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■263 〈虎鋼手甲〉

正直よくわからない。

もしかしたら、しばらくお休みするかも。

 さてと、スノーの方はこれでいいとして、残るはタイガーだが、一体何をしているんだろ。

 ちなっちに取り押さえられ、シズさんがメジャーで測る。

 でもさ、腕だけじゃなくて、腰まで測ってるのは何でだろ?


「シズさん、何やってるの?」


 気になったので聞いてみた。

 しかし集中していて、話を聞いてくれない。

 そこで道具を預かっているKatanaが、代わりに話してくれた。


「タイガーさんのガントレットの質量と大きさの計測だそうです」

「えーっと、ん?」

「不思議ですか。そうですね、確かに腰回りにかけては私にも想像が……」

「それもそうなんだけど、如何して取り押さえられてるの?」

「それはですね……」


 Katanaが説明するより早く、タイガーが悲鳴を上げた。

 何かと思えば、タイガーは目を見開く。

 それだけじゃない。

 シズさんの手が危うい。


「ここをこうして……」

「馬鹿! そんなとこ触るな!」

「お腹触っただけだよ?」


 めちゃ軽い。

 流石ちなっちで、シズさんは変わらず計測に没頭していた。


「おいちなっち! 放しやがれ。さもないと……」

「にひひ。ここは我慢だよ」

「おい、本気でぶん殴るぞ!」


 タイガーの目は本気。

 だけどちなっちはにやにやしている。


「だいじょぶだよー。私なら躱せるし」

「お前」

「それにそんなこと、タイガーがしないでしょ?」


 タイガーは顔を顰める。

 すると、ちなっちはより強く腕を抑え込み、タイガーを放さない。

 逆にこの状態を惨状とも思わずに、ただ一人楽しむ。


「ちなっち、黒いとこ出てる」

「そうですか? あれぐらいなら、見えませんが?」

「それはKatanaがそう思うだけでしょ? 多分ちなっち、古典の小テストが悪かったんだよ」

「なるほど。私も数学がかなり酷い結果でした」

「そうなの?」

「はい。お気持ち、わかります」


 その部分はよくわからない。

 だって私、こう見えて赤点取ったことない。

 作文以外は、そこそこだけどさ。


「後はここを」

「お前、そこは! あははははあは!」


 タイガーは身動き取れずに、くすぐったいのか、笑い出した。

 面蔵さんの工房で、笑い声が響く。

 床や壁に反響して、高笑いにも似ていた? ん?


 ◇◇◇


 タイガーはぐったりしていた。

 面蔵さんの用意してくれた椅子に沈み込んだ。


「で、こうなっちゃったけど、シズさんはできるの?」

「なにが?」

「タイガーの武器。色々測ってたけどさ」


 私はシズさんに聞いてみた。

 するとシズさんは構想を練り始めると、インベントリから鉛筆とメモリ付きの用紙を取り出すと、即座に武器のイメージを描き出した。

 すると、タイガーに見せる。


「ざっとこんな感じだ」

「これは、虎手甲と同じじゃねえか」

「同じじゃない。これはあれの正統進化版だ」

「へえー、いいじゃんか」


 何だかタイガーは嬉しそう。

 正直どうしてあの武器が好きだったのか聞いてみると、


「そんなの決まってんだろ。扱いやすいし、軽いし、強度は高えし、おまけに虎だからな」

「そ、それだけ?」

「それだけじゃなえよ。俺は猫好きなんだよ」


 私は唖然とした。

 可愛い理由でほんわかして、だけどまさかの理由で瞬きをする。


「それじゃあ早速作るぞ」

「もうできるの!?」

「当たり前。私、材料さえあればできる」


 シズさんはそう伝えると、私達をじっと見た。

 まさかここまでやった私達に、まだ素材を要求するの。

 そう思った矢先、シズさんは、


「アイアンタートルの甲羅はある?」

「「「あ、あります」」」


 三人で揃えた。

 もしかしてここまで読んでいたってこと?

 それはちょっとスノーさん、怖すぎますよ。


「アイアンタートルの甲羅は軽くて丈夫。だからあっていい素材」

「と言うわけだ。先読みして、手に入ってよかったな」

「それなら先に言っておいてよ。タイガーの武器を作るってことしか、聞いてなかったんだよ」

「すまない」


 そんな謝られると、強く言えない。

 しかしシズさんは空気を読まずに話を進め、


「先に武器の名前だけど、如何する?」

「だってさ、タイガー」

「俺に聞くのかよ! そ、そうだな」


 腕組して考え出す。

 すると、ぽつりと口にした。


「虎鋼手甲……とか?」

「虎鋼……?」

「な、なんだよ。いいじゃんか、俺に聞くなよな」

「いやいいと思うけどねー」

「同じくです」


 ちなっちとKatanaは頷き返す。

 するとタイガーもホッと胸を撫で下ろした。

 後は完成を待つだけで、受取はやっぱり後日になっちゃた。

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