁当のおかずを口に運びつつ、首を傾げた。


「そりゃそうでしょ。だってまだ初めて一ヶ月なんだよ?スノーは置いておくとして、愛佳の成長速度って異常だからねー」

「そうかなー?私は【成長補正(平均)】を持ってるからじゃない?」

「そもそも習得条件が奇跡すぎるんだけどね、そのスキル」

「それは私も同感だよ」


 私はニコニコ笑顔で答えた。

 確かにあのスキルは習得条件が厳しすぎるのが難点だ。

 でもその代わりに1レベル上がるにつき、パラメータ全体が比較的平均的に成長していく。

 チートと言われてもおかしくはない代物だ。

 でも使っている私の身としてはちょっと解釈が異なる。


「でもそれって駄目なのか?」

「駄目って?」

「私初心者だし、あんまり強くないもん」

「いや十分強いでしょ?」


 速攻論破されてしまった。

 私は目を丸くして口をポカンと開ける。

 千夏ちゃんの言っていることがよくわからなかったからだ。


「いやいや、私そんなに強くないよ。ゲームだって初心者だし」

「うーん、あっ、そっか!愛佳は気づいてないんだ」

「どう言うこと?」


 私は首を傾げる。

 しかしそんな私に対し、千夏ちゃんはかなりあっさりしていた。


「なんでもないよー」

「えー!絶対あるでしょ!」


 私は千夏ちゃんにツッコミを入れた。



 私とちなっちはは森の中を歩いていた。

 この森は私達が普段活動しているあのおっきな街。確か名前は〈リムルト〉だったはずだ。

 そんな街からしばし歩いた先。そこにあるこの森が私達のギルドホームらしい。

 って、森がギルドホームって何!

 今更だけど私達とんでもない勘違いに走ってない!

 あわあわと一人慌てふためく私と、木々の葉の間から差し込む木漏れ日に浸りながら軽快なステップを踏むちなっちの姿がそこにあった。


 そんなこんなで私達は森の奥までやって来た。

 するとそこには木に背中を預ける見知った姿。

 黒のワンピース。赤い短いネクタイ。

 さくらんぼのような綺麗な瞳をした黒髪の少女ことスノーである。


「あっ、スノー!」

「やっと来たか」


 彼女は腕組みをしていた腕を解いた。

 プラーンとさせる。


「ごめんね。ちょっと遅れちゃったみたいで」

「ごめーん、スノー」


 私とちなっちは謝った。

 それを短い溜息で洗い流すスノー。

 彼女は目を一瞬だけ閉じると、私達に向き直る。


「ここがギルドホーム?」

「そうだ。正確にはこの先に私達のギルドの拠点であるホームがある」

「じゃあここって?」

「私達の私有地だ」


 私の質問にすぐさま返答するスノー。

 彼女はさも当然のように言っているけど、私にはそれがピンと来ていなかった。

 “私有地”何て唐突に言われても理解が追いつかない。

 ちなっちはちなっちで周りを見回して楽しげだ。

 そんな姿を見ていると、私も余計なことは考えないことにする。


「でまどうしてこんな森の中なの?」

「それはこの先を見ればわかる」


 そう言って私達を案内した。


「うわぁー!」

「すっご、ログハウスじゃん」


 私達の目の前には突如としてログハウスが出現した。

 二階建て。

 しかもまだ真新しい。

 それが森の中にひっそりと開けた配置の上に立ち、その雄大な景色と相まって私達は感動した。


「凄いよスノー!」

「うん。私、こう言うの好きだなー」

「ふん。まだだ。私が言いたいとはこの先だ」


 そう言うスノー。

 私とちなっちは顔を見合わせ首を傾げた。


「どう言うことスノー?」

「この先にあるものに私は興味を持っただけだ」

「先?」

「行けばわかる」


 そう言って私達を更に案内する。

 半信半疑の私とちなっちはスノーの後に続いた。


 森の中には川が流れていて、ログハウスの先には短い木の橋があった。

 私達はそんな道を悠々と進み、スノーの後を続く。

 そうして辿り着いた先。

 そこにあったのは巨大な大木だった。

 しかしただの大木ではない。

 何かこう、神聖な感じ雰囲気を漂わせる神木だった。


「スノー、コレって?」

「私にもわからない。が、妙だろ」

「妙って?」

「こんな場所に御神木っぽいのがあるってこと?」

「それもあるが、なぜこんなにも探索エリアのような風格を持っているにも拘らず、この辺り周辺のエリアは全て一つのギルドの所有物(・・・・・・・・・・)になっているのかだ」


 如何言うこと?

 頭に盛大なはてなマークを浮かべる私と、ポンと手を叩くちなっち。

 ここはゲームを普段からやっているからこその差だろう。

 私にはちんぷんかんぷんだった。


「なるほどね。つまりスノーはこの木になにか秘密があるんじゃないかって思ったわけね」

「ああ」


 スノーは短く相槌を打つ。

 

「秘密って?」


 私は尋ねた。

 しかしスノーはキリッと睨むような視線で、私に答える。


「いやわからないな。なにか条件があるのか、そもそもなんの仕掛けもないのか。それすらわからん」

「そっか……なんだか残念」

「全くだ」


 スノーも同感らしい。

 でもそんなことは抜きにしても私は笑顔だった。

 そんな姿を見たちなっちは脇腹をコンコンと膝で突く。


「どうしたのちなっち?」

「なに笑ってるの?」

「えーっとね。なんか楽しいなーって」

「楽しい?」

「うん!こうやって皆んなでわけわかんないことに取り組むのって、青春って感じでしょ?」

「いや少し違う気がするんだけど……まあいいっか!」


 ちなっちは考えることをやめた。

 そうして手を腰に当て、私達は向かい合った。

 そんな様子を気味悪がったのか、スノーは微妙な顔を浮かべ表情を歪ます。

 まあそんなこんなで私達のここまでの苦労が実を結んだのだった。


 ちなみにこの大樹、今のところはなんにも変化はないのでスノー曰く、次のアップデートに期待しよう!とのことで纏まったのだった。



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[気になる点] >>私とちなっち、それからスノーの三人は森の中を歩いていた。 >>そんなこんなで私達は森の奥までやって来た。 >>するとそこには木に背中を預ける見知った姿。 >>黒のワンピース。赤い…
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