■265 岩甲のぶつかり合い
本当にストックがないので、お休みします。
多分次を投稿したら、しばらくストック溜めのターン。しばし。
タイガーは拳を構えた。
馬鹿にしているのか、やってこない。
頭の上の平らな岩を下に下げ、間合いを取るだけだった。
「動かないね」
「こういうのは、動いた方が負けるんじゃない。タイガーもさ」
ちなっちは見立てていた。
それもそのはず、確かに一歩も動いていない。
タイガーと岩頭竜の睨み合いが、このままずっと膠着状態で進行するのかと思いきや、それは急だった。
グルガァァァァァァァァァァァ!
けたたましい怒号。
岩頭竜が叫び声をあげ、突然襲い掛かって来た。
「な、なんで急に!」
「分かんない。でもさ、これー」
耳を両手で覆う。
何とか耳を守ることができたけど、岩頭竜の硬い頭で声が反響し、音が痛みに変わる。
内側からも外側からも、ズキズキと激しく叩かれる。
気持ち悪く言うなら、内臓が破壊されるみたいだった。
「た、タイガー!」
「逃げないと、死んじゃうよー!」
思いっきり叫んだ。
しかしタイガーは、右拳を一つ引いて、
キシィ……ズドーン!
タイガーの拳が貫いた。
本来硬いはずの岩を、タイガーは破壊したんだ。
破片が飛び散り、たった一発の間で、凄まじい攻防戦に発展していた。
けれどタイガーは、一切動じずに、岩頭竜を注力する。
瞳孔を限界まで開き、虎の目を開放していた。
「す、凄いタイガー」
「あれが奥の手の、【虎目】」
【虎目】。それがタイガーの取得した新しい、スキル。
圧倒的な威圧感。
たとえ目が見えなくても、その威圧感には流石のモンスターでも、一瞬は身が硬直するものだ。
そんな生き物の性をくすぐるのがこのスキルの本分で、“瞳孔を開いた直後、それから数秒間は相手は威圧されて行動不能になる”まさしく、目のスキルの中でもかなりの強スキルだった。
「タイガー、強いよ」
「はぁはぁはぁはぁ」
「タイガー?」
マズいことになった。
体をぐにゃっと曲げて、息を荒げる。肩を上げ下げしていて、苦しそう。
すると岩頭竜が動き始めた。
如何やら、目が乾燥して【虎目】が解けたんだ。
「行くよちなっち」
「オッケー」
私は岩頭竜の体に傷をつけた。
だけどダメージはない。やっぱり物理系じゃないと駄目だ。
こうなったらと思い、少し視線を避けると、タイガーをちなっちが救助していた。
それを皮切りに、私も本気になる。
岩頭竜は、“目が見えない”。だけど、“光を頼りにしている”。
ならばこうするしかない。私は、“星”がキーワードだもんね。
「《プライム・ショックウェーブ》!」
〈奇跡の星見〉を抜刀し、岩頭竜の性質を利用した。
すると岩頭竜は狂いだし、暴れまわる。
「うわぁ!」
岩みたいに硬い頭を武器にして、襲い掛かって来た。
しかし誰かれ構わずで、頭をぶつけてくる。
この魔法は、色々なスペクトルの粒子を、星の光に変えて打ち込んでいた。
そのせいで、岩頭竜は狂いだすが、
「ちょっと待って! 死んじゃうって!」
どんどん岩が砕けていく。
無数に飛び散った岩の破片が、ナイフのように襲ってくる。
しかし、
「あ、あれ? 当たらない」
全然当たらなかった。
私はこのまま時間を稼ぐ。そうすることにして、タイガーが戻るのを待つしかなかった。
「くっそ」
「大丈夫タイガー?」
「ちなっち。あぁ、大丈夫だぜ。けどよ、マナは如何して……何やってるの!」
タイガーは目が覚めた。
しかしすぐに慌てだす。マナは防御力が低い。それにまともに当たれない。
だけど、さっきから全然攻撃が当たらずに、タイガーたちは驚いているようだけど、
「俺もすぐに戻る。ちなっちも一気に叩きに行くぞ」
「ダイジョブ。さいっしょっからその気だからさー」
準備運動をしていた。
それから【加速】を使って、超高速で接近すると、岩頭竜の横っ腹に蹴りを叩き込んで、敵の注意を二分させると、そのままの勢いでタイガーも戻ってきた。
手にはガントレット。
煌めく銀色の装甲と、回復した目も光らせる。
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