■261 回転を止めればいいんだよ。
ネタストックが完全に切れ始めました。
マズいです。
ちなっちは楔にタマノハガネ蔓をきつく解けないように、しっかり巻いた。
巻きつけられた楔の先端は、黒い墨色の石に尖った鋭い先端になっている。
先端恐怖症の人には絶対無理だ。
「いくよ、ちなっち!」
「オッケー。じゃあせーので、一、二の、三」
息をぴったり合わせた。
二人は走り出し、手には武器を構える。
如何タイミングで走り出した。
Katanaの後ろから「凄いですね」と褒めてくれた。
そのおかげで、スピードを上げながら近づくと、赤い舌が伸びた。
「おっと!」
「大丈夫、ちなっち!」
アイアンタートルの舌攻撃を、瞬時に躱すと、ちなっちは私とは逆方向の左側に走り出した。
お互いにタマノハガネ蔓を持ち合わせ、アイアンタートルが動こうとするのを撹乱する。
さっきまで、超高速回転していたが、今はぴくりとも足を動かさない。
「さっきもそうだけど、脚が動いてないよね」
「多分、体が重すぎて動けないんだよ!」
ちなっちも口にする。
スノーが教えてくれた情報が正しいとしたら、アイアンタートルは空気圧を利用して、浮き上がって、回転しているんだ。
それが本当だとしたら、あの甲羅も空気を切るため。
だったら、それを阻止すればいい。
「そりゃ!」
ちなっちが、楔を地面に叩きつけた。
するとアイアンタートルはぐるっと体を捻らす。
タマノハガネ蔓が体に巻き付いた。
「こっちもだよ!」
今度は私が、蔓を張った。
アイアンタートルがまたしても、動く。
すると蔓が絡まる。
これを後何回続ければいいんだ。
二人はただひたすらに、蔓を張り続けた。
「こんな感じでいいのかな?」
「多分ね。見てよ、ほら! かなり絡まってる」
アイアンタートルの棘付き甲羅の合間合間に蔓が挟まる。
何本もの、蔓が食い込んで、動きを制限した。
これでいい。どんなに動いても、千切れない。
「《ショットファイア》!」
「《スターウェーブ》!」
ちなっちと私の新しい魔法。
初めての遠距離技だけど、威力が全然足りていない。
それどころか、ミリもHPは削れない。
「はぁー、全然駄目だねー」
「でもこれで、反応するよね」
私は落胆気味なちなっちに、励ますために声を掛ける。
そう。これは、意味がない攻撃。
ただMPを削っただけで、意味なんてない。
私達が本当にしたかったのは、アイアンタートルを回すことだった。
グルルーン!——
アイアンタートルは回転を始めた。
さっき、Katanaが酷い目に遭ったやつだ。
だけど今回は違う。
絡み合った蔓がアイアンタートルのトゲ甲羅に絡まって、自分で自分が動けなくなる。
「ちなっち、今だよ。一気に勝負を決めよ!」
「最初っからそのつもりだよ。魔法は使えないから、【加速】!」
「私は【雷歩】」
私とちなっちは【加速】と【雷歩】を同時に使った。
アイアンタートルは首を引っ込めていたけど、私と地なっちのスピードを加えた攻撃にアイアンタートルの首を引っ込めたのは無駄だった。
「「いっけぇ!」」
二人揃って、甲羅の隙間を狙う。
すると切っ先が柔らかい本体に突き刺さり、HPが削れた。
一度に半分近くなくなって、私達は最後にもう一度突き立てた。
しかし、最後の抵抗。
トゲ付き甲羅の先端が、剣を押し込んだ私とちなっちに突き刺さった。
私は左の頬が切られて、痛かった。
右足の膝に痛々しい傷跡がちなっちにも残る。
「このっ!」
「これでお終い」
痛みを堪えながら、私とちなっちの剣はアイアンタートルを倒した。
さっきまで満タンだった緑色のHPバーはたった二回で全部なくなり、楽に勝てた。
だけどこんなに苦戦するなんて。
時間はかからなかったけど、とにかく痛い。
「お二人とも、随分と念入りな作戦でしたね」
「スノーに教えてもらってたんだ。こうしたら、アイアンタートルは倒せるって」
「スピードがないと駄目だけどねー」
Katanaが「なるほど、道理で」と納得する。
私達も最初聞いたときは、まさかと思った。
でもこうして無事に成功して何よりだよ。怪我はしたけどね。
「よし、ちゃんと甲羅が落ちてる」
「よかったー、これで失敗ならもう一回だったよ」
「ほっとしましたね。私も手がもう……」
Katanaの手からは血が滴る。
ちなっちも足の太腿に、私も左頬に擦り傷を負った。
こんな姿を見たら、きっとタイガーは悲鳴を上げるから、何とかして隠そうとインベントリから包帯や絆創膏を出して、まあ何とか怪我を隠していた。
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